日本の「携帯電話料金」は本当に高いのか?
日本の携帯電話料金は、諸外国と比べると高い水準であるとの声が聞かれる。一方、昨今の新型コロナウイルスの影響等により顕著になったところであるが、携帯電話を含めた電気通信サービスは、社会の重要なインフラとして、あらためてその役割や通信品質の重要性が見直されている。
今回ICT総研は、通信品質を踏まえて比較した場合でも、日本の携帯電話料金(スマートフォン料金)は高いと言えるのかどうかを把握するために調査を実施した。
日本の利用料金は、中位レベル。欧州より高く、米国・韓国より安い水準。
2020年3月1日時点のスマートフォン料金を比較したところ、6カ国の平均月額料金(各国シェア上位3事業者の平均)は、データ容量2GBの場合が3,817円、5GB 4,381円、20GB 5,722円となった。最も料金の安い国はフランスであり、データ容量2GB 2,010円、5GB 2,010円、20GB 2,322円。最も料金の高い国は、データ容量2GBがアメリカ 6,188円、5GBと20GBは韓国(6,787円と8,388円)となっている。
日本はデータ容量2GB 4,021円、5GB 5,121円、20GB 7,135円。欧州より高く、米国・韓国よりも安い水準であり、概ね中位レベルであると言える。
(*スマートフォン料金の海外比較については、対象や条件を絞らず、誰もが契約できる料金プランで比較するため、契約に伴って自動的に適用される割引以外は考慮していない。)
日本の4G接続率は、98.5%。調査対象6カ国の中で最も高い。
通信品質を踏まえて料金を比較するため、「4G接続率」と「料金」をグラフにしたものが表2である。各国の4G接続率(グラフ上では横軸)は、高い順に日本 98.5%、韓国 98.3%、アメリカ 96.1%、イギリス 89.2%、フランス 86.0%、ドイツ 85.8%となっている。日本の4G接続率は、調査対象6カ国の中で最も高い。料金は中位レベルであるのに対し、4G接続率はトップであるため、日本は料金の割に通信品質が高いと言えるだろう。
日本のダウンロード通信速度は、49.3Mbps。調査対象6カ国の中で2番目に速い。
同様に、「ダウンロード通信速度」と「料金」をグラフにしたものが、表3である。各国のダウンロード通信速度(横軸)は、速い順に韓国 59.0Mbps、日本 49.3Mbps、ドイツ 28.7Mbps、フランス 28.6Mbps、アメリカ 26.7Mbps、イギリス 22.9Mbpsとなる。日本のダウンロード通信速度は、調査対象6カ国の中で2番目に速い。料金が中位レベルなのに対し、通信速度は2位であるため、ここでも、料金の割に通信品質が高いと言える。
調査対象は日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の6カ国のMNOとし、各国のスマートフォン料金は2020年3月1日時点のものとした。また、日本のスマートフォンユーザー向けにWebアンケート調査を2020年3月18日から24日に実施した。
構成/ino.