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2026.06.12

約1,000工場の閉鎖・移転が示す供給集中リスク、インド化学品サプライチェーン再設計の好機【A.T. カーニー】

【KEARNEY】

3つの構造潮流を背景に、コスト効率偏重から柔軟性・透明性・適応力を備えた供給網へ




A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、インド化学品業界のサプライチェーンを対象に、外部ショック、China Plus One、サステナビリティ、デジタル化が供給網の再設計に与える示唆をまとめた論考「インド化学品サプライチェーンのレジリエンスを高める」を発表しました。
本稿では、インド化学品サプライチェーンを形づくる主要潮流として、グローバル・バリューチェーンの移動とChina Plus Oneの台頭、サステナビリティ重視の高まり、デジタル化とイノベーションの加速の3つを挙げています。従来のコスト・効率中心の設計だけでは、不確実性の高い環境への対応が難しくなっており、企業には、事業戦略と一体化したネットワーク設計、パートナーとの信頼ベースの協働、デジタルと人材への投資を通じて、レジリエンスを組み込むことが求められると示唆しています。


3つの構造潮流が転換を促進、効率最適化からレジリエンス設計へ
インドの化学品業界は、GDPと所得水準の上昇、複数分野での低浸透、輸出市場向け供給におけるコスト優位、人材基盤、規制面の追い風を背景に拡大しています。一方で、同業界はグローバル・バリューチェーンと深く結びついており、COVID-19パンデミック、地政学的混乱、気候関連事象などの外部ショックから影響を受けやすい構造にあります。
本稿は、こうした環境下でインド化学品サプライチェーンを再定義する3つの構造潮流を整理しています。第一に、供給・生産基盤の分散を促すChina Plus Oneの台頭です。第二に、顧客、規制当局、従業員、投資家からの要請を背景としたサステナビリティ重視の高まりです。第三に、デジタルツイン、IoT、GPS追跡、高度分析などによる可視性と意思決定力の向上です。これらはいずれも、従来の「コストを下げる」設計から、「変動に耐え、素早く適応する」設計への移行を促しています。


約1,000工場の閉鎖・移転と2026年CBAM、供給集中と脱炭素が再配線を迫る
過去20年にわたり、化学品生産は西側から低コストのアジア新興市場へ移り、中国が支配的なプレーヤーとなりました。しかし、直近7年間の一連の供給ショックは、単一調達拠点への依存リスクを浮き彫りにしました。本稿では、2016年の江蘇開発計画など、より厳格な環境保護規範の執行により、約1,000の化学品工場が閉鎖または移転したことを、供給集中リスクを示す事象の一つとして挙げています。
同時に、サステナビリティ要求は、サプライチェーン再設計のもう一つの圧力になっています。Carbon Border Adjustment Mechanismは、2026年にEU輸入業者へ炭素証書の購入を求めることになるとされ、企業にはエンドツーエンドでの炭素フットプリント把握と削減が求められます。さらに、SABICによる道路輸送から鉄道・インターモーダル輸送への転換では、二酸化炭素排出を約65%削減することが狙いとされており、調達・生産だけでなく物流網そのものの見直しが重要になることが示唆されます。
また、DCM Shriramがグジャラート州Bharuchのchlor-alkali生産設備向けに50MWの再生可能エネルギーを調達するためRenew Powerと提携した例にみられるように、企業の対応はエネルギー、輸送、供給者連携へ広がっています。今後は、スコープ3排出への対応を含め、サプライチェーン・パートナーとの情報共有と共同施策が競争力を左右する可能性があります。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46861/97/46861-97-8905fd714a72f3317b58e00479b3abbb-1041x579.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

6つの要諦でJust in Case型へ、デジタルと人材投資が競争力を左右
現在のサプライチェーンは、しばしばジャストインタイムの考え方の下で中央集約型資産に依拠し、長いリードタイムやサイロ化した製造プロセスに制約されています。しかし、不確実性が高まる環境では、事業戦略とサプライチェーン戦略を一体化し、需要・供給の変動に備える「Just in Case」の考え方を取り込む必要があります。
本稿では、化学品サプライチェーンの卓越性を促す要諦として、6つの次元を示しています。具体的には、統合的なサプライチェーン戦略と事業戦略、将来に強いネットワーク設計、計画能力、信頼ベースのパートナー関係、真にデジタルであること、変革を支える組織です。これらは個別施策ではなく、ネットワーク、プロセス、データ、人材、KPIをつなぐ変革要素として捉える必要があります。
特に、デジタル化は単にツールを導入することではなく、サプライチェーン業務全体でデータに基づく意思決定を行う状態へ移行することを意味します。可視性、シナリオ計画、パートナーとの情報共有、人材育成を組み合わせることで、インド化学品企業は変動への応答力と持続的競争優位を高められる可能性があります。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46861/97/46861-97-ec2c85fd4956180411866389857dffd8-1044x579.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


- 論考について
論考名:「インド化学品サプライチェーンのレジリエンスを高める」
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/driving-resilience-in-the-chemicals-supply-chain

- 監修者
日山 史巳 パートナー
総合商社、海外におけるスタートアップ経営、米系戦略ファーム、などを経てA.T. カーニーに入社。エネルギー・資源、交通、製造業等を中心に、10年/10ヵ国以上でのコンサルティング経験を有する。キャリアの過半を海外、特に新興国(ASEAN、アフリカ)で過ごしてきたこともあり、「エマージングマーケットの成長を日本企業の活力に変える」というビジョンの下でGo-to-marketや新規事業戦略の構築経験を数多く有するとともに、難局に直面するグローバル企業の構造改革設計やオペレーティングモデルの変革、組織・風土改革等のプロジェクトを数多く手掛けている。
また、ライフワークとして自身が生まれ育った関西域の企業・人材の振興にフルコミットしており、家族との生活拠点も関西に置き活動している。

- A.T. カーニーについて
A.T. カーニー(グローバル・ブランド名は KEARNEY)は、1926年に米国シカゴで創業、1972年に日本に進出しました。高度な専門性、目に見える成果の実現、顧客企業との密接な協働作業を最大の強みとし、現在では世界40カ国以上に拠点を有し、約5,900名のスタッフとグローバルネットワークを擁しています。あらゆる主要産業分野のグローバル1,000社や各国の大手企業・政府系機関等を中心顧客とし、戦略からオペレーション、ITにいたるまで一貫した高品質のサービスを提供しています。詳しくはWebサイトをご覧ください。https://www.jp.kearney.com/PR TIMESプレスリリース詳細へ

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