
■茂木雅世のお茶でchill out!
旅行に出かけることも、友人と気軽に集まることも出来なかった今年。
思えば、例年以上にお茶を購入したように思う。
以前はファーマーズマーケットや生産者さんの集まるイベント等で話をしながら購入することも多かったが、今年はそういったイベントも軒並み中止になってしまったので、夜な夜な全国各地の面白そうなお茶をネットでポチっては、楽しんでいた。
中でも、すっかりはまってしまったのが、ナイトルーティンで使用するものを“お茶を使った〇〇”にすること。
お家時間が長くなるにつれ、毎日のバスタイムを少し贅沢な時間にしたいと、気になっていたものを買い始めたのがきっかけだった。
以前、このコラムで飲めるお茶をそのままパックにつめた入浴剤を紹介したことがあるが、新たなお気に入りも見つけてしまった。
その一つが、宮崎県のお茶農家さん豊緑園が作った飲める素材だけで作った入浴剤“ほっこり茶の湯”だ。
「はんなり(調和)」「ゆったり(安息)」「さわやか(爽快)」「じんわり(解放)」の4種類があり、その時の気分にあわせて、選ぶことが出来る。
大きめのお茶パックの中に、有機栽培でつくったお茶、そして霧島山麓でとれた野草と宮崎だけに自生する柑橘がたっぷり入っているという、贅沢かつナチュラルな入浴剤だ。
お風呂に入れて浸かってみると、優しい香りに包まれる。
まるで大自然の中を歩いているような気分になるところがとても気に入っている。
更に、今やこれがなくては困るという程、お気に入りになったものが、煎茶・ほうじ茶・抹茶で作られた“TEA SOAP”。
京都の老舗のお茶屋さん祇園辻利が、今年発売したオーガニック素材と宇治茶でつくられた洗顔石鹸だ。
肌に優しい素材しか使っていないというのも嬉しいが、控え目な大きさがまたなんとも言えず、良い。
私は“煎茶”のさらっとした使い心地と洗いあがりの肌の感じが気に入って、長年変えることのなかった洗顔石鹸をこちらに切り替えた。
ほうじ茶は香ばしい香りとクリーミーな泡立ちが、抹茶はサッと泡がきれる感じが楽しめ、使い心地に違いがあるのも魅力的だった。
このコロナ禍で、お茶の楽しみ方も今までとは少し違った展開を見せ始めているように感じる。
例えば、オンライン茶会。
リアルな場で集まることはなかなか出来なくなってしまったが、その代わりにオンライン上でお茶を語り合ったり、楽しめるコミュニティも増えた。
また、クラウドファンディングによるお茶に関する新たな商品も続々と出てきている。
お茶のサブスクリプションサービスも様々なお店で楽しめるようになった。
お茶好きとしては自宅にいながら、楽しめることが増え、こんなにうれしいことはない。
TEA SOAPを販売している祇園辻利の広報の方のお話では、外出自粛要請の中、店舗を訪れる観光客が少なくなった時期もあったが、オンラインでの売り上げは例年よりも高かったという。
“今だったらゆっくり出来るから、お茶の葉を買って急須で淹れてみようかな”という声も、実際に店頭で聞かれるそうだ。
ポジティブでいるためには、いくつか必要とされることがあると良く言われているが、その中にはビタミンCをとることやリラックスというのも入っているという。
そうであれば、お茶こそポジティブな自分をつくるのにぴったりの飲み物ではないだろうか。
あつあつのお茶でもビタミンCはたっぷり摂れるし、リラックスをもたらすテアニンという成分も入っている。
気分的に落ち込んでしまうことも多い今年だが、こういう時代だからこそ、一杯のお茶と向き合うというのも悪くない。
お茶の石鹸で顔を洗い、お茶の入浴剤につかり、お茶のパックシートをつけ、お茶のコスメで肌を整え、お茶殻を使用した枕で寝る。
今年、私のナイトルーティンは異様なまでにお茶まみれになった。
いつもとは違う日々だからこそ、思う存分、偏愛を楽しむ!
お茶を使った様々なものを、愛で続ける時間はまだまだ終わりそうにない。
豊緑園⇒https://houryokuen.jp/
祇園辻利⇒https://www.giontsujiri.co.jp/
文/茂木雅世(もき まさよ)
お茶好きが高じて、2009年仕事を辞めてお茶の世界へ。2010年よりギャラリーやお店にて急須で淹れるお茶をふるまい始め、現在はお茶にまつわるモノ・コトの企画・商品プロデュース・コラム執筆やメディア出演などの活動を行っている。
ゆるっとお茶を楽しもうが合言葉の“ゆる煎茶部”代表。
FMyokohama「NIPPON CHA茶CHA」では最新のお茶情報を毎週発信中。
煎茶道 東阿部流師範/日本茶アーティスト/ティーエッセイスト
オフィシャルサイト:https://ocharock.amebaownd.com/
Twitter:https://twitter.com/ocharock