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東京のクラブカルチャーは止まらない!NAZWA!がTDMW2020を通して思い描くクラブシーンの未来

2020.09.27

新型コロナウイルス感染症拡大抑制のため、東京都が対応を始めてから半年が経過した。街はゆっくりと新型コロナ以前の生活を取り戻しつつある一方で、今年の夏は感染者数の揺り戻しなどの懸念から、風物詩として知られる音楽フェスや花火大会といった大型リアルイベントの中止が相次いだ。ライブエンタメ業界はいまだ未曾有の苦境にあえいでいる。

そんな中、9月7日~13日にわたって在京ラジオ局J-WAVE(81.3FM)が連動・サポートした「TOKYO DANCE MUSIC WEEK 2020-ONLINE-」(以下TDMW2020)が、大きな話題を呼んだ。

TDMW2020とは、2019年にJDDA(Japan Dance Music & DJ Association)が制定した毎年9月9日「ダンスミュージックの日」の週に、渋谷区・港区エリアを中心に実施される新たなダンスミュージックの祭典のこと。

開催初年度である今年は、東京のナイトカルチャーを紹介する深夜番組J-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」(月~土曜 27~29時)、渋谷PARCOの9階にあるライヴストリーミングスタジオ「S/U/P/E/R DOMMUNE」、作家でクリエイターのいとうせいこう氏が主宰する自律分散型配信フェス「MUSIC DON’T LOCK DOWN(#MDL)」の3メディアを軸とし、ラジオ・オンライン・配信形式での開催に踏み切った。

3つのメディアが相互連動するプログラムに、アーティストから行政議員など総勢100名以上が参加。クラブやダンスミュージックシーンの現在と未来を語りあうカンファレンス、DJ MIXやトークを掛け合わせたプログラムを連日放送・配信しながら、東京タワーを舞台に配信した最終日の無観客オンラインリアルフェス『TOKYO DANCE MUSIC WEEK 2020 - #MDL Renewable energy of music in Tokyo Tower -』に向けて1週間をディープに駆け抜けた。

コロナ禍では異例ともいえる7日間にわたる大型イベントを開催したことについて、発起人であるNAZWA!(ナズワ!)の胸中には〝0を1にするようなイベントを作らなくちゃいけない〟という大きな使命感があったと語る。東京のダンスミュージックシーン、クラブカルチャーの現在と未来について話を聞いた。

一般社団法人JDDAの代表理事であり、音楽ユニット「COLDFEET」としても活躍するWatusiさん(左)と、DJ、マルチメディア・キュレーター、プロデューサーでもあるNaz Chrisさん(右)によるDJ・プロデュースユニット。J-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」(月~土曜 27~29時)の月曜ナビゲーターでもある。

来年3月にかけて都内の〝箱〟は半分くらいにまで減ると思う。

――6月19日に東京都はライブハウスやクラブなどへの休業要請を解除しましたが、集客を見込めずに閉店を余儀なくされるケースは増えています。一般に〝箱〟と呼ばれる施設の閉店は、クラブカルチャーの窮地を語るうえで象徴的な事例といえます。

Watusi「まず前提として、都内のそこそこ規模の大きいクラブやライブハウスは閉店の半年前までに不動産会社へ解約申請を行なう決まりがあるんです。政府が大規模イベントの開催自粛を求めた2月から客足が遠ざかっている状況を考えれば、個人的には10月から来年3月にかけて、都内にある半数近いクラブやライブハウスが閉店することになるのではと予測しています。」

――クラブカルチャーの全盛期を知るDIME世代にとっては、わずか1年足らずで箱の営業休止や閉店の発表が立て続けにあることに首をかしげる人は多いかもしれません。

Watusi「宇多田ヒカルさんやミーシャさんらがお茶の間を席巻した大ディーヴァブームをリアルタイムで経験した世代は、そう感じるかもしれませんね。

2000年前後から約10年間、確かにクラブは全盛期を迎えました。ただ、その盛り上がりに比例するように、近隣とのトラブルも増え、風営法の取り締まりが厳しくなり、東日本大震災が起こるなどして、ブームは急速に収束したんです」

このままでは日本のクラブカルチャー自体が失われてしまう。

――15万筆もの署名を集めた〝Let's DANCE 署名〟やラッパーのZebbraが会長になって発足した〝クラブとクラブカルチャーを守る会〟など、カルチャー復興に向けてアーティストや関係各位が一丸となって動き始めたのは2013年のことでした。

Watusi「結果的に2016年に風営法の一部が改正されることになり、2020年代に入るとエレクトロダンスミュージック(EDM)という新しいブームが世界中を席巻しました。しかし、風営法が改正されるまでのわずか数年が、日本と世界のクラブカルチャーに大きな隔たりを生むことになりました。

具体的にいえば、世界のクラブシーンでは30万枚のチケットが数分で売り切れるフェスの時代が幕を開けた。その一方で日本のレベルは、今やアジア圏内でも最貧国と呼ばれるまでに落ち込み、以前のように世界とカルチャーでつなげる〝ハブ〟としての役割を担えなくなってしまったんです。

危機に瀕する日本のクラブカルチャーのために、これからの礎になるようなイベントを立ち上げる必要がある。そんな思いで2019年にTOKYO DANCE MUSIC WEEKへの準備を始めました」

――そんな矢先に世界規模でコロナショックが起こりました。東京のダンスミュージックシーン、クラブカルチャーの現状をどのようにとらえていますか?

Naz Chris「コロナ禍は、既存の価値観から脱却、リセットするチャンスだと考えています。2000年代はブームの終息、2010年は規制の厳格化など、これまで日本のクラブカルチャーは10年おきに大打撃を受けてきました。

DJやダンスミュージックシーンからヒット曲やスターを輩出できていないという状況もあり、日本らしいシーンを新しく作らなくてはと考えていたんです。その矢先に今回の事態を迎えてしまい、クラブシーンは0に近い1にリセットされてしまった。

それであればJ-WAVE「TOKYO M.A.A.D SPIN」のようなラジオ番組だったり、放送局や情報媒体など、音楽を応援してくれるメディアの方たちと手を取り合って、もう1度、日本のエンターテインメントを作り変えていきませんか? そういう取り組みができるチャンスじゃないか、とコロナ禍における現状を見つめ直すことにしました」

〝らしさ〟〝必然性〟をまとったものが未来に残っていく。

――Naz ChrisさんはTOKYO DANCE MUSIC WEEKの実行委員長を務めていますが、TDMW2020は東京のクラブシーンを新たに切り開くための嚆矢になると考えている。

Naz Chris「そうですね。夏フェスが軒並み開催中止を発表したことは、非常に辛い決断だったと思います。そういう意味でもTDMW2020を開催できたことに文化的な意義があると感じています。

節度は守る、けれども私たちはダンスミュージックやカルチャーの発信を止めない、もう一度東京のカルチャーを未来へつなげていこうという声を、TDMW2020を通して絶対に伝えたいと考えました」

――TDMW2020開催を報告した際、ご自身がナビゲーターを担当している「TOKYO M.A.A.D SPIN」のリスナーからどのような反響が届きましたか?

Naz Chris「発表直後は、どうやってやるの? 本当に開催できるの? という反応が大きかったですけれど、コロナ禍の状況が日に日に変わるにつれて、オンラインであれば、ラジオの中であれば、と少しずつお互いに理解を深めていけた印象はありますね」

Watusi「コロナ禍の影響を敏感に察知して今年3月にいち早く立ち上げたMUSIC DON’T LOCK DOWN(#MDL)もその一端を担ったかもしれませんが、サザンオールスターズや星野源さんなど、この半年の間に様々なアーティストがオンライン配信に取り組んできたことも、TDMW2020が一般の方に好意的に受け入れられた要因ひとつといえるでしょうね。

とはいえ、東京のクラブカルチャーは基本的にアンダーグラウンドな存在です。衆目を集めたといっても、これまでも勝っていたアーティスト達に対して数字では太刀打ちできないし意味も薄い訳です。単純にパフォーマンスを配信するのではなく、アンダーグラウンドなりの必然性を作らなくてはいけないとも考えました」

――従来のイベントとTDMW2020とのもっとも大きな違いは何でしょうか?

Naz Chris「アーティスト、有識者だけでなく、日本音楽制作者連盟の理事長をはじめ、弁護士や東京都議会、環境省など、多方面の方々まで、本当にたくさんのひとたちに賛同・参加いただけたことですね。ストリートと自治体が手を取り合ってカルチャーの行く末を一緒に考える。こういった機会はこれまでになかったですし、今後のクラブ、ダンスミュージックシーンの大きな糧になると思うんです」

Watusi「クラブにかかわらず、リアルイベントの客足は来年秋くらいまでは戻らないんじゃないですかね。ますますオンライン配信の重要性は増すと同時に、〝らしさ〟や〝必然性〟を伴う形で改めて世の中に受け入れられたものだけが、この先の未来に残っていくのだろうと思います。

少なくとも東京クラブカルチャーは、これまでの固定概念をいったん隅に置いて、価値観をリセットする必要がある。だからこそ官民一体となって実施した今回のイベントは、新しい価値やカルチャー自体の創出につながる大きな一歩になる、そう期待しているんですよ」

=関連情報=

J-WAVEの深夜番組「TOKYO M.A.A.D SPIN」
www.j-wave.co.jp/original/maadspin/

取材・文/渡辺和博

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