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仕事やプライベートで「不釣り合いは不縁のもと」と言われる根拠

2020.08.25

■連載/あるあるビジネス処方箋

 私は10数年前、特に2008年から2011年まで3人の編集者と仕事をすることに特に精神的に苦しんだ。今回は、その経験からつかんだ教訓を紹介したい。

 3人は、社員数で言えば300人∼500人の出版社やIT企業に勤務する男性。当時30代後半代から40代半ばで、役職は副編集長(課長)もしくは一般職。それぞれ別の会社に勤務する。会社は、いずれも入社(新卒)の入社の難易度では業界で中位から下位。

 結論から言えば、3人と仕事について深い会話ができないのだ。たとえば、Aという質問をすると、Bが返ってくると思いきや、Dとなる。BやCではない。それを確認すると、やや興奮して回答をする。電話やメールの双方でこのパターンだった。3人は私と同世代なのだが、15~20年程下に見えた。つまり、ビギナーに思えるのだ。実際に会って話をしても、仕事の会話がなかなかできない。

 通常、30代後半代から40代半ばの編集者ならば仕事はもっとできる。ところが、20代のレベルだった。私は違和感を覚えつつ、対応をしていた。こちらが何かを指摘すると、感情的になり、「自分のほうが上なんだ」と言わんばかりの雰囲気になる時もあった。自分を大きく見せようとしているようだった。私は、自分が悪いことをしたのだろうかとよく考えた。当時から今に至るまで、ここまで会話ができない編集者は少ない。

 あれから10年数年が経つ。3人の一連の言動の謎が解けつつある。彼らのプロフィールをフェイスブックで数週間前にふっと見つけた。3人とも、当時の会社に籍を置いていた。職歴を見るとその会社に入る前に、つまり、20代前半から30代後半に2~5社を数年ごとに転職していた。そのほとんどの会社の知名度は低く、規模も小さい。入社(新卒)の難易度で言えば、業界の下位になる。

 彼らとなぜ、仕事のやりとりができないのか、わかるような気がした。おそらく、3人は当時30代後半代から40代半ばではあったが、仕事の経験そのものは実質的には5~10年しかなかったのではないだろうか。業界の下位のレベルの会社は新卒よりは中途採用に重きを置く。一般的には20∼30代の社員の離職率は概して高く、その少ない中から管理職が選ばれる。昇格のハードルは、大企業に比べると相対的に低い。部下育成の力も低く、部下の仕事力も総じて大企業の社員よりは見劣りする傾向がある。

 私はこの仕組みや実態を当時、正確にはつかめていなかった。業界の中位から下位の会社の社員であろうとも、きちんと話し合いをすれば深い意思疎通ができると信じていた。それはこの3人に限って言えば、私の思い込みでしかなかったのかもしれない。私は必死に説明し、説得しようとしていた。今にして思うと、3人からすると、当てつけや批判にしか見えなかったのではないか、と感じる。余計なお世話と思ったのかもしれない。

 私は、2005年まで会社員を15年程していた。新卒で入社する社員が全社員の9割以上を占める会社で、社員間で共通の思考や認識、考え方が浸透していた。3人と話し合う時のような違和感や誤解、理解不足はほとんどなかった。あらためて思うが、深い話し合いをしようとするならば、相手を選ばないといけない。双方の経験や意識、考え方があまりにも異なると、状況いかんでは摩擦や対立になりかねない。

 これは、リアルな職場のことだけではない。インターネットの世界でも言える。たとえば、フェイスブックの「友達」でも同じことが言えるだろう。互いの背景(年齢、出身地、学歴、職歴、趣味など)が重なる人が多いはずだ。「友達」を増やそうとして、背景が異なる人に接近することもあるのだろうが、摩擦が起きたり、長続きしなかったりしないだろうか。つまりは、「不釣り合いは不縁のもと」なのだ。例外もあるが、この傾向があるのは否定しがたいのではないか。

 私のようなフリーランスの人は、慢性的に収入が不安定になる。仕事欲しさに背景が大きく異なる会社の人とコンビを組むことがある。私は、会社を離れて数年後の2008年~2011年がその時期だった。それで進めた場合、短い期間はコンビを組むことができても、1年以上になると、意思疎通が難しいと感じる機会が増える。その時、10数年前の私のように「自分のどこがいけないのだろう」と考えるべきではない。ただ単に背景が異なるだけなのだ。生きてきた歴史や生きている世界が違うのでしかない。どちらがいい、悪いではない。

 このコラムを読む人が、職場で周囲と深い会話ができずに苦しいならば、双方の背景は大きく異なるのではないかと自問してみたらどうか。「自分に問題がある」と考えることは避けてほしい。あなたに問題があるならば、それと同じくらいに相手にも非があるのだ。ビジネスとは、そのようなものだと私は思う。

文/吉田典史

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