■連載/阿部純子のトレンド探検隊
白髪染め周期は2週間以内が理想としつつも現実は月1回が多数
2014年に創業したヘアカラー専門店「fufu」を全国89店舗展開するFast Beautyは、日本初となる30分のリタッチカラー専門店「fufuR」の1号店を吉祥寺にオープンした。
「白髪染めは従来、美容室や自宅で行われていたが、美容室では費用や時間がかかる、自宅では色ムラや手間がかかるといった課題があった。プロの美容師がリーズナブルな価格で、60分で完了させるというfufuのサービスは高い評価をいただいている。
お客様からは、fufuに通うようになって我慢をせずに手軽にヘアカラーができるようになったというお声を多数頂いているが、時間や価格、髪のダメージといったハードルを取り除くことができれば、1~2週間といった、さらに短い間隔でヘアカラーをしたいというニーズを持っている方が多数いることが分かってきた」(Fast Beauty 代表取締役社長 高橋賢氏)
fufuが利用者を対象にアンケート調査を行ったところ、理想のヘアカラー周期が2週間以内であるというユーザーが1/3を超えているのに対して、実際に2週間以内の周期でヘアカラーを行っているユーザーは、5%未満にとどまった。
主な理由は、時間、手間や価格、髪のダメージといったもので、ヘアカラー専門店の登場が、手軽にヘアカラーをしたいユーザーの課題解決に繋がってきたものの、依然としてヘアカラーに対する課題が強く残っていることを示唆する結果となった。
「加えて、新型コロナウイルス状況下においては、美容室全般の利用に不安を覚える方が少なくない状況。弊社調査では、約4割の方がヘアカラーをする間隔が長くなったと答えている。そうした状況下で始めた新しいビジネスモデルが『fufuR』。
業界に類を見ない圧倒的な施術時間の短さと、スマホ予約、ネット決済必須としたことによりコミュニケーションを必要最小限に抑えていることが、お客様の安心感に大きくつながる。新しい生活様式における新たな美容室の在り方を提案できるものと考えている」(高橋氏)
Fast Beautyは人材活用でもこだわりがある。日本では美容師資格者は120万人いるが、働いているのは40万人とのことで、同社では、結婚、子育てで美容から離れているママ美容師、早めにリタイアしてしまったローキャリア美容師を積極的に雇用。高橋社長はサラリーマン出身ということもあり、企業として長く楽しく働いてもらうために、社内ポイント制度や転勤の配慮など、働きやすい制度や環境作りにも取り組む。また、フランチャイズではなく全店舗直営で経営することで、本部のサポートセンターで作った働きやすさの仕組みをどの店舗でも共有でき、働きやすい環境を整えている。
従来の「fufu」と「fufuR」の違いとは
fufuRは、リタッチカラー専門、グレイカラー専門、オプション選択無しなど、fufuのサービスをよりシンプルにすることで、30分という短時間での施術を可能にした。料金は一律2700円(税別)。染める部分は頭皮から3cm以内のみで、それ以上の長さは不可。
予約は全てアプリ経由で受け付け、カウンセリングもアプリ上で行う。事前ネット決済が必須なので店舗での現金のやり取りもなく、コミュニケーションも必要最小限に抑えられ、短い施術時間と併せて、コロナ禍でのヘアカラーニーズにも対応する。今後は月額定額制の導入も予定している。
fufuとfufuRのサービスの違いは以下のようになる。
〇fufuは施術時間60分であるのに対し、予約は全てアプリ経由、カウンセリング+事前ネット決済を必須で現金のやり取りがないためfufuRは30分の施術が可能になった(※ブローはfufu同様に客自身が行うので施術時間には含まない)。
〇fufuRは、白髪染めのリタッチを短期間で行いたい人に特化したサービスとなっており、短期間で通ってもダメージが少ない、fufuよりワンランク上のオリジナル製品のシャンプー、トリートメントを使用。
〇fufuではオプションで炭酸泉とオリジナルトリートメントのサービスがあるが、fufuRでは全員に炭酸泉とオリジナルトリートメント(料金に含まれる)を実施する。
fufuRの施術の流れとしては、来店前にスマートフォンから予約、事前決済を行う。カウンセリングも予約時に行い、事前に色の希望を伝えることもできる。来店したら すぐに施術開始。カラーリングは短い時間でもしっかり染まりダメージの少ないカラー剤を使用、浸透待ち時間はタブレットで雑誌を見ることもできる。
炭酸泉とオリジナルシャンプー、トリートメントで髪と頭皮をケア。仕上げのブローはfufu同様にセルフで行う。
【AJの読み】サブスク導入となればさらにリタッチが楽になりそう
3週間の周期で染めるので美容院ではお金がかかり過ぎると、以前は自宅でセルフ染めしていた。セルフ染めだと染めムラができたり、腕をあげっぱなしで疲れたり、洗面所にカラー剤が飛び散るなど、かなり憂鬱な作業。そんな中、低価格でプロに染めてもらえるfufuの存在を知り5年近く利用していた。現在はリタッチではなく、グレーヘアにして上からカラーをのせているので微妙な色調整が必要となり、美容院での施術にシフトしてしまったが、fufuは店舗によっては予約がなかなか取れないなど、いつもにぎわっている印象があった。
施術時間、サービス内容をより白髪染めに特化したfufuRも、今後拡大していくと思われ、サブスクが導入されれば、定期的に通わなくてはいけないリタッチのハードルをさらに低くしてくれそうだ。
文/阿部純子