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価格、デザイン、性能、全てが絶妙なバランスで死角なし!?乗ってわかった日産「キックス」の○と×

2020.09.25

日産が進めるクルマの電動化。電気自動車(EV)の「リーフ」に始まり、EVについては9月末に開催される北京モーターショーでは新型クロスオーバーEV「アリア」を初公開する予定もある。またエンジンで発電した電力を使って走る「e-POWER」を搭載するモデルにはコンパクトカーのノートや主力モデルの一つであるミニバンの「セレナ」があり、今回ご紹介する「キックス」は、このe-POWERを採用する3車種目となり、e-POWERを初めてSUVに搭載したモデルとなる。 

「キックス」はご覧の通り、全長4290mm×全幅1760mm×全高1610mm、ホイールベース2620mm、最低地上高170mmのコンパクトSUV。日本では内外装のユニークさも特徴だった「ジューク」に代わるモデルとして市場投入される。

個性よりも(※「キックス」もまあまあ個性はあると思うけれど)“実”によりこだわったモデルで日本のコンパクトSUV戦線に立ち向かおうというのだ。そういえば、まもなくトヨタから登場する「ヤリスクロス」も「理由のあるモデルが生き残る」と存在価値にこだわったモデル開発をしている。各社が価値をどこに置くのかが今後はますます見どころになるのだろう。では「キックス」の“実”力はいかなるものなのか?

洗練されたデザインとインテリア

「キックス」のパワートレインは「e-POWER」のみ。そしてフォルムはリヤウインドウの面積を見てもわかるように後席も含む「実用性」にこだわったカタチをしている。そして日産の運転支援技術「プロパイロット」の標準採用があげられる。

まずはデザイン(フォルム)と実用性について見ていきたい。様々なSUVを観ているとお尻(リアスタイル)に特徴を感じるモデルが多いけれど「キックス」は珍しく、「別に・・・」だった。むしろフロントの斜め30度くらいから顔とボディーサイドを眺めると「キックス」らしさがわかる。

フロントは二重のV字を意識したダブルVモーショングリルのなかに大きなグリルを収め、LEDライトを採用する切れ長のヘッドライトがボディサイドに向かってシャープにのびる躍動感のある表情がクールで精悍。後方に向かってルーフは低められクーペモデルのような躍動感も印象としては感じられるが、サイドウインドウの面積は全体的に広くとられ、実際の後席の快適性も高いのだが、コンパクトSUVの実用を優先させた際にありがちな無骨さは皆無。ボディカラーは9色のモノトーンに加え2トーンも4色から選ぶことができるのも特徴のひとつ。

インテリアは極めてシンプルながら造形全体の凹凸に一貫性の感じられる曲面が採用され、ダッシュボード、ドアトリム、シートにいたる空間の統一感にクラスを超えたクオリティぶりとモダンさを感じることができた。室内はブラックで統一されたタイプも良いがクロスと合皮のブラック/オレンジの2トーンはよりモダンさや個性的な印象が強まる。

またシートのサポート性がフロントはもちろんなのだが、リヤシートもしっかりとデザインされている点もいい。このクラスのリヤシートはどちらかというと背もたれを倒してラゲッジスペース拡大も狙い、座面や背もたれが薄くフラットに作られることも少なくない。「キックス」のリヤシートは厚みもあって立体的につくられ、すると左右に体が動くようなワインディングのドライブでも疲労度はフラットでペタッとしたシートに比べ軽減されるはず。

そんなリヤシートのスペースは同クラスの他モデルと比べても余裕が感じられるほうだ。「ジューク」は車両後方に向かって絞り込むデザインを採用していることで、後席の快適性はやや不利。「キックス」は身長162cmの筆者がドラポジを取った状態の後席の足下は余裕たっぷり。身長180cmの男性がドラポジを取った場合でもヘッドクリアランスやヒザ周りにまだ余裕があった。

その上サイドウインドウも広く取られ、眺めもいい。コンパクトSUVながら後席に人が乗る機会が多い方にとっては「キックス」のリヤシートも購入動機の1ポイントになりそう。

 ラゲージは900mmの奥行きが確保され大型のスーツケースなら2つ、9インチのゴルフバッグも3つまで積載可能だそうだ。6:4分割式のリヤシート背もたれを倒せば、フロアは完全なフラットにはならないものの、積載量はさらに拡がる。

〝ワンペダルドライブ〟の楽しさと利便性

そして注目のe-POWERを搭載する走行性能の実力について。「キックス」は、1.2L 3気筒エンジンを発電用に搭載し、そこで得た電力でモーターを駆動させる。同様のシステムを採用するノートに対しモーター出力が約20%向上し、また発電用エンジンの作動頻度を減らし静粛性を高めているのも特徴だ。

モーターで走ると言いながら、発電のたびにエンジン音が「ブーン、ブーン」と車内に聞こえ過ぎるのはちょっと残念。というわけで、「キックス」は静粛性そのものも高められているが、e-POWERのシステムそのものも進化しているというワケだ。

 ボタンを押してクルマを始動、シフトの“D”を選ぶ。「キックス」は他のe-POWERと同じく走行モードの用意があり、ノーマルでは普通のガソリン車のように、またS=スマート、ECOではアクセルを緩めたりオフした際の回生(エンジンブレーキのような減速力)によって、減速コントロールが可能な、いわゆる”ワンペダル(アクセルペダル)“ドライブが楽しく、もしくは街中でも活用できる。

 Sモードの加速は路面を蹴り出す速さも頼もしさもあり、 エコモードではそれが緩やか。アクセルペダルを緩める量をコントロールすることで加速と減速を自在に操ることができるのが特徴で、慣れるほどに楽しくまたブレーキペダルとの踏み換えも劇的に減るので楽ちんだ。街中ではエコモードで十分だが、ワインディングなどでは加減速の緩急を武器によりリズミカルな走行が楽しめる。

 ボディもしっかりしていた。ハンドルを切りながら段差を乗り越えるような場面でもガシッとしていてブレない。直進はもちろん、コーナーリングの安定感も十分に頼もしい。100%電気で走ると言ってもガソリンエンジンで発電させるキックスはロングドライブでも不安はない。日産のプロパイロットが渋滞時や高速巡航ドライブをアクセルやブレーキ、ステアリング操作をアシストしてくれる。街中でのペダルの踏み間違いやプリクラッシュブレーキなども装備。これらのシステムが標準装備されている。

 価格は275万9900円~。と言っても実質1グレードしかなく、性能面は共通としつつ“ツートーンインテリアエディション”(286万9900円)の見栄えとそれに伴う質感の印象が異なるモデルがあるだけ。スタートプライスとしてはちょっとお値段お高めな印象を受けるかもしれないが、同クラスのハイブリッド車と比べると、そうでもない。ガソリン車のお手頃モデルがあればその印象はもっと違うのかもしれないけれど・・・「キックス」はe-POWER一本ということらしい。

2010年に「ジューク」が登場した頃は、SUV全体のラインナップもこれほど充実していない時代。ちなみに日産「テラノ」に乗ってる男子がモテたクロカンブーム以降の近年の日本のSUVブームの火付け役車とも言えマツダの起死回生を一翼を担った「CX-5」が登場したのが2012年。いよいよ身近に感じられるようになったのはコンパクトSUVのホンダ「ヴェゼル」(2103年)やトヨタ 「CH-R」(2014年)の登場あたりからではないか。事実、日産「ジューク」が登場した頃、SUVマーケットはミドルサイズが主流でコンパクトサイズは全体の25%だったのに対し、昨年は43%に拡大。全体的にモデルラインナップも増え販売台数も増えたが、コンパクトSUVにおいてはとりわけ普及率が高いのだ。

「キックス」は、後席の実用性の高さも特徴だが装備は最新の動力性能を与えられているとはいえ少々高めの価格設定。すると子育て世代ならば軽かミニバンか・・・と、コストと広さに対し価格の費用対効果に目を向ける人もいるだろう。すると「キックス」はお子さんのいない幅広い世代の日常の足として家族やパーソナルカーとして選ばれやすいのかもしれない。

 e-POWER未経験の方はとくに最新のソレのドライブフィールや静粛性、それらが創り出す室内環境を「キックス」で実際に試してみるだけでも楽しいかも、です。この世界、知らないより知ってるほうが良いのではないかしら。

・関連情報
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/kicks.html

文/飯田裕子(モータージャーナリスト)
撮影/望月浩彦

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