■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ハンガリー文化センターで「ルービックキューブ40周年展」が開催中
世界中で今なお親しまれている立体パズルのルービックキューブ。ルービックキューブは、ハンガリーのルービック・エルノー氏(ハンガリー語は日本と同じく姓が先)が、1974年に3次元幾何学を学生に説明するために木で制作したのがはじまり。1977 年にハンガリーで「マジックキューブ」という名前で商品化されると異例のヒットを記録した。
1980年から「ルービックキューブ」に名称を変え世界展開し、発売から2年間で1億個以上が販売された。日本では1980年7月に発売し、8ヵ月間で400万個以上を販売。シリーズ商品も多数登場し、シリーズ累計出荷数1400万個(日本国内、2020 年7月現在)を突破している。
40周年を記念して、麻布十番にあるハンガリー文化センターで、11月9日まで「ルービックキューブ40周年展」を開催中。歴代のルービックキューブ、シリーズ商品、40周年記念メタリックルービックキューブ、今年受注販売する極小ルービックキューブ(後述)、コラボ商品、キューブを使ったルービック氏のモザイクアートなどを展示している。
「ルービック氏が最初に名付けた『マジックキューブ』から『ルービックキューブ』に名前を変えたのは良かったが、『ハンガリールービックキューブ』にしてくれればさらに良かった(笑)。まさかと思うかもしれないが、私の駐日大使としての任期中の達成目標は、日本のすべての皆様にルービックキューブについてとハンガリーとの関わりをお伝えすること。ハンガリーは小さくて地味な国だが、スマートな思考、ルービックキューブのような発明や創意工夫にあふれるものを生み出す潜在能力の高い国で、発明家や数学者、科学者を多く輩出している。
また、日本をルービックキューブの第二のふるさとにしたいと思っている。ブダペストにあるルービック氏のオフィスには、ルービックキューブが日本で最初に紹介された80年代の宣伝ポスターやチラシがあり、日本に深く根付いていることはハンガリーでも知られている」(パラノビチ・ノルバート 駐日ハンガリー特命全権大使)
パラノビチ大使が持つのはルービック氏のサイン入りキューブ。大使のTwitterでは、ルービック氏と日本の料理人や芸術家とのコラボレーションを紹介した「ルービックキューブインスピレーション・プロジェクト」の動画を定期的に発信している。
世界最小!「極小ルービックキューブ 0.99cm 超精密金属製」
日本国内でルービックキューブを展開するメガハウスでは、40周年を記念してルービックキューブに関わる2つのプロジェクトを実施している。
「地頭を育てるパズル」は、ルービックキューブをプレイしながら脳の活性化を図る脳活プロジェクト。公立諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授の協力のもと、脳活動と創造性テストで、ルービックキューブがどのような影響を及ぼすのか調査。ルービックキューブでひらめき、直観力、柔軟性、集中力を鍛え、「地頭を育てるパズル」をキーワードに、ルービックキューブの可能性を探っていく。
「玩具業界は厳しい状況下にあるが、ルービックキューブについては好評に推移している。こんなに長く愛されているのは、パズルという単なる遊びだけでなく、揃える速さを競う競技や、今回のモザイクアートのような芸術、サイエンス、エデュケーションなど様々な面を持ち合わせているからだと思う」(メガハウス 代表取締役社長 榊原博氏)
もうひとつが、日本の文化や技術を用いたオリジナルキューブ発信プロジェクト。同社では2年前に九谷焼とコラボしたルービックキューブを発表したが、今回は埼玉県の入曽精密の協力で金属製の世界最小の9.9㎜「極小ルービックキューブ 0.99cm 超精密金属製」を発売する。1㎝にも満たない極小サイズだが、構造はそのままにパーツを成形しており、実際に動かして遊ぶことができる。
受注販売で価格は18万円(税別・送料込)。国内ではメガハウス公式通販サイト「メガハウスおもちゃマーケット」にて予約受付中。12月下旬より発送予定となっている。
ルービックキューブ世界大会2011 片手部門チャンピオンの伏見有史氏が、極小ルービックキューブを使って実演。このサイズでもスムーズに回せるということで、10秒足らずであっという間に完成させていた。
【AJの読み】回され続けて40年
ルービックキューブが発売になったときは中学生で、友達のうちに遊びに行ってみんなでカチャカチャと回してスピードを競っていた。パズルは苦手で完成するのに時間がかかり、途中で飽きて放り投げていたなぁ、昔から根性がなかったなぁと懐かしく思い出した。
ルービックキューブといえば3×3の定番しか知らなかったが、展覧会で4×4、5×5、三角形やサークル、ユニバーサルデザインなど様々なバージョンがあると知った。
「極小ルービックキューブ」は入曽精密の超精密金属加工技術を駆使した、日本発の世界最小公式ルービックキューブ。ルービックキューブとして遊べる完全再現性もすごいが、老眼では、揃える以前にキューブ面を認識するのさえ難しい(笑)という極小サイズ。遊ばなくても飾っておいても絵になる、アクセサリーにしても違和感がないほどの美しい造形だ。
©1974 Rubik’s®Used under licence Rubiks Brand Ltd. All rights reserved.
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文/阿部純子