
Z世代を理解するキーワードは「かじる」
デジタルネイティブの「Z世代」は、インターネットを介して自分の考えを発信したり、人脈を広げたり、他の世代に比べネットが身近な世代。
彼らの行動は一見、矛盾に溢れ、実態を掴むことが困難だ。しかしその矛盾こそがZ世代の特徴であり、そこにこれからの時代の新しい価値観やコミュニケーションの形を見つけることができる。
今回TikTok AdsはZ世代のインフルエンサーやユーザーにインターネットリサーチとインタビューを実施、彼らのリアルな発言をベースに「Z世代のあるがままのリアル」を分析し、白書にまとめた。
同白書は、Z世代特有の「新しい価値観」や「新しい生活スタイル」を表す3つの切り口で構成している。
Z世代の持つ“多面性”の意味。「世間体を気にしながら個性も大事」
“ながら行動”が当たり前の若者は、マルチタスクであると言われている。しかし、そんな一言で片付けられないのがZ世代の実態だ。
Z世代は多面的で、二律背反です。例えば、「人が自分をどう思っているか気にする」が73.4%と、25歳以上の世代の58.5%に比べてかなり多い一方、「人と違う個性が重要だ」と回答した人が74.9%とこちらも25歳以上の世代より多く、世間体を気にしながら個性も大事にしているという“多面性”を持っていることがわかる。
また、インタビューでは「有名になりたいからTikTokを始めた」(17才、男性、高校生)という意見に代表されるように、承認欲求が強いという一面を持ちながら、それに反して「撮ってる時が楽しい。いいねが来るかどうかは気にしない」(22才、女性、家事手伝い)という純粋な楽しさだけを追求する面も持ち合わせていることがわかった。
このようにZ世代の持つ“多面性”は、二律背反するものに白黒はっきりさせるのではなく、そのまま同居しているというところが特徴的だ。
“不完全性” が彼らのリアル
情報が錯綜するインターネットと共に育ったZ世代は、物事は一つの側面からだけではわからないと感じている。いろんな側面を見なければ共感することも、親近感が湧くこともないと思っている彼らには、カッコつけているところだけでなく、ゆるいところやダメなところも全てが見えると初めて本物に見えてくるのだ。
飾っているものは嫌で、素が出ている方が良いと感じているZ世代は、「テレビで最近人気な芸能人はもう知らないけど、TikTokで有名な人は知っている」(23才、男性、地下アイドル)という意見や「TikTokのインフルエンサーは近い感じ、親近感湧く」(20才、女性、インフルエンサー)という意見がインタビューにより回答した。飾っているテレビに出てくる人たちよりも、素に近い友達やインフルエンサーに親近感が湧き、情報に信憑性があると思っているようだ。
また、「失敗などのネガティブな面がある動画・投稿は信頼できる」と回答したユーザーは25歳以上の世代では27.4%だったが、Z世代は49.0%と約半数にも上ります。全てに完璧を求めないZ世代にとって、ネガティブな話など不完全なものが信頼の証となっている。
つまみ食いを楽しむ “かじる” Z世代
2001年のアメリカ同時多発テロ、2008年リーマンショックなど、幼少期からさまざまな危機に直面する時代と向き合ってきたZ世代は先行きの不透明さと共に育ってきた世代だ。
このような背景を持つZ世代は、一面的な特定の価値観に捉われず、自分の価値観とマッチするものを探し続けているため、好奇心が旺盛で興味の幅も広がっている。いろいろなことに手をつけるマルチタスクを基本とし、一つのことに執着せず“そこそこで止める”=「かじる」というところに、彼らの新しい価値観や生活スタイルがある。
また、インターネットやSNSの情報をつまみ食いするように「かじる」Z世代は、人との繋がりもかじっている。
「SNS上でも友人を作ったことがある」Z世代は半数近い49.3%、「SNS上でしか話していない友人がいる」35.9%、それぞれ25歳以上の世代よりも高くなっている。「人付き合いもface to faceが全てじゃない」という考え方は、Z世代の特徴でもある。
Z世代は人との繋がりだけでなく、TikTokでもコンテンツをかじって、興味を広げている。インタビューでは「料理系をよく見る。TikTokで見た動画を参考にして作ることもある。」(21才、男性、学生)、「下らないお笑い系が好き。」(22才、女性、フィットネスインストラクター)など、TikTokがきっかけで新しい興味を持ったり、好きになったりしている様子がわかった。
それは、Z世代の66.7%が「TikTokを見ていると、新しい発見があって興味が広がる」と回答しているところにも表れている。
今回の調査ではZ世代の持つ「新しい価値観」やそこから生まれた「新しい行動スタイル」が浮き彫りになった。しかし、Z世代を紐解くためには、まず彼らを育んだ背景から考察することが重要だ。
彼らの背景を踏まえた上で、Z世代の「新しい価値観」や「新しい行動スタイル」を見ていくことで、より一層Z世代への理解が深まると言える。
調査概要
定量調査
調査時期:2020年3月
調査方法:インターネットリサーチ (調査委託先:マクロミル)
調査対象:全国15~69歳の男女
調査人数:17,333ss
TikTokユーザー:806ss、TikTokノンユーザー:16,527ss
Z世代(15-24歳):305ss、25歳以上の世代:1,771ss
定性調査
調査時期:2019年10月23日~2020年2月19日
調査対象:関東地区内16-27歳の男女
調査人数:80ss
Z世代(15-24歳):73ss、25歳以上の世代:7ss
構成/ino.