
私の十八番でもあるお花の話をしてみたい。
何年もお花の世界に携わっている中で、ここに来てネイティブフラワーの人気が急上昇していることを体感する。
プロテア、バンクシア、セルリア、ピンクッション…皆さんは目に・耳にされたことはあるだろうか。
私が運営するオンラインショップ「世界の花屋」でも、こうしたネイティブフラワーを用いたブーケやドライフラワーの注文は凄い勢いで伸びている。
“王者の風格”が漂うアフリカのワイルドな花たち
一番人気のお花は、何といってもプロテア。
花言葉は、”王者の風格”
説明は不要。写真の通り、存在感が、もう、すごい。そして、かっこいい。
特に、プロテア界の頂点に立つのが、キングプロテア。
王冠のように開く様にはただただ圧倒される。
さて、そんなネイティブフラワーのお花たち、嬉しいことに、最近は男性からの注文が増えている。
”大切な人へ贈りたい”
と。
定番のお花だとちょっと照れるけど、ワイルドでかっこいいネイティブフラワーならその珍しさもあり贈るほうも嬉しい気分になる。
しかも、”センスいいね” と褒められるのだそうだ。(笑)
筆者も花バイヤーとしてこんなに嬉しいことはない。
ネイティブフラワーを贈る前に知っておくべき5つのこと
そこで、今回は皆さんがネイティブフラワーを贈るときの”小ネタ”をいくつかご紹介したい。
お花を贈るとき、是非そんなストーリーを皆さんの口から添えてほしい。きっともっと喜んでもらえる、はず。(笑)
1.産地のこと
産地のほとんどはアフリカ大陸最南端、南アフリカ共和国。
そう、地球のほぼ真裏からお花たちが旅してくるのである。
特にキングプロテアは南アフリカ共和国の国花でもあり、”南アフリカの美しさの象徴”と言われる。
そして、産地はウエスタンケープ州。人気の南アフリカワインと同じエリア。プロテアを贈りながら、同じ土壌から生まれた南アフリカワインを傾けたら・・・もう言葉は要らない。テーブルの上だけ南アフリカへ旅した気分になれること間違いなし。
2.元々は木だった!?
手に取った方ならお分かりになるだろうが、とにかく茎が太い!
普通のはさみなら茎を切ることは不可能だろう。
なぜこんなに太いのか。それは、プロテアは元々が木だったのだ。
いまでも南アフリカ、特に南西部を旅すると、道端に普通に”プロテアの木”が生えている。
これは主にプロテア・コンパクタと言われる野生種なのだが、今から30-40年ほど前、この野生種をベースに品種改良がなされ、皆さんのお手元にある”切り花としての美しいプロテア”が出来上がったのである。
3.商用化まで5年!
世界中でプロテアほど、商用化まで時間のかかるお花はない。
苗を植えてから商用出荷されるまでの時間、なんと5年!
それはもう、気が遠くなるような年数である。
でも、皆さんがプロテアにハマるように、生産者の皆さんもプロテア好きが多い。
自分の畑の農道を滑走路にして飛行機を飛ばす人がいたりと僕に言わせると生産者さんもお花のごとくワイルドな人が多いのだが(笑)、とにかく、皆プロテアを愛している。
だから、5年間待つことができるのである。
4.ドライフラワーにできる。
ネイティブフラワーの特徴は水分量が少ないこと。
そのため、比較的カンタンにドライフラワーにできる。
皆さんがブーケや花束を受け取ったとして、1週間ほどしたらドライフラワーにしてみるとちょうど良い。
ここから2週間ほど、プロテアは美しく色褪せ、ドライフラワーへと変化していくのである。
ドライフラワーにすると、(保存状態にもよるが)半年~1年は楽しむことができるので、贈った時の想い出をドライフラワーとして残して頂くととても良いと思う。
5.メタボ体質
プロテア業界では、プロテアは別名”Sugar Eater”と呼ばれる。
とにかく、糖分なしでは長持ちできないお花なのである。
そのため、生産者さんによっては、収穫後、一旦砂糖水にプロテアを漬けて吸い上げさせた上で出荷している人もいる。]
プロテアの中心のフサフサした部分、実はこの中には糖分が詰まっており、南アフリカではこの糖分を狙う鳥すらいるほどだ。
ちなみに筆者もメタボ体質なのだが、”プロテアのようにメタボだから表現できる美しさがある”と自分で言い聞かせている。
以上、こうして書いているとお役に立てているか不安になってきたが(笑)、そんなストーリーと共にプロテアを愛でて頂けるととても嬉しいです。
文/小林邦宏
旅するビジネスマン。これまで行った国は100ヶ国以上。色んな国で新しいビジネスをつくるおじさん。
現在は新型コロナウィルスの影響で海外渡航制限中により国内で活動中。
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