多くの親が対峙する子どもの歯磨きイヤイヤ問題、進んで歯を磨きたくなるライオンのIoTハブラシ「クリニカKid's はみがきのおけいこ」
2020.09.11■連載/阿部純子のトレンド探検隊
子どものがんばりを可視化して、やる気と継続性を引き出す
子どもが進んで歯みがきを続けたくなる、子どもの成長をサポートするIoTハブラシ、ライオン「クリニカKid's はみがきのおけいこ」がテストマーケティングとして、ショッピングサイト「LOHACO(ロハコ)」を通じて、9月9日より発売開始した。
約9割の親が、「嫌がる」「適当に済ます」など子どもの歯みがきに対する悩みを持っている。しかし、子どもの歯みがき嫌いは実は本能的な反応。幼少期には、反射的に身を守ろうとする「触覚防衛反応」が残っていることがあり、ハブラシのような異物を口に入れることを本能的に避けてしまうことがあるという。
子どもの歯みがき嫌いはごく自然なことと捉えて、本商品の開発では、子どもの心理的な実態を前提に置いた、心理学に基づいたアプローチで、子どもの歯みがき嫌いを改善していくことを目的としている。
商品を購入するとボックスが届き、おうちの形のパッケージから絵本が登場。親子で絵本を読む中で歯みがきの体験が始まる。専用デバイスを歯みがきに装着しスマートフォンと連携することで、歯みがきがスタート。
上手に歯みがきができたかを点数で評価し、子ども自身が上達を実感でき、親は重点的に仕上げみがきする場所がわかる。アプリの中では、“泥んこで汚れてしまった動物のキャラクターを歯みがきできれいにする”というストーリーが展開される絵本型コンテンツにより、子どもが歯の清潔という概念を理解しやすく、キャラクターのために歯みがきを上達したいと自ら向上心を持つといった、子どもが自発的に歯みがきを続けたくなる3つのポイントを押さえた設計になっている。
1・キレイにすると気持ちがいい!
子どもは清潔という概念を正しく理解するのが難しいという前提があるので、歯みがきするのは気持ちよいと学ぶ。気持ちがいいとわかることでやる気を引き出す。
2・みがき方がわかると楽しい!
音楽とアニメーションのガイドを見ながら前、後ろ、右、左、上下とまんべんなく歯みがきをする動かし方をサポート。子どもが上達するポイントを的確に示し、その成功体験を重ねていくことを重視したごほうびや、がんばった結果のフィードバック、点数設定、課題設定盛り込んでいる。
3・上達していくのがうれしい!
毎日のがんばりで「上達していくのがうれしい!」と実感し、それを見ている親がほめてくれるのもうれしいと思わせる。成功体験を積み重ねることで、子どものやる気を明日につなげる。
開発にあたっては、歯科専門家の鶴見大学 朝田芳信教授、絵本研究家の日本女子大学 石井 光恵教授らの協力を得て行われた。
「歯みがきは子どもの心の自立と体の運動機能を成長させる効果があります。この製品を使うことで、子ども自身が歯みがきを前向きに捉えられるだけでなく、達成感も得られるようになり子どもの自主性を育みます。実際に歯みがきのスキル(歯垢除去力)が向上したことも確認し、本研究成果は、第58 回日本小児歯科学会大会(2020 年6/1~6/18 誌上開催)にて発表しています」(朝田教授)
「クリニカKid's はみがきのおけいこ」では、事前モニタリング体験者の約89%が子どもの成長を実感したと回答。
「歯みがきが嫌い過ぎてもう諦めていた息子がちゃんとみがいてくれるし、飽きずに続いているなんて信じられない」(5才児の保護者)、「歯のみがき方だけでなく、数字や文字の勉強にもなりそう。忙しい私にはぴったり。朝のお仕度の流れまで身についてきた」(3才児の保護者)」や、下記のような高評価が寄せられている。
加速度センサーを搭載したデバイスを「クリニカKid's ハブラシ3~5 才用」に付けて起動することで、手の動き、位置、速さを検知。検知したデータを即時にアプリケーションで解析し、みがいた場所、みがけていない場所をイラストで分かりやすく表示する。アタッチメント本体は、micro USB で充電可能。満充電あたり、「アプリモード」で約120 回(約300 分)使用できる。
スマホを充電していないと使えない、アプリを毎回立ち上げるのは面倒、子どもにスマホを渡したくないという意見を反映し、アプリと連動させなくてもデバイスのセンサーから音が出る「音だけモード」も。「音だけモード」で溜めたデータはアプリと連動すれば蓄積される。
LOHACOのビジネスモデルを活用した販売チャンネル
「クリニカKid's はみがきのおけいこ」はLOHACOの特設サイトより販売。本商品は購入して終了ではなく、使用習慣をサポートしていくという特性があるため、日用品販売のLOHACOが販売、マーケティングで協力を行う。
LOHACOが2019年からスタートしたビジネスモデル「LOHACO Insight Dive」を活用。本商品ユーザーが購入後のアプリ利用状況を検証でき、さらにLOHACO上でどういったオーラルケア製品を買って、どのくらいのタイミングで交換しているのかといったデータを、ライオン側のデータと連携して、ユーザーの買い物志向やオーラルケアの動向などマーケティング活動をサポートする。
LOHACOを運営するアスクルは今回の取り組みをこう話す。
「子ども用オーラルケア商品を起点とし、ブランドロイヤリティへの影響を購買実績から定量的に検証することも可能。家族分アイテムへの拡張、ひいてはライオンオーラルケア商品全体への購買に広がるよう、ニーズに合った販促施策や顧客体験を実現することができる。
メーカーの想いや市場創造と、ユーザーの課題が一致しているのか、解決しているのかを、買い物という行為で答え合わせをする。データをメーカーと積極的に連携することで、消費者の課題解決の共通言語として様々な協業を実現したい」
【AJの読み】多くの親が直面する“歯みがきイヤイヤ”を解決
うちの子どもが小さいころ、歯みがき粉のフレーバーにうまく丸め込まれていたのか、多くの親が直面する“歯みがきイヤイヤ”はあまりなかった。だが保育園時代のママ友からは「ハブラシに噛みつき、これ以上口の中に入れないように抵抗していた」「脚で腕を押さえつけて、無理やりみがいていた」など苦労話を聞かされていた。
イヤイヤ時期から一人でみがけるようになる年齢になると、「適当に済ます」「仕上げみがきを嫌がる」という悩みに、これまた多くの親が直面する。こうした悩みを解決する、自主的に歯みがきをして楽しいと思わせるデバイスが「クリニカKid's はみがきのおけいこ」。モニターの反応ではかなり期待できそうだが、LOHACOとの連携により、ユーザーからのフィードバックが反映されたアップデートの可能性もありそうで、進化するデバイスとしても注目したい。
文/阿部純子
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