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「日本のビッグ2」南野拓実と久保建英、欧州リーグ新シーズン成功への道のり

2020.09.16

David Aliaga/MB Media / Getty Images

新型コロナウイルスの影響で開幕がずれ込んでいた欧州各国リーグが9月に入って続々と始まっている。12日からはイングランド・プレミアリーグとスペイン・リーガエスパニョーラが開幕。乾貴士(エイバル)や岡崎慎司(ウエスカ)ら30代ベテラン勢が先発出場する中、日本期待の”ビッグ2”、南野拓実(リバプール)と久保建英(ビジャレアル)はともにベンチスタートを強いられた。久保は13日のウエスカ戦の後半32分から出場したものの、南野は三年ながら出番なし。2人揃ってここから序列を上げていく必要に迫られている。

南野は「強力3トップの控え」から脱却できるか?

 まず南野だが、今年1月にイングランド王者へ加入後、ご存じの通り、コロナの影響で変則的なシーズンを強いられた。その結果、リーグ出場10試合でゴールはゼロ。本人も難しさと悔しさを強く感じたことだろう。その分、2シーズン目となる今季はより結果にこだわらなければいけない……。並々ならぬ闘争心を抱いてプレシーズンの調整に突入。FAカップ王者・Cアーセナルとの間で行われた8月29日のコミュニティ・シールドで待望の移籍後初ゴールを奪った。これでプレミア開幕スタメンを強烈にアピールした思われたが、ユルゲン・クロップ監督の強烈3トップへの絶対的信頼は揺らがなかった。

 リーズ戦で最前線に陣取ったモハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネは切れ味鋭いパフォーマンスを披露。南野の最大のライバルと目されるサラーはPK2発を含めてハットトリックを達成している。これでは「3トップ全員の控え」という位置づけから脱するのは容易ではなさそうだ。今季プレミアは交代人数が5人から3人に戻り、9月は週1ペースの試合。ミッドウイークの試合は23日のリーグカップ(EFLカップ)だけだから、劇的に出番は増えそうにないが、本当の勝負はUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)本戦の始まる10月以降。そのあたりになれば、強力3トップのケガやコンディション不良も出てくるだろうし、超過密日程でメンバーの入れ替えが不可欠になってくる。そこでゴールに直結する結果を残せば、序列は確実に上がるはずだ。

「拓実はクロップのサッカーで献身的な守備とゴールに直結する仕事を求められる。真面目でプレーに連続性のある選手だから、クロップがドルトムントで香川真司(サラゴサ)を使い続けてくれたような状況を勝ち得ることができるかもしれない」と2016年リオデジャネイロ五輪代表時代の恩師・手倉森誠監督(長崎)も前向きに語る。香川というセレッソ大阪出身の先輩からクロップの考え方や求めるものを徹底的に学べる立場にいるのもアドバンテージだ。

サラーもクロップも下でゴール製造機に改造されたが、南野もこの前半戦でそう変貌できれば、「強力3トップの控え」という位置から脱却できる。「リバプール・ビッグ4の一角」になれるように、武器であるフィニッシュに磨きをかけていくこと。そこが彼に託される重要命題と言っていい。

(Photo by John Powell/Liverpool FC via Getty Images)

特定のポジションにこだわりがないのが久保の強み

 一方の久保だが、開幕スタメンが予想されていただけに、ウエスカ戦の起用法は日本の多くのサポーターを落胆させた。8月のビジャレアル移籍決定直後は「(同クラブの)ウナイ・エメリ監督は久保の成長を強く望むレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長との間に太いパイプがあるから、今季の彼の出場機会は保証される」という見方をされていたが、現実はそこまで楽観的ではない様子。レアルの期待を背負う19歳のアタッカーと言えども、自力で他のライバルたちとの競争に勝ち、絶対的地位を確立させていく必要がありそうだ。

 開幕戦を見る限りだと、トップ下を巡るライバルと目されるのは、背番号7のスペイン代表MFジェラール・モレノ。ビジャレアルのアカデミー育ちで、昨季は35試合出場18ゴールと圧倒的な活躍を見せ、リーガのベストイレブンにも選出されている。今季もPKだが、いきなりウエスカ戦で1点目をマーク。「目に見える結果」を残している。久保と同じレフティではあるが、180㎝・77㎏と体躯も恵まれていて、体格差という部分でも彼に分がある。久保はその壁をどう超えていくのか。いずれにしても、マジョルカ時代以上に「ゴールに直結するプレー」を研ぎ澄ませていくことを考えなければならないはずだ。

 ただ、久保が出てきた時間帯のように、モレノとタテ関係で共存する道もないわけではない。久保がトップ下、モレノが最前線に入ったことで、新たな攻めのバリエーションが生まれたのは確か。久保自身も終了間際に強引な左足シュートを放ち、あわやゴールという場面を作っている。その思い切りのよさはただの19歳の日本人選手ではない。加えて言うと、久保は左右のサイドでもプレーできる万能アタッカー。そのアドバンテージを前面に押し出せば、この先の出場機会は増えてくるのではないか。

「今の自分はどんどん吸収してく段階だと思うので、どこでもできるよっていうのを1つのウリにしていければいいかなと思います」と1年前に日本代表合流時に本人も話していたが、特定のポジションにこだわりがないのが彼の強みでもある。中村俊輔(横浜FC)や香川など日本サッカー界をけん引してきた攻撃的MF陣はトップ下に強いこだわりを持っていたが、新時代のアタッカーはどこでもある程度以上のクオリティを出せるのが、生き残っていくうえで必須なのかもしれない。それを19歳で理解しているのはやはり大きい。

 この日、直接対戦した岡崎は24歳だった2011年1月にシュツットガルトへ移籍し、2013年夏にマインツへ赴き、そこで2シーズン連続2ケタゴールをマークして、レスターにステップアップ。30歳でプレミアリーグタイトルを取るに至った。この先人の軌跡に比べ、久保は5年ほど前倒しで飛躍のステップを踏んでいる。今のビジャレアルが岡崎にとってのマインツだとしたら、ここで2ケタゴールなどの目覚ましい働きを見せれば、必ずレアル復帰と試合出場への道が開けてくる。そういう意味でも今季は勝負の年。それは少年時代からバルセロナで過ごした久保自身が誰よりもよく分かっているはずだ。

 南野と久保という「日本ビッグ2」が揃って強烈な輝きを放つことができれば、日本サッカー界にも希望が見えてくる。10月には日本代表活動も再開される予定で、2021年には東京五輪、2022年カタールワールドカップ予選も控えている。そこで彼らが2枚看板としてチームをリードするような状況になることを願ってやまない。

取材・文/元川悦子

長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

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