
ソニーは、9月4日にノイズキャンセル付きワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM4」を発売した。
本機は、2018年に発売し、高品質なノイズキャンセリング機能で話題となった「WH-1000XM3」の後継機にあたる。
本機には、主にノイズキャンセルにおいて、他のワイヤレスヘッドホンにはない魅力的な機能が多数搭載されている。そのなかでも、独自開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」はリアルタイムのノイズキャンセリング処理を可能にし、前作(WH-1000XM3)に比べ、飛行機や電車の環境音を2.15倍、街中やカフェなどの生活ノイズを1.2倍カットすることに成功している。
本体左側のイヤーカップ上部と内側にある2つのセンサー「デュアルノイズセンサーテクノロジー」により、外部の騒音を的確に捉えることが可能。同時にプレイヤーの音楽信号も同時にデジタル化を行い、逆位相の音を高精度に生成。これにより、より静かに、よりクリアな音を生成することができる。
本体下部にはボタンが2つあり、ひとつが電源ボタン、その右に位置するのがカスタムボタンとなっている。
カスタムボタンはシングルクリックで、ノイズキャンセリング、アンビエントサウンドモード(外音取り込みモード)のオン/オフの切り替え。長押しをすることで、「NCオプティマイザー」を使用する。この機能は、髪型や眼鏡の有無、装着ズレを試験信号音を流すことにより検出し、ユーザーに合わせたノイズキャンセリング特性を最適化することが可能。
「スピーク・トゥ・チャット機能」は、本機から搭載された新機能だ。
この機能をオンにすると、本機使用者が言葉を発した際に自動的に音楽を停止、さらにアンビエントサウンドモード(外音取り込みモード)に切り替わる。
公式アプリである「Sony|Headphone Connect」を使用することにより、スピーク・トゥ・チャット機能のオン/オフ、更には声の検出感度やモードを終了するまでの時間などを変更することができる。
実際に使用してみて
音質に関しての第一印象は「クリアな音で、全体を通してバランスが良い」だった。
特に、中高音域は艶のある音で聴いていてとても心地が良い。さすが”ハイレゾ相当”を謳っているだけあるのと同時に、圧縮音源をAI技術でアップスケールしてくれる「DSEE Extreme」の恩恵を強く感じた。
肝心のノイズキャンセリングについては、思わず唸ってしまうほどのクオリティとなっている。屋内はもちろんのこと、電車や繁華街を歩いた際もつねに「静寂」を手に入れることができる。筆者はいままで音量を上げることで無理やり周りの環境音をかき消していたが、本機では無用だ。
「スピーク・トゥ・チャット」は、予想通りとても使いやすい機能だった。
実際に本機を着けながらカフェに行き、注文、会計を行ったのだが、聞き取りづらいことは一度もなく、スムーズに会話を行うことができた。
しかし、自分の声を含め周りの環境音、相手の声に至るまで、すべての音が”機械で作られた音”という感じがした。会話をする上で全く問題はないのだが、「ヘッドホンを付けていないの全く同じ」とは言えない。今後の進化に期待だ。
使用していて、気に入ったポイントがいくつか見つかった。そのうちのひとつがデザインだ。
前作(WH-1000XM3)と比べるとさほど差はないのだが、実際に見比べてみると、本機はより洗練されたものとなっている。マットな素材感に、ムダな装飾を一切排除したシンプルなデザインは、ファッションアイテムの一部としてもとても有効だろう。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色展開。どちらも高級感が漂う風合いとなっており、カジュアルな場面はもちろん、ビジネスシーンやスーツとの組み合わせも抜群だろう。
機能の面として、接続の早さが挙げられる。
ソニー公式や、他のメディアでも「接続」についてはあまり触れられていなかったので、使用前は特に期待はしていなかったのだが、実際は驚く結果となった。事前に接続したいデバイスのBluetoothをオンにしておけば、電源を入れてからわずか2~5秒ほどで「Bluetooth、接続しました」という音声とともに接続が完了する。NFCが搭載されているデバイスであれば、本体左側のイヤーカップ部分にかざすだけで接続完了となる。2台の機器に同時接続できる「新マルチポイント機能」も搭載し、その他「Google Fast Pair」にも対応している。複数のBluetoothデバイスを利用する人にとっては、魅力的なポイントになること間違いなしだろう。
装着感の良さも一級品だ。
イヤーパッドがこれでもかというほど柔らかく、実際に装着しても全くと言っていいほど圧迫感を感じることはない。本体重量も254gとヘッドホンの中では軽く、長時間の使用も苦にならない。耳全体を優しくホールドしてくれるこの装着感は、ソニーストアや量販店にてぜひ体験してほしい。
WH-1000XM4は、40,000円(税抜)でソニーストア、その他販売店にて発売されている。ワイヤレスイヤホンと比べると気持ち高めの値段設定ではあるが、高品質のノイズキャンセリング機能にスピーク・トゥ・チャット機能と、本機でしか体験できない魅力を存分に持ち合わせている。カジュアルに音楽を楽しみたい人、音質にこだわりたい人、どちらにもおすすめできる万能ノイズキャンセリング付きワイヤレスヘッドホンだ。
取材/文・ババタクト
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