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受け取るなら65歳より前?それとも後?年金の繰り上げ、繰り下げ受給によって起こるメリットとデメリット

2020.09.12

年金の繰り上げは年金受給開始の65歳前から受取る事で、逆に繰下げは受給開始を65歳以降にすることです。繰上げ繰下げすることでどんなメリット・デメリットがあるのか解説します。

年金受給は65歳から

国民年金の老齢基礎年金と厚生年金の老齢厚生年金ともに、受給開始は原則65歳以降になります。

自営業者などの第1号被保険者、主婦などの第3号被保険者の方は老齢基礎年金のみの受給で、会社員や公務員などの第2被保険者は老齢基礎年金+老齢厚生年金を受給できます。

その他に別途、確定拠出年金(企業型DC、個人型iDeCo)、民間年金保険などに加入していれば60歳から受給開始とすることができます。

なお、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上(会社員だったことがあるなど)あり、以下の生年月日に属する方は65歳未満でも厚生年金の特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます
(男性:昭和36年4月1日以前に生まれた方、女性:昭和41年4月1日以前に生まれた方)。

定年退職の時期が延長される傾向にありますが、60歳に退職して収入がなくなった、または継続雇用に切り替えたが収入が下がったなどで65歳未満から年金を受給したいという場合もあるでしょう。

または、自営業で定年がない、65歳以降も現役並みの収入があるという方は年金の受給時期をもう少し後にしてもいいと考える場合があるかもしれません。

前者の場合は年金の繰り上げ、後者の場合は年金の繰下げができる制度があります。

年金の繰り上げ受給のメリット・デメリット

年金は原則65歳以降からしか受け取れませんが、60歳から繰り上げして受給することができます。

その代わり、年金額が減り、減額された年金額が一生続きます。

■メリット

1.年金が早く受け取れる

65歳までの間に収入がない、収入額が少ない間も、年金を受取ることができます。

2.早死したとき損しない

年金受給期間中に万が一のことがあると、もちろん本人はその後の年金を受給できません。

そのため、早くから受給しておけば年金受給期間中に万が一のことがあってもそれまで受給できます。

ただ、残された家族は条件に該当すれば遺族年金を受取ることができます。

遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、子が18歳以上である場合には遺族基礎年金は受給できず、会社員などの第2号被保険者だけが受給できる遺族厚生年金のみとなります。

年金受給期間中は子が18歳以上になっている方がほとんどだと考えられるため国民年金のみの自営業者などの第1号被保険者は保険料の払い損となる可能性もあります。同じ国民年金のみの主婦などの第3号被保険者は夫の扶養に入り保険料を支払っていないため払い損とはいえないですが、残りの年金は受給できません。

一方、会社員などの第2被保険者が年金受給期間中に万が一のことがあれば、残された家族(生計を維持されていた妻または55歳以上の夫、18歳以下の子や孫、祖父母)は遺族年金を受給できるため、払い損とはいえません。

■デメリット

1.年金が減額されその減額された年金額が終身続く

繰り上げたときの減額率は国民年金のみの場合の金額増減の例でいうと、満額年781,700円、月約65,000円(令和2年4月分からの満額を参考、年によって変わる)から計算すると以下になります。

なお、満額支給のためには、40年間の全期間保険料を納めている必要があります。

満60歳で繰り上げ受給30%減額 年約547,190円円 月約45,600円
満61歳で繰り上げ受給24%減額 年約594,092円 月約49,500円
満62歳で繰り上げ受給 18%減額 年約640,994円 月約53,400円
満63歳で繰り上げ受給 12%減額 年約687,896円 月約57,300円
満64歳で繰り上げ受給 6%減額  年約734,798円 月約61,200円

上記のように満額から大幅に減額されてしまいます。

厚生年金においても減額率は異なりますが減額されてしまいます。

なお、全額ではなく一部繰り上げすることも可能ですが、厚生年金の老齢厚生年金のみの繰り上げ請求はできません。

2.長生きのときの老後資金枯渇リスク

減額された年金額が生涯続くため、長生きしたときに年金収入と支出で赤字があれば資産から補いその補う金額が多くなり、それが長く続くと老後資金が枯渇してしまいます。

3.繰上げると受給できない年金がある

繰上げ請求すると、その後重い障害状態で受け取れるはずの障害基礎年金が受給できません。障害基礎年金は重度であれば年金額が1.25倍になりますが、その受給を受けることができなくなります。また、年金又は夫の万一のときに妻が60歳から65歳まで受け取れる寡婦年金を受け取ることはできなくなり、受給中であれば停止されます。

繰下げのメリット・デメリット

繰り上げてしまうと生涯減額された年金を受け取らなければいけないリスクはありますが、60歳から65歳までどうしても生活が立ち行かない場合は考えるのも一考だと思います。繰り上げ受給には、デメリットが多いため、減額された金額と実際にかかる生活費を考えて繰り上げをするかどうかをじっくり考えましょう。

■メリット

1.年金額が増え、生涯続く

繰上げと同様、繰り下げたときの増額率を国民年金のみの場合でみてみましょう(満額年781,700円、月約65,000円)。

満66歳で繰り下げ受給8.4%増額 年約847,362円 月約70,600円
満67歳で繰り下げ受給16.8%増額 年約913,025円 月約76,000円
満68歳で繰り下げ受給 25.2%増額 年約978,688円 月約81,600円
満69歳で繰り下げ受給 33.6%増額 年約1,044,351円 月約87,000円
満70歳で繰り下げ受給 42%増額  年約1,110,014円 月約92,500円

このように、大きく年金額を増やすことができます。繰下げ同様、老齢厚生年金は上記と異なる増額率となります。なお、繰下げ時期を老齢基礎年金と老齢厚生年金と別々に設定することが可能になっています。

2.長生きリスクに備えられる

増額された年金額が生涯続くため、長生きしたときに老後資金に余裕ができます。

■デメリット

1.早死すると損

年金受給期間中に万が一のことがあると、本人はその後の年金を受給できないため、せっかく繰下げ増額された年金額が受給できません。

ただ、残された家族は条件に該当すれば遺族年金を受取ることができるため、子が18歳以下、妻が専業主婦の国民年金のみで年金額が少ないなどであれば増額したことで家族が安心して暮らせます。ただ、子の加算などの加給年金部分は繰下げたとしても増額されません。

安易に考えず老後の収支を想定してよく検討して考えよう

気をつけたいのは厚生年金に加入して働いているときに繰下げたときです。

年金受給期間中に会社員・公務員等で厚生年金に加入して現役並みに働いていると、在職老齢年金といって老齢厚生年金の年金額が減額されます(国民年金の老齢基礎年金は在職老齢年金制度はない)。そんなときに減額されるなら、年金を受給せずに繰下げたら在職老齢年金が適用されずに受給額が増えるのではと考えるかも知れません。しかし、繰り下げで在職老齢年金で減額された金額に対して増額するのみで、在職老齢年金で減額される前に対して適用されるわけではないため注意して検討しましょう。

また、老齢厚生年金の繰り下げの場合は、厚生年金基金、企業年金連合会からの年金も合わせて繰下げとなります。

繰上げ繰下げは生涯適用され撤回ができないため、よく考えて請求しましょう。

文/大堀貴子
フリーライターとしてマネージャンルの記事を得意とする。おおほりFP事務所代表、CFP認定者、第Ⅰ種証券外務員。

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