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AIの感性はどこまで人間に近づいた?「iPhone12」「iPhone12Pro」のカメラの実力を徹底検証

2020.10.31

A14 Bionicチップがもたらすカメラ性能の向上とは

遂に発売された5G対応の「iPhone 12」には、カメラ機能が強化されたという特徴がある。高性能なA14 Bionicチップが進化したコンピューショナル・フォトグラフィーを提供するという。例えば明暗比の大きな被写体を撮影したときに、黒つぶれと白飛びを防ぐHDR。複数枚の画像を重ねて手持ちで夜景が撮れるナイトモード、人物の背景だけをボカすポートレートモードなどはコンピューショナル・フォトグラフィーによって実現したものだ。スマホのチップが進化すれば、当然カメラ機能も進化するのだ。

「iPhone 12」ではポートレートとタイムプラスでもナイトモードが使えるようになり、超広角レンズがナイトモードに対応した。広角レンズの開放絞り値はF1.8からF1.6と明るくなった。さらに「iPhone 12 Pro」と「iPhone 12 Pro Max」はLiDARスキャナーを搭載した。これは自動運転にも使われるレーザー光線を使ったリモートセンシング技術だ。暗闇でもAF補助光なしでピントが合わせられるようになる。これで暗所でのAF性能は6倍にアップ。また、HDRはスマートHDR 3に進化した。Deep Fusionにより、やや暗い所と暗い所での画質も向上している。

「iPhone 12 Pro」は望遠レンズを含む3眼、「iPhone 12」は広角と超広角レンズの2眼を採用

右下に見える円形の部分が「iPhone 12 Pro」に追加されたLiDARスキャナー

ポートレートモードは実力伯仲

ミラーレスでも気になるのが背景のボケ。スマホのカメラ機能では不可能と思われていたが、人物の輪郭を抽出して背景を電子的な処理でボカすというハイテクを使って、これを実現した。いかに輪郭を自然に切り抜くかが勝負である。「iPhone 11 Pro」と「iPhone 12 Pro」の望遠レンズを使ってポートレートモードを比較してみよう。

100%で比較しても、両者のボケ味は互角。キリヌキにも不自然な輪郭は見られなかった。モデルの髪の毛の部分も文句はない。「iPhone 12 Pro」の広角レンズでのポートレートモードでも自然なボケが得られた。

自前のiPhone 11 Proにて撮影。自然なボケ味が得られた
iPhone 11 Pro 6mm 1/125sec、F2、ISO20

iPhone 12 Proでもほぼ同じで差異は認められなかった
iPhone 12 Pro 6mm 1/125sec、F2、ISO25

Photoshopで拡大表示してみても不自然さはなく完成度が高い

iPhone 12の広角レンズでも自然なボケが得られる
iPhone 12 4.2mm 1/1900sec、F1.6、ISO32

HDR 3の効果は実感できる

今度は超広角レンズの端の描写をチェックしようと思って、3モデルの超広角画像の端を表示すると「iPhone 11 Pro」だけ空が白い。曇り空なので白くていいのだが、雲が写っていないのだ。元画像で比較してみると、12は白い雲の間に見える青い空が見えるが、11 Proだと全体的に白くなっている。これは比較しなければ気付かなかった。ミラーレスなら-0.3ぐらい露出補正したいところだが、iPhone 12のHDR 3は自動的にやってくれるのだ。

超広角レンズで比較すると左端の画像だけ空が白く飛んでいる

右上の雲を見ると青い空と白い雲が描き分けられている
iPhone 12 Pro 6mm 1/400sec、F2.4、ISO25

全体的に明るく影も薄い。右上の雲の部分は空全体が白く見える
iPhone 11 Pro 6mm 1/150sec、F2.4、ISO20

超暗いカラオケボックスで27%明るく撮れるか?

「iPhone 12」は広角レンズが明るくなり27%も光を多く取り込めるという。昼間でもまっ暗になるカラオケボックスで早速、検証してみた。ほんとうにまっ暗にすると、まともな画質で写らないので、部屋の照明をOFFにして大画面モニターの映像の明かりだけで撮影した。

結論から言えば、感度800ぐらいまでは11 Proも12も、そんなに差はなく、1000を超えると12の画質の良さが見えてくる。さらに12の方がシャッター速度が早いためモデルがブレにくいとい利点がある。このぐらいの明るさでは「iPhone12 Pro」に追加されたLiDARスキャナーの優位性は感じられなかった。

左端のiPhone11 Proの方が低感度なのにもかかわらず12と12 Proの方がザラザラ感が少ない

感度2000ではモデルの肌の質感がザラザラで壁ものっぺりと平面的だ
iPhone 11 Pro 4.3mm 1/8sec、F1.8、ISO2000

感度2500ながら、壁の細かな凸凹が再現され肌の質感も悪くない
iPhone 12 Pro 4.2mm 1/15sec、F1.6、ISO2500

感度1000での比較、左がiPhone 11 Proで、右が12 Proの画像。肌の描写が違う

AIの感性は人間に近づいたのだろうか?

最後に試したのは超広角のナイトモードである。画質的には「iPhone 12 Pro」が良かったのだが、自分のイメージする夜景よりも、かなり明るく撮れた。感覚的には「iPhone 11 Pro」の明るさの方がしっくりくるのだ。特に12の夜空が明るすぎるのがいただけない。コントラスト強く、輪郭もシャープ。三脚を立てて長時間露光したような写真になる。

しかし、これがスイーツを撮影すると「iPhone 12 Pro」の方が美味しそうに撮れる。理由はホワイトバランスがしっかりとれていることと、ピントの合っている位置の微妙な違いである。これはかなり微妙な問題で、何度か撮り直せば、違った写真になりそうだ。また、HDR 3も強い逆光では効かないこともあり、スマホのコンピューショナル・フォトグラフィーはかなりいいところまで来ているが、時々、違和感を覚えることがある。できればiPhoneのカメラ機能にマニュアル操作を追加して欲しい。それが実現する日までは多機能カメラアプリを使って、カメラ機能を堪能したいと思った。

カメラ機能に限って言えば、「iPhone 11 Pro」から「iPhone 12&12 Pro」に買い替えるほどの魅力は感じられなかった。これから登場するセンサーシフト式手ブレ補正の大型センサーを搭載した「iPhone 12 ProMax」が本命、さらにApple ProRAWの登場を待たずして結論を出すのは、いささか拙速とも言えるが。

イメージした夜景よりもやや暗めだがiPhone 11 Proは違和感なし
iPhone 11 Pro 1.5mm 1/17sec、F2.4、ISO2000

iPhone 12 Proでは「夜だけど明るく撮れる」的な仕上がりになる
iPhone12 Pro 1.5mm 1/8sec、F2.4、ISO1600

iPhone11 Proでは皿の模様がボケて白の抜けが悪い。やや前ピンなのだ
iPhone11 Pro 4.3mm 1/50sec、F1.8、ISO400

iPhone 12 Proは皿が真っ白で模様にもピントが合っている。やや後ピンだ
iPhone 12 Pro 4.2mm 1/50sec、F1.6、ISO500

※撮影スペックはAdobe Bridge 2020のExifデータ表記による

写真・文/ゴン川野

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