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皮膚常在菌の移植で小児アトピー性皮膚炎が改善する可能性、米国立アレルギー感染症研究所研究報告

2020.10.08

皮膚常在菌の移植で小児アトピー性皮膚炎が改善

アトピー性皮膚炎の小児患者の皮膚に、健康な人から採取した皮膚常在菌を移植することで、痒みや不快感が軽減する可能性があるとする小規模臨床試験の結果を、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のIan Myles氏らが「Science Translational Medicine」9月9日号に発表した。

アトピー性皮膚炎は、皮膚の慢性的な炎症が原因で乾燥や痒み、うろこ状の発疹が生じる疾患である。米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI)によると、多くの患者が小児期に発症し、花粉症や喘息といったアレルギー性疾患を併発する場合も少なくない。

アトピー性皮膚炎に対しては、局所治療薬や経口治療薬を含むさまざまな治療薬があるが、小児患者に使えるものは限られている。そのため、低年齢患者のための安全で効果的な治療を求める声は強いという。

今回の臨床試験は、3~16歳のアトピー性皮膚炎小児患者20人を対象に実施された。Myles氏らは、健康な人の肌から、皮膚に常在するRoseomonas mucosa(R. mucosa)と呼ばれるグラム陰性桿菌を単離して培養し、砂糖水と混ぜた溶液を治療に用いた。

この溶液を、はじめの3カ月間は週に2回、最後の1カ月間は1日おきに、4カ月にわたって局所に塗布した。過去の研究では、健康な皮膚から採取したR. mucosaの移植によってマウスのアトピー性皮膚炎が改善したことが報告されている。

その結果、4カ月後までに20人中17人で皮疹や痒みが50%以上緩和し、重い副作用は生じなかった。治療効果は、肘や膝の内側、胴部や頸部も含め、溶液を塗布した全ての部位で確認された。

また、R. mucosaによる治療を受けた小児は、局所ステロイド薬の使用量を減らすことができた上に、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させると考えられている皮膚常在菌である黄色ブドウ球菌の減少も認められた。

局所ステロイド薬の使用はアトピー性皮膚炎の標準的な治療法であるが、皮膚が薄くなったり、皮膚線条ができたりするなどの副作用が起こり得る。

さらに、治療終了から最大8カ月後でも、対象者の皮膚にR. mucosaが定着していることが確認され、この治療の持続的な効果が示唆された。

アトピー性皮膚炎には、皮膚の細菌叢のバランスの乱れが関与していることを裏付けるエビデンスがあるが、「今回の研究結果も、既存のエビデンスに合致するものだ」とMyles氏は言う。同氏によれば、細菌叢には皮膚が日々受けた損傷を修復する働きがあり、特にR. mucosaは、皮膚の修復力を高める脂質を産生する可能性があるという。

この臨床試験には関与していない米サンアントニオ小児病院のJohn Browning氏は、「アトピー性皮膚炎患者は黄色ブドウ球菌に感染しやすく、抗菌薬による治療が必要となることが多いが、R. mucosaが抗菌薬の代わりになり得るのではないか」と期待を寄せている。

なお、Browning氏は、R. mucosaを用いたアトピー性皮膚炎の治療に関する別の臨床試験を実施している。ただ、同氏は、「この治療アプローチによる効果の程度は患者によって大きく異なる可能性がある」と指摘し、アトピー性皮膚炎の治療で重要な細菌は、R. mucosa以外にも存在する可能性があるとの考えを示している。(HealthDay News 2020年9月15日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://stm.sciencemag.org/content/12/560/eaaz8631

Press Release
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/probiotic-skin-therapy-improves-eczema-children-nih-study-suggests

構成/DIME編集部

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