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「CX-30」との違いは?観音開きドアが話題のマツダのコンパクトSUV「MX-30」の使い勝手を徹底検証

2020.10.18

マツダのクロスオーバーSUV攻勢がすごい。下からCX-3、CX-5、CX-8、そして低全高のCX-30があり、さらにマツダ2020年唯一の新型車としてこの10月に登場したのがコンパクトクロスオーバーのMX-30。これで5モデルのクロスオーバーSUVが揃い踏みしたことになる。

新型MX-30はMXを名乗るだけあって、CXシリーズとは方向性が異なるモデルと言っていい。CX-30をベースにしながらも、よりクーペライクなエクステリアデザイン、RX-8を彷彿させるリヤ観音開きリヤドアの採用もさることながら、マツダ初の電動車として、すでに欧州ではピュアEVのMX-30がデビューしていることも大きな特徴だ。日本ではまずeスカイアクティブGと呼ばれるマイルドハイブリッドをリリースし、2021年1月からは、MX-30の真打ち!?とも言えるピュアEVモデルも加わることになっている。

ただ、ピュアEVだとさすがに値段が一気に高騰。そこで電動車つながりとして、マツダ初のマイルドハイブリッドによる買いやすい価格のMX-30を登場させたと考えてもいいだろう。実際、2WD/4WDのみのモノグレードとしたシンプルな価格設定は、ナビやマツダコネクト、SOSコールなどに対応する車載通信機、ACCを含む先進運転支援機能込みで242万円(2WD)からと、電動車+フリーアクセスドアと呼ばれる観音開きドアの凝った仕様、充実した装備を持たせた新型車としては、CX-30の同等グレードの2万7500円増しであり、けっこうリーズナブルに感じる人も少なくないかもしれない。

そんなMX-30は、これまでの熱心なマツダ車ファンとは違う、新たな間口の広いユーザー層を獲得すべく誕生したモデルでもある。実際、ショールームを訪れる客層は、軽自動車から輸入車ユーザーまで幅広いそうだ。

エクステリアデザインは、これまでのマツダ顔とはちょっと違う、控え目な表情のフロントグリル、そしてつるんとしたシンプルな大型フロントバンパー、フレームドトップと呼ばれる3トーンのボディカラーの設定、Dピラー下端にあしらわれたMAZDAのロゴが入るスタイリッシュなプレート、クーペライクなルーフラインとリヤデザイン、そしてもちろん、外にドアオープナーのないフリーアクセスドアによるサイドビューなどがMX-30らしさ。ちなみにボディサイズは全長4395×全幅1795mmはCX-30と同一(ホイールベース2665mmも)。全高のみCX-30より10mm高くなる1550mmだが、それでも立体駐車場への入庫容易性は確保されている。また、最低地上高はCX-30の175mmに対して180mmの余裕がある。

MX-30

こちらはCX-30

インテリアはデザインそのものに大きな特徴はないものの、新しさとして、フローティングセンターコンソール、タッチパネル式エアコン操作パネルの採用、ヘリテージコルクやリサイクル材といったサスティナブルな素材を随所に使っているのが特徴となる。ナビ画面はワイドだが、天地に狭く、縦型ナビがトレンドになりつつある今(テスラ、プリウスPHV、レヴォーグ、全ボルボ車など)、ちょっと時代にそぐわない感アリだ・・・。ちなみに、ステーショナリーシフトパターンと称するシフターは、Pレンジに確実に入れるのにちょっと慣れが必要だった。

そうそう、フリースタイルドアによる後席の乗降性だが、フロントドアを開いてからでないとリヤドアを開けられないのは”お約束”として、両開き状態での開口部は広大。前後ドア間のスペースが広く、車いすやベビーカーの転回も楽々だが、とくにほぼ直角まで開くフロントドアはCX-30より10%程度張り出し量が大きく(実測1060mm。リヤドアは750mm)、一般的な駐車スペースで全開にすることはなかなか難しそうである。

乗降時の足運び性にかかわるサイドシル高はフロントドア部分こそ地上410mmと平均的なものの、リヤドア部分はフリースタイルドアを下部でがっちり固定する金具があり、それを避けるため、+40mmの地上450mmの高さになってしまうのが、乗降面でのデメリットになるかもしれない。

前席はマツダ3から導入された、骨盤を立たせた姿勢を維持できるシート設計によって背筋がスッと伸びたドライビングポジションが取れ、かけ心地とサポート性の良さにも満足できる。後席はふんわりとしたシートのかけ心地が好印象だが、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で頭上に100mm(CX-30 120mm)、膝周りに120mm(CX-30 120mm)のスペースでしかない。とはいえ、サイドウインドーが一切開かないことを除けば、前方見通し性の良さもあって窮屈感はさほどない。降車時にもフロントドアを開けてからでないとリヤドアを開けられず、降りることはできない面倒はあるのだが・・・。もっとも、MX-30は前席優先のパッケージ。後席を重視するなら、CX-30やCX-5があるということだ。

ラゲッジスペースにしても、クーペライクなルーフライン、大きく傾いたCピラーによって、CX-30よりは狭い。実測でフロア幅の1000mmはCX-30と同等だが、奥行、高さ方向はCX-30が上回る。具体的な容量はMX-30が400L、CX-30が430Lとなる。

では、MX-30のマイルドハイブリッドとしての走行性能はどうか。ハイブリッドと言ってもモーター出力は6.9ps、5.0kg-mと微小(マイルドのゆえん)のため、効果はスタート時の一瞬のアシスト、アイドリングストップからの復帰時の振動低減、変速時のスムーズさとわずかな燃費向上ぐらい。始動時はエンジンがかかるし、プリウスなどの2モーターによるストロングハイブリッドのようなハイブリッド感、モーター走行機能はない。スカイアクティブGとドライブフィールは変わらず、車重が重いぶん、加速力もやや穏やかになるということでもある(特にAWD)。燃費性能については、あまり褒められない。2WDで15.6km/Lで、これはより大きく重いハリアー2Lガソリン2WDの15.4km/Lとほとんど変わらないのである(CVTと6ATの違いもあるはず)。

乗り心地は、18インチタイヤを履いていてもマイルドだ。段差越えなどでのショック、突き上げ感もよく抑えられている。CX-30から乗り換え、重心が微妙に高く感じてしまうのは、フリースタイルドア周りの補強により、高い位置で重量が増しているからと推測できるが、それでも絶対的な安定感はCX-30並みに確保されているから、心配はいらない。より乗り心地がしっとりしていて、重心感の低さあるMX-30を望むなら、重量物が車体下側に増えるAWDを選ぶといいだろう(重心ベストバランスは床下にバッテリーを配置するピュアEVに期待!?)。

ここで興味深いのは、CX-30を始めとする従来のマツダ車にある、クロスオーバーモデルでもけっこうスポーティーに走れるという”切れ味””マツダ魂”が薄められていること。ステアリング&アクセルレスポンス、加速性能など、意図的かどうかはともかく、穏やか方向にしつけられているように感じられるのだ。これは、MX-30の狙う、マツダファンだけではない、万人に向けた味付け、アピールとも言えそうだ。もちろん、G-ベクタリングコントロールプラスの効果もあって、カーブなどでの車体の無粋な傾きは最小限。穏やかな操縦性と合わせて、乗員の快適性、安心感はしっかりと確保されているため、ほかのマツダ車同様に車酔いしにくい乗り味と言っていい。穏やかな走行性能×G-ベクタリングコントロールプラスによる安定感の高さ×フリースタイルドアの合わせ技によって、後席にペットを乗せるのにも向いていそうだ(まだ実際に乗せてはいないが)。

 

純正アクセサリーのペットカート

写真はCX-30

つまり、MX-30のマイルドハイブリッド仕様、eスカイアクティブG搭載車の走行性能に関しては、誰もが満足しやすい万人向けのテイストということだ。クーペのようにスタイリッシュなクロスオーバーSUVデザイン、どこかホッとさせるインテリアデザインの好み、そしてフリースタイルドアをどう使いこなせるかが、CX-30ではなくMX-30をあえて選択する決め手、満足度の鍵となるのではないだろうか。

マツダMX-30
https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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