コロナによる外出自粛生活や、テレワークによる運動不足を経験し、なんとなく体調がよくない状態に陥っていないだろうか? ニューノーマル生活では、出勤、テレワークなどさまざまな生活スタイルが考えられることから、自ら体調を整える習慣を付けたいものだ。
体調不良の中でも、ビジネスパーソンが悩まされがちなのが、自律神経バランスの乱れによる肩こりや腰痛などの症状だ。そこで本シリーズでは、3回に渡って自律神経の専門家に、ニューノーマル生活における自律神経の整え方を聞く。
第一回目は、コロナ禍による生活環境の変化が自律神経にどのような影響をもたらすかに迫る。
外出自粛生活が自律神経に及ぼす影響
「コロナの影響で、自律神経バランスを乱している患者さんが多く訪れています」
そう話すのは、自律神経専門整体師の原田賢さんだ。東京・八王子の「元気になる整体院」代表を務めており、著書「自律神経整え方BOOKS」を手がけるなど、自律神経失調の周知やセルフケア普及に取り組んでいる。
【取材協力】
原田賢さん
日本で最初の自律神経専門整体「元気になる整体院」代表。大学卒業後にサラリーマンとして働いていたが、過度な労働から自律神経失調症とうつ病を経験。自律神経に関係する全ての生活習慣や事柄をサポートしている。
https://genkininaru-seitai.com/
コロナ禍により、ビジネスパーソンの生活スタイルが大きく変化したが、自律神経にはどのような影響が考えられるだろうか?
「テレワークなどによる通勤などの歩く機会の減少や、パソコン作業の長時間化により、筋肉の緊張が起きやすくなり、交感神経が常に優位に働くということになりやすい状況です。
未知の新型ウイルスのため、自分もかかって死んでしまうのではないかという根拠もない不安に襲われることや、経済環境の悪化による今後の人生に対する不安を抱くことにより、体の緊張を自ら作り出し、自律神経を乱してしまう傾向が見られます」
そもそも自律神経を乱すとは?
自律神経を乱すというのは、そもそもどういうことなのか。原田さんに解説してもらった。
「自律神経とは、体内の循環器、呼吸器、消化器など、体内活動に必要不可欠な器官の活動を、自分の意思と関係なく自動的に調整している神経です。そして、自律神経失調症とは、この機能が乱れることにより、体に様々な不調をきたしている状態のことです。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経には、心と体を緊張させて興奮状態に導く役割が、そして副交感神経には、心と体を鎮め、リラックス状態に導く役割が、それぞれあります。この2つは、どちらが良くてどちらが悪いというものでもなく、バランスよく機能している状態が望ましいとされています」
自律神経バランスの乱れは最終的にうつ病などの重大な病気につながる
2つの自律神経がバランスよく機能している状態が乱れると、どのような支障が起きてくるのだろうか?
「緊張状態がずっと続いたり、逆に何もやる気が起きなくなってしまったりする状態となります。するとメンタルだけでなく、内臓機能や筋肉が正常に働かなくなることで、体が動かなくなったり、胃のむかつきやめまいなどの不調をきたしたりしてしまいます。一つ一つは小さな症状ですが、治さずに放っておくと、うつ病などの重大な病気に転じてしまうため、甘く見るのは禁物です」
コロナによる影響で自分の自律神経が乱れている可能性があると思ったら、すぐにでも改善策を取りたい。
次の記事では、自律神経の不調を示す13のサインを知り、自分の今の状態のチェックできるリストを紹介する。
【参考】
「忙しいビジネスパーソンのための自律神経整え方BOOK」
取材・文/石原亜香利