ニコンのレンズをOLYMPUSのミラーレスに装着!AEとAFが使えるSHOTENのマウントアダプタ「NAF-m43」を試してみた結果
2020.11.06■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
レンズ資産を活かす電子接点付きマウントアダプター登場
私が使っているカメラは一眼レフはNikon、ミラーレスはOLYMPUSとFUJIFILMである。主に仕事で使っているのは小型軽量で手ブレに強いOLYMPUS「E-M1MK2」なのだ。広角系のレンズは充実しているのだが、望遠は300mmまでしかない。そこに「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」が登場した。200mmから800mm相当のズームレンズで重さは1120gで長さは205.7mmとコンパクトだ。これは欲しい。しかし、人気がありすぎて予約しても1ヵ月以上待ちという書き込みもあった。
800mmまであれば、どんな撮影依頼が来ても大丈夫だが、よく考えれば今までにそんなレンズが必要になったことはなかった。しかし、いざという時のために・・・ とか悩んでいると焦点工房からNikon FマウントのAF-S NIKKORレンズと組み合わせてAE/AF撮影ができるマウントアダプタ「NAF-m43」が発売された。実はこちらも在庫切れだったのだが、先日、予約分が届いたので早速、使ってみた。
マウントアダプタは金属製でハンマートーン仕上げ、高級化が漂う
PCとUSB接続してファームウエアのアップデートができるのだ
「AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR」で気分は600mm
OLYMPUSのミラーレスのフォーマットはフォーサーズなので、35mmフルサイズ用のレンズをマウントアダプタで取り付けると焦点距離は2倍になる。広角レンズの場合はデメリットだが、望遠レンズは超望遠になるので美味しい特性と言える。手持ちのニッコールレンズの中でAFが使えるもっとも望遠ズームと言えば「AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR」である。これを使えば140-600mmという超望遠ズームになる。レンズ内手ブレ補正機能も使えるので、手持ちで撮れるだろう。しかも、重さは790g(フード込み実測値)で長さも146mmとOLYMPUSの超望遠ズームレンズよりもコンパクトなのだ。アダプタ込みでも重さ1kgを切っている。せっかくなのでこれにSIGMAの明るい単焦点レンズ「30mm F1.4 DC HSM」も合わせて撮影した。
電子接点付きなのでExifが記録され撮影データもバッチリ分かるのだ
SIGMAの60mm相当で撮影した能楽堂。標準レンズでの画角はこんな感じになる
SIGMA 30mm F1.4 DC DN OLYMPUS E-M1MK2 1/125sec、F8、ISO200
NIKKORレンズの140mm相当で撮影。解像度はなかなか高い
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR OLYMPUS E-M1MK2 1/60sec、F4.5 ー0.3、ISO200
レンズ内手ブレ補正機能を使って手持ち1/25secで撮影した600mm相当の画像
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR OLYMPUS E-M1MK2 1/25sec、F5.7 ー0.3、ISO200
比較のためにNikon「D500」で撮影105mm相当、解像度が高くシャープな描写だ
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR Nikon D500 1/125sec、F9、ISO2000
D500で撮った450mm相当の画像。鬼瓦に相当する部分の模様がクッキリ見える
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR Nikon D500 1/500sec、F9 ー0.33、ISO5600
レンズ内手ブレ補正が効果を発揮! AFの実用度も高い
気になるAFの速度だが、ガッと移動してからスッと合う感じだ。私のE-M1MK2ではAF-Cモードがうまく作動しなかった。またカメラのボディ内手ブレ補正より、望遠レンズはレンズ内手ブレ補正の方が効果が高かったので、手ブレ補正はカメラ側OFF、レンズ側ONで撮影した。これで手持ちで1/60secが切れるので実用性は高い。
AFは夕方暗くなってくると望遠ズームは合わなくなったが、F1.4のSIGMAの30mmは大丈夫だった。AFが使えるかどうかはメーカーの推奨レンズリストを確認していただきたい。もし、AFが使えなくてもExifが記録されるだけでも、かなり役に立つと思う。ボディの電源を入れたままレンズ交換するとブラックアウトすることがあったが、カメラの電源を入れ直せば正常に動作した。
OLYMPUSにニッコールレンズの組み合わせは、Nikon純正同士に比べるとセンサーサイズも違うので、解像感では負けてしまう。しかし、ポートレートの肌や髪の毛の柔らかい質感はD500よりもE-M1MK2の方が好ましかった。特に逆光の描写が良かった。ウチにはニッコールAF-Sレンズが10本以上あるので絶対に買い、というか超望遠ズーム1本のために買ったようなものだが、それでもお得感がある。現在、未対応のFマウントレンズもファームウエアのアップデートで使えるようになるかもしれない。同社の電子接点付きマウントアダプタはCanonEFからFUJIFILM Gマウント用もあるが、こちらは5万5000円、ニッコールからマイクロフォーサーズ用は2万6820円とハイコスパだ。
30mmF1.4をD500で撮影するとさすがにセンサーサイズが大きいため背景のボケが美しい
SIGMA 30mm F1.4 DC DN Nikon D500 1/640sec、F1.4 ー0.33、ISO200
センサーの小さなE-M1MK2はボケ味では不利だがF1.4を使えばさすがにボケる
SIGMA 30mm F1.4 DC DN OLYMPUS E-M1MK2 1/250sec、F1.4 +0.3、ISO200
D500を使い360mm相当で撮影。Nikonらしいカチッとした描写になった
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR Nikon D500 1/400sec、F5.3 +0.33、ISO4500
E-M1MK2を使い377mm相当で撮影。肌の質感が柔らかく、髪の毛の描写も繊細だ
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR OLYMPUS E-M1MK2 1/100sec、F5、ISO1000
E-M1MK2で258mm相当のボケ味。逆光のフワッとした感じが良く再現されNikonよりもいい!
AF-S NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR OLYMPUS E-M1MK2 1/125sec、F5、ISO1000
写真・文/ゴン川野