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ルンバの生みの親、アイロボットCEOコリン・アングル氏に学ぶ! 今後のビジネスに欠かせない「共創力」の育み方と使い方

2020.09.17

 

コリン・アングル氏の執務室にて。筆者撮影

「共に創る力」と書いて「共創力」。この言葉は、新型コロナウイルスによって、ニューノーマルに適応せざるをえなくなった人々や企業の間で、にわかに注目され始めた。しかし、実に30年も前から「共創力」を大切にして育み、それを活用することで世界のリーディングブランドへと成長したメーカーがある。

そのメーカーとは、日本でもおなじみの、ロボット掃除機「ルンバ」で知られるアイロボットだ。同社CEOのコリン・アングル氏が幼少時から身に付け、失敗と挫折を乗り越えてルンバを成功させる原動力となり、これからも自社ビジネスの成功の鍵を握ると考えている「共創力」の秘密を、彼の半生から紐解いていきたい。

 アメリカのボストン・ベドフォードに構えるアイロボット本社。敷地内の移動だけでもかなりの運動量になるほど広い。

幼少期に芽生えた共創の心

筆者が最初に聞いて驚かされたコリンのエピソードに、彼が3歳のときに直した自宅のトイレの話がある。

ある日、自宅のトイレの水が流れなくなっていることに気づいた母親が、修理会社を呼ぼうとした。すると、幼かったコリンが「僕にやらせてみて」と申し出たのだという。彼は、身の回りのものの仕組みを子ども向けに図解した絵本で、トイレの水が流れる仕掛けについて母に読んでもらったことを覚えていた。

自分では字が読めなくとも、母の協力で得た知識を活かせるチャンスが来たのである。母も、最初は躊躇があったものの、我が子のやる気を尊重し任せてみることにした。

そこでコリンは、トイレに持ち込んだ絵本の必要な箇所を母に読ませつつ、水タンクの中を覗き込んだ。すると、水を流すバルブにつながるチェーンが外れていることに気がつき、それをつなぎ直して修理に成功したのだった。

何かの問題に遭遇したとき、最初からできないと決め付けず、自分に足りないところは人の手を借りながらでも、まずやってみる。そして、1つ、2つの試みが失敗しても、必ず解決方法があると信じて努力する。3歳にして、すでにメカニズムへの興味と、目的を達成しようとする意志が芽生えていたコリンにとって、この出来事は、そうした人生哲学へとつながっていった。

幼少時のコリン。この頃からモノの仕組みを理解し、作る事が大好きだったという。

また、家族で「モノポリー」を楽しむこともあったが、母は子ども相手でも容赦なく、勝利への最短距離を突き進むような手を繰り出してきた。そこで、コリンとその兄弟たちは、戦略的なパートナーシップを結ぶことを覚えて対抗し、共通の敵となった母を封じ込めたうえで、改めて自分たちの戦いを繰り広げた。

母親は、わざと負けるようなことをせず、ルールに則ってどのようにすればフェアに勝てるのかを、身をもって子どもたちに教えたことになる。こうした家族の時間も、コリンが自らの「共創力」を育むうえで、大きな影響を与えた。

大企業との「共創メソッド」

今やルンバは、世界で最も有名なロボット掃除機だが、コリンはアイロボットを「ロボット掃除機の会社」とは思っていない。30年前の創業時から、アイロボットは広い意味で社会の役に立つロボットを作るという目標を掲げた企業であり、過去には、玩具メーカーのハズブロと共に赤ちゃんそっくりに笑ったり反応する「マイ・リアル・ベイビー」や、ジョンソン・ワックス(現SCジョンソン)と共同でスーパーマーケットの床などの業務用清掃ロボット、福島第一原子力発電所事故でも活躍した災害救助ロボットなどを開発したこともある。

15万体売れた「マイ・リアル・ベイビー」

災害救助用として開発された「パックボット」

コリンは、まだ発展途上だった小さなアイロボットが、すでにビジネスを確立している大企業と対等な立場で新たな製品を作り出すためのルールとして「共創メソッド」を編み出した。

それは、今までにない大胆なやり方だった。制約を最小化し、かつ、欲を出さずに相手企業の負担を減らすことで、 最大限の自由度を確保して開発を行うほうが、優れた成果物を得やすい、というのがコリンの考えだ。そこで、大企業に対して、次のように正直に伝えることにした。

「自分たちはMIT出身のエンジニアとソフトウェアの専門家によって構成された、革新的な技術を持つ企業ですが、規模は小さく、資金的な余裕もあまりありません。しかし、私たちと一緒にプロジェクトを進めれば、自社内の研究チームを動かすよりも安くて済むと思います。なぜなら、こちらは開発にかかる実費しか請求しないためです。

ただし、途中でどんなことが起こるのか、前もって見通すことは私たちにもできません。それが、発明というものだからです。開発のロードマップ的なものも用意しないでください。その代わり、出来上がったものに満足できなければ、契約を破棄していただいて結構です。

それまでにかかった実費のみ支払っていただければ、それ以上の補償をすることなく、いつでもキャンセルして構いません。ただし、もし私たちが御社にとって重要と思えるものを作り出したときには、そこから生み出される利益を分配していただければと思います」

前代未聞ともいえる話だが、コリンには勝算があった。実際のところ、それは、自分が相手の立場になっても満足できることを考えた結果の提案だったからだ。

このような「共創メソッド」から生み出された産業用ロボットが、最終的に家庭用のロボット掃除機ルンバへとつながっていくことになる。そして、シンプルな機構で最大限の効果を上げたり、一般消費者にもわかりやすく使いやすいインターフェースを作り上げるうえで、過去のすべてのロボット開発の経験がノウハウとして活かされたのである。

コリン曰く「ビーストだ!」と称えるほどのハイエンド版「ルンバ s9+」

コリン自らが考える「共創力」とは?

それでは、コリン自身は「共創力」について、どのように捉えているのだろうか?

「『共創力』には、色々な意味があります」と彼はいう。「たとえば、人の話によく耳を傾けることもそうですし、物事がひとつのまとまりとしてどのように機能するのかを分析することや、チームの一員として共に勝利を勝ち取る方法を考えることも『共創力』につながります。

自分が学生のころにクラスの友人とともに学術で成功を収めたこと、起業してから同僚と長い時間をかけてロボットを創り上げたこと、そして、共に新しいビジネスの可能性を広げ、他社との提携やソリューションを模索したことも『共創力』のなせるわざです。

『共創力』が、これからもアイロボットの原動力であるように、学生さんや若い起業家の皆さんはもちろん、長くビジネスに関わっている方々にとっても、困難な決断を行ったり、新しくエキサイティングなチャンスを周囲と共にどのように活用するかを考える際に、進むべき方向を示すコンパスになれば幸いです」

ここで紹介したコリン・アングル氏に関するエピソードは、筆者がアメリカのボストン郊外にあるアイロボット本社を訪れて行なったインタビューと取材の成果をまとめた『「ルンバ」を作った男 コリン・アングル「共創力」』(10月29日発売)から抜粋し、再構成したものである。

※デザインは予告なく変更する場合もございます

コリン流「共創メソッド」とは? 世界で初めて語られた1冊

コリンのユーモラスで刺激的な知的探究への旅の記録でもあるこの書籍では、今回紹介できなかった興味深いアイロボットの歴史やルンバの開発秘話、そして、若きエンジニアや起業家、企業人へのメッセージなども含めて、コリンが何より重視している「共創力」を、さらに多角的に把握することができる。

これから起業を考えている人はもちろん、人生や事業で成功するために必要な資質を学びたいと思う人たちに、ぜひ読んでいただきたい1冊だ。

『ルンバを作った男 コリン・アングル「共創力」』の予約はこちらから
 Amazonからも予約できます。こちらから

コリン・アングル氏がアイロボット及びルンバを語る動画はこちらから
※CEOメッセージカテゴリーで見られます。

文・取材写真/大谷和利

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