猫の性格は、毛色でだいたい決まるってホント?
猫映画のコラムを書くために、猫が出てくる映画をかたっぱしから観た時に、気がつきました。
「なんか…出演シーンが多い猫って、茶トラばっかりじゃない…?」
あの名作『ティファニーで朝食を』の通称“キャット”も茶トラでしたし、『ハリーとトント』のトントも、『キャップテン・マーベル』で、観客が引くほどエグい技で敵を倒していた宇宙猫・グースも、本人ならぬ“本猫”が大部分を演じていた『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』のボブも、みんな茶トラ。
最近のテレビCMも「猫さえ出せば受けると思っているだろ」と思うくらい猫が意味なく出てきますが、やっぱり茶トラが多いような…。
映像作品で茶トラが多用されるのは、明るい毛色も理由のひとつのようです。映画『猫とじいちゃん』公開時に、監督デビューされた岩合光昭さんにお話を伺った時、「キジトラ模様の猫は少し離れると黒っぽい色に見えてしまうので(目立つように撮影するのが)難しい」とおっしゃっていました。でも一番の理由は、茶トラ猫特有の人なつっこさでしょう。
わが家の初代猫「きなこ」は茶トラでしたが、ものすごくフレンドリーで、物おじせず、おおらかなにゃんこでした。野良時代、近所で有名な猫嫌いのおじいさんが、なぜかきなこだけは(こっそり)可愛がっていた、という“伝説”もあったほど…。
猫は一般的に神経質で怖がりな傾向があるので、知らない大勢の人にとりまかれる撮影現場では、きなこのようなおおらかな猫じゃないと無理なんだろうなあ、と思いました。とはいえ、「毛の色で性格って決まるものだろうか?」「毛の色と脳の働きに、因果関係は無いのでは?」という疑問もうっすら、抱いていました。
黒猫が人なつっこいのは、メラニンの量が多いから?
ところが最近「ねこほん 猫のほんねがわかる本」(今泉忠明/ 西東社)という本を読んで驚きました。黒猫は、人ともうまくやっていけるフレンドリーな性格が多い、といわれていますが、それは毛色と科学的な因果関係があるというのです。
猫の毛色の元となっているのはメラニンという色素ですが、そのメラニンは、「意欲」「運動」「快楽」といった感情に関係する神経伝達物質「ドーパミン」と同じ経路で作られています。ということは、毛色が同じメラニンの作られ方をしている猫は、共通の性格を持っている、という可能性がありますよね。
ある研究によると、メラニンと性格の因果関係は人間にも見られ、メラニンの多い黒や茶色の瞳を持つ人は大らかで人あたりがよく、競争心が少ない性格が多く、メラニンの少ない青や緑の瞳の人は、内気で慎重な人が多いそうです。英語の「Blue-eyed」(青い目をした)には「内気」という意味があるそう。
ちなみに、黒猫は都会に多いというデータもあります。一説には、都会には建物が多いため影も多く、影にまぎれやすい黒猫は危険が少なく暮らしやすいためであるとも。また、フレンドリーな性格ゆえに猫密度の高い都会でもうまくやっていけるのでは、ともいわれています。
三毛猫がツンデレで気が強い理由は「メス」だから?
一般的に、白と黒、オレンジの3色の毛色を持つ三毛猫は、ツンデレで気が強く、女王様気質といわれています。その三毛猫は、基本的にメスしかいないことで知られています。
それは、三毛に必要なオレンジや黒の毛色遺伝子が、性染色体Xの上にあるため。オスの遺伝子は「XY」ですが、オレンジと黒を同時に持つためには、Xが2つ必要なため「XX」となり、メスになるというのです。ごくまれにいるオスの三毛も実は「XY」ではなく、「XXY」という突然変異なのだとか。
三毛猫がツンデレなのは、メスだから、という説があります。自然界ではオスの猫は子育てに参加しないため、メスは子育てをする性であり、必然的に「大人っぽさ」「気の強さ」が必要となります。ですから、野良の三毛猫だと「ツン」だけで「デレ」が皆無な場合もあります。
ところが自分が世話をしてもらえる飼い猫の場合、一生、子猫気分で過ごします。そのため、大人としての「ツン」と、子供としての「デレ」が交互に出て「ツンデレ」になるのです。
ちなみに、三毛猫は日本特有の猫ですが海外でも大人気で、「MIKE」とそのまま呼ばれているそうですよ。
文・桑原恵美子(PETomorrow編集部)
関連資料:「ねこほん 猫のほんねがわかる本」(今泉忠明/ 西東社)
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