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不動産投資に流入する資金は今年も潤沢?投資対象は物流施設や住宅を選好する傾向

2020.10.04

新型コロナウイルスの感染拡大によって、不動産投資家たちの投資戦略はどのように変化したのだろうか?

不動産マーケットに関するリサーチを提供するCBREではこのほど、「COVID-19下の不動産投資戦略」を発表。

本レポートは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が不動産投資市場に及ぼした影響について、CBREが2020年の3月(3月10日~3月31日)と6月(6月9日~30日)の2回にわたって実施した、投資家に対するアンケート結果から読み解き、COVID-19下にある不動産投資市場の現状や今後の不動産投資戦略について考察したものだ。

緊急事態宣言下、COVID-19による不動産取引への影響は拡大

CBREでは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、不動産投資家を対象とするアンケート調査を、今年に入ってこれまでに3月(10日~31日)と6月(9日~30日)の2回にわたって実施した。

6月調査では、「感染拡大は取引に影響があった」と回答した投資家は全体の53%で、3月の調査結果に比べて12ポイント増加した。そのうち、「取引が中止・延期になった」と回答した投資家は37%と、同14ポイント増加した。緊急事態宣言下の4月から5月までの間に、中止や延期などに至った取引が増加したものと考えられる。

取引の中止や延期が投資額の減少につながった。2020年Q2(4~6月期)の事業用不動産の投資額は対前年同期比22%減の7,530億円だった。J-REITおよび他の国内投資家による投資額がいずれも前年同期を大きく下回った一方で、海外投資家の投資額は前年同期比41%増加した。

ただし、年初に契約された一件の大型取引を除くと海外投資家による投資額も前年を下回る水準で、全体の投資額は前年同期から5割強も減少していたことになる。

6月に入り投資意欲は改善、投資家は投資活動を再開

5月25日に緊急事態宣言は解除され、経済活動は徐々に再開されてきている。6月のアンケート調査で不動産投資戦略に対する影響を尋ねたところ(Figure2)、感染拡大前に比べて「投資方針は変わらない」と回答した投資家は全体の75%を占め、3月の調査結果に比べて13ポイント増加した。

一方、「取得額を減額」「わからない」を選択した回答者の割合は、いずれも前回調査結果に比べて減少した。また、「物件のユーザー(テナントや来場者)で感染が判明した場合の対応」について質問したところ(Figure3)、「適切に対策すれば問題ない」と回答した投資家が全体の67%を占め、前回の調査結果に比べて14ポイント増加した。景気回復に対する期待が高まる中、必要な対策はとりながらも投資活動を再開させようとする投資家が増えているようだ。

COVID-19の不動産投資戦略

■2020年も投資資金は潤沢

2020年も不動産投資に流入する資金は潤沢だ。2020年上半期にアジア太平洋地域を投資対象としたクローズエンド型ファンドによって調達された投資は116米ドルに達したと推計される(Figure4)。潤沢な投資資金を背景に、投資家の投資意欲は総じて高いと考えられる。

■募集価格の高止まりは当面続く

ただし、売買市場では、売り手と買い手の間の価格目線の乖離は従前以上に広がっているため、成約件数は当面、低迷すると考えられる。ディストレス案件は金融危機当時に比べて少なく、価格を下げてでも売ろうという売り手も多くない。そのため、収益不動産の募集価格も総じて高止まりの状況が続くだろう。

売り手と買い手の価格目線の乖離が続く理由のひとつは、価格を下げてまで売り急ぐ状況にある売り主が少ないことがある。現状のオーナーは、多くの場合、十分にリファイナンスを受けられる状況にあるため、物件を売る際にもコロナ前の価格目線を維持しようとしている。

その一方、買い主のほうでは価格目線を下げていることがもう一つの理由である。コロナ禍を受け、アセットタイプによっては資料見通しに対する不当面感が高まってきた。キャッシュフローの成長に対する懸念が高まっているアセットに対しては、買い主は価格を下げることでより高い利回りを担保しようとしている。

さらに、買い主が新規でノンリコースローンを調達できないケースが増えている。COVID-19下で物件を取引できる買い主は、自己資金力が高い、もしくはコーポレートローンで融資を受けることが出来る投資家や事業会社などに限られてくる可能性がある。

■COVID-19で選好される主要アセットタイプとは

6月調査では、「投資対象として魅力的なアセットタイプ」を質問した。その結果、トップ3は物流施設が33%で1位となり、続いて住宅(32%)、オフィス(27%)という順位になった。

過去数年にわたって毎年行ってきた投資家調査では、「魅力的なアセット」として常にオフィスがトップであったが、コロナ禍を受けて初めて順位が変動した。ECの拡大が加速すると期待されることなどを受けて、物流施設に対する投資家の注目が集まっていることが、アンケート結果にも反映された形である。

一方、オフィスについては、中長期的な需要の見方が分かれてきていることが順位の低下につながったと考えられる。とはいえ、テナント層が厚いことや、まとまった投資規模を一件で確保できる案件が多いことなどから、人気は根強いとも言える。

先行き不透明なマーケットにおける投資戦略

回答結果からみる限り、「コロナ禍」での投資対象は、物流施設、住宅、オフィスの3つに人気が集中すると考えられる。ただし、7月に入り、新型コロナウイルス感染は再び拡大した。今後の秋・冬の再拡大も懸念されることから収束の時期については依然として予断を許さない状況だ。

不動産投資の観点から注目されているアセットについても、個別の慎重な判断が肝要であることは言うまでもない。以下、今後の投資戦略に影響があると考えられる主な動向を、アセットタイプ別に挙げてみた。

■オフィスビル

昨年まで投資家の関心を集めていた中型オフィスビル投資に対しては慎重姿勢が広がっている。CBREが毎月実施しているアンケート調査結果から、「3か月後のNO1は今より減少する」と回答した投資家の推移をまとめた(Figure6)。

2020年3月の調査では、「Aクラスビル以外」について同回答を選んだ回答者の割合が、「Aクラスビル」について同回答を選んだ回答者の割合を17ポイントも上回った。Aクラスビルのテナントは大企業が中心で契約も長期のものが多いため、足元の景気の変動を比較的受けにくいとみられていることが要因と考えられる。

ただし、Aクラスビルをはじめとする大型物件の売却案件は限られており、引き続き中型オフィスビルのほうが投資機会が多いのも実情である。

そのような中型オフィスビルについても、新しいニーズに適応させるためのバリューアップを施すことで、収益性の維持・向上を図ることも可能であろう。たとえば、リモートワークの浸透で、都心のオフィスビルにもシェアオフィスやコワーキングオフィスなどの機能がさらに求められるようになるとみられる。これまでは専用執務スペース中心だった中型オフィスビルについても、このようなバリューアッド戦略を可能とする高い運営能力がより一層求められるだろう。

■物流施設

COVID-19はテクノロジー導入の重要性を再認識させる結果となった。もとより、テクノロジーによる自動化は人件費の抑制・削減につながるものとして導入されてきた。感染拡大以降は、庫内作業の少人数化による従業員の健康管理という点からも、自動化の貢献が期待されている。

「シティ・ロジスティックス」の重要性がより高まっている。今年7月には大手不動産会社が新ブランドを発表し、都心の中小型物件に特化したビジネスモデルの構築に取り組み始めた。

ただし、都心には物流用途に適した土地が少ないこと、地価が高いことなど、「シティ・ロジスティックス」のマーケット拡大には課題が多い。そのため、新規開発だけでなく、収益が悪化している大型ロードサイド店舗を転用するなど、様々な取り組みが必要となるだろう。

■住宅

賃貸マンションは景気変動期のディフェンシブアセットとして人気が高いアセットタイプ。さらに、感染拡大前までの都心では賃料が上昇傾向にあり、今後の上昇見込みを反映して取引利回りが低下していた。しかし、「コロナ禍」では賃料上昇を見込みにくいケースが増加すると考えられる。取引利回りは総じて低位横ばいで推移するか、物件によっては上昇する可能性もあるだろう。

テレワークが定着したことにより仕事と生活の場が接近・共存する生活スタイルが広がりつつある。仕事専用スペースを確保できる、郊外の広い住宅に対するニーズが今後増加するとも考えられる。また、同じ住宅棟内や近隣で、仕事場を確保できる環境(シェアオフィスなど)に対する需要も高まると考えられる。

■まとめ

5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、6月から投資活動も徐々に再開された。このことを受けて、CBREが6月に実施した投資家調査の結果も、3月末に実施した調査に比べて投資家の意欲の改善を示している。

とはいえ、投資対象については、キャッシュフローの安定性を重視し、景気変更の影響を受けにくい物流施設や住宅を選好する傾向が強まっている。

一方で、7月に入り、新型コロナウイルス感染は再び拡大しており、パンデミック収束の時期については依然として予断を許さない状況だ。注目されているアセットについても、個別の慎重な判断が肝要である。4~6月期の決算が出揃い、事業会社の業績悪化は鮮明になった。ノンコアアセットの売却やセール・アンド・リースバックを検討する企業は今後増加するものとみられる。

ただし、それらの物件は複数テナントへの賃貸を想定しない仕様であったり、自主管理だったために収益不動産としての品質レベルを満たしていないなど、投資家が取得を検討しづらいケースもある。投資マーケットで売却するには、市場に精通した専門家のサポートなども必要となるだろう。

出典元:CBRE
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/

構成/こじへい

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