
若い層の中で変わりゆく中古車のポジション
カーセンサーの調査によると、中古車市場規模(推計)は、調査開始の2015年以降で過去最高となっている。
主な要因は、昨年に引き続き中古車購入単価の平均が上昇したこと。昨年は200~400万円で中古車を購入する層が増えていたが、今年はその価格幅に広がりが見えており、150万円~400万円以上の中古車を購入する層が増えている。
背景としては、新車購入層が中古車を購入していることだ。主な要因は2つ。安全性や環境などへの対応が必要となり、新車の価格が上がってきていること。また、かつて中古車に対して抱かれていた「不安」などの負のイメージが払しょくされてきていることが挙げられる。
クルマに限らず、中古品を買う行為自体が、コストパフォーマンスが良い賢い消費として捉えられるようになってきている。そしてそれ以上に、若い層を中心に中古車に対するポジティブなイメージも確実に増えてきており、以下の通り、購入から、その後の活用方法にも従来とは異なる動きが出てきている。
中古車選びで発揮される個性
「中古車は個性的なクルマが多い」とポジティブなイメージで捉える項目において、20代、30代の割合は、40代以上の世代よりも圧倒的に高くなっている。
この若い世代は、バブル崩壊やリーマンショック、東日本大震災などを幼少期~ティーンの時期に経験した影響か、相対評価よりも絶対評価を価値観の軸としているといわれている世代。例えば、新車販売時は奮わずに不人気と呼ばれたクルマでも「人とカブらない個性的な選択肢」として好んで選ぶ若者がいる。これまで、新車神話が根強く販売台数などで人気を測ってきた日本のクルマに対する価値観に多様性をもたらしてくれるだろう。
カスタマイズへの心理的ハードルの低さとオンリーワン消費のインサイト
「中古車に手を加えて乗ることは楽しい」という項目でも同じく若者がポジティブに反応しています。最近では身の回りのものを自分仕様に手を加える“DIY”がブームになっているが、中古車でも自己を表現するカスタマイズが加速している。
車内を自分らしく居心地の良い空間に仕立てたり、見た目にこだわって外装を好きな色に変えたりと、手を加える幅は多種多様だ。スピードや馬力といった数字で測る従来のチューニングとは異なり、自分らしさを追求するこれらのカスタマイズは、絶対的な価値観を重視する20代、30代の中で今後さらに活発化していくだろう。
調査概要
【調査方法】
インターネットによる調査
【調査期間】
一次調査:2019年9月11日(水)~2019年9月27日(金)
二次調査:2019年9月18日(水)~2019年9月30日(月)
【調査対象】
一次調査:全国18歳~69歳の男女 ※沖縄県を除く (株式会社マクロミルの登録モニター)
二次調査:一次調査において「直近1年以内に中古車を購入した人」および「直近1年以内に中古車の購入を検討した人」
【回収数】
一次調査:195,738件
※平成27年国勢調査に基づき、全国を性別2区分×年代別5区分(20歳代〈18~19歳含む〉/30歳代/40歳代/50歳代/60歳代)×エリア10区分×都市部(東京都特別区+政令指定都市20都市)/地方部(それ以外)2区分に割付けて回収した。
二次調査:4,258件
※一次調査の回答者の中から、一次調査の割付に加えて1年以内に中古車を購入した人・1年以内に中古車購入を検討した人で割付けて回収した。
全国10エリア:北海道、東北(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)、北関東(茨城県・栃木県・群馬県)、首都圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)、甲信越・北陸(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県)、東海(静岡県・岐阜県・愛知県・三重県)、関西(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)、中国(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)、四国(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)、九州(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)
構成/ino.
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