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国際ダークスカイ協会の認証を得た防犯灯で「星空保護区」の認定に挑む岡山・美星町

2020.08.22

写真提供:美星天文台

美星町という、実に美しい名前の町がある。

岡山県の西南部に位置する井原市美星町は、昭和29年(1954年)6月1日に小田郡美山村、堺村、宇戸村、川上郡日里村の4か村が合併して誕生した。

その名前は、町域を水源に南へと流れる、美山川と星田川の名を1字ずつ取り命名されたという。星田川の「星田」という地名は、流れ星が落ちた跡に祠(ほこら)を建ててお祀りした、「流れ星伝説(星尾降神伝説)」が由来とされる。

【参考】美星町観光協会サイト

そんな美星町は長年、星を見るための町としてイベントなどを開催してきた。

昭和62年(1987年)の8月17日〜21日の5日間、美星水路観測所広場で「スターウォッチング星空の街コンテスト」を開催、翌年(1988年)1月に、美星町を含めた全国108の自治体が「星空の街・あおぞらの街」に選定された。

岡山県は「晴れの国」と呼ばれる、晴天の多い県。特に美星町は高原のなだらかな地形で気流も安定し、星空を見やすい地形だ。また、市街地や工業地帯から離れており人工光が限られ、夜空が暗いこともあり、国内でも有数の天体観望適地となっている。

そんな美星町の星空を守ろうという声があがり、平成元年(1989年)11月22日に、日本初の光害防止条例となる、「美しい星空を守る美星町光害防止条例」が、全国に先駆けて制定されたのだ。

写真提供:美星天文台

アジアで初めての星空保護区(ダークスカイ・コミュニティ)認定に向けて

光害防止条例制定から30年。美星町を含む井原市は現在、「ダークスカイ・コミュニティ」のアジア初認定取得のため、努力を進めている。

大舌 勲井原市長

「ダークスカイ・コミュニティ」とは、国際ダークスカイ協会(International Dark-Sky Association=IDA)の星空保護区認定制度による、星空保護区のカテゴリーのひとつだ。

【参考】
国際ダークスカイ協会
東京支部

IDAは1988年にアメリカで設立されたNPOで、現在、世界に60以上のを支部を持つ。光害に関する様々な活動(フィールド調査、星空保護区認定制度、条例制定支援など)を行い、メンバーには天文関係者を中心に、照明技術者、環境学者、法律家などが参加する。

「星空保護区認定制度(International Dark Sky Places)」は、暗い自然の夜空、すなわち美しい夜空を保全するための取組を、世界基準で評価する国際的な認定制度のことを指す。わかりやすく言えば、星空の世界遺産認定のようなイメージだ。

認定には、

1.屋外照明についての厳格な基準のクリア
2.暗い夜空を保護する地域の取組
3.人々がその夜空を体験できる環境整備

などが求められる。

2020年7月9日現在、星空保護区に認定されたのは、世界で141か所となっている。

星空保護区はカテゴリーわけがされており、井原市が目指す「ダークスカイ・コミュニティ」は、町や市などの自治体単位が認定対象となる。このダークスカイ・コミュニティには28の地域が認定されているが、アジアではまだ認められていない。

ダークスカイ・コミュニティの認定基準は様々あるが、例えば屋外照明については、「フルカットオフ型」と呼ばれる、水平より上に光が一切漏れない形状が望ましいとされ、ランプの色温度は3000ケルビン以下(薄いオレンジ色のような色味)とされている。

また、点灯時間や輝度、面積などにも厳密な基準があり、認定取得には地域住民の協力が不可欠だ。

IDAの東京支部は、東洋大学准教授の越智信彰氏が代表となっており、同氏の支援を受けながら井原市ではダークスカイ・コミュニティ申請に向けた準備が着々と進められている。認定の可否はIDA本部(米国)内の世界各国のメンバーで構成される星空保護区審査委員会で判断される。

国内メーカー初、「星空に優しい照明」認証取得の防犯灯・道路灯

ダークスカイ・コミュニティの認定には、照明設備としてフルカットオフ型で色温度が3000ケルビン以下のタイプが必要だ。

その照明設備の製作に取り組んだのが、パナソニックだ。

防犯灯は当初、角度が30度ついたものが用意され、美星町に2019年夏に試験品として設置されたという。

照明器具の説明をする、パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社の椋木教太さん

岡山県井原市美星町の設置状況(2020年2月時点)

しかし、この30度の角度が付いた状態では、IDAが基準とする「水平より上に光が一切漏れない形状」にはそぐわないと越智代表より指摘を受け、角度のないタイプに改良された。

その改良版が2020年5月より設置された。

星空保護区が今後増えて、星空観測ブームが来る!?

そして同社は国内メーカーで初めて、IDAによる「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」の認証を取得。井原市をはじめとする「星空保護区」の認定を目指す地域に、「IDA認証照明器具」を提供していく予定だ。

「IDA認証 光害対策型防犯灯」

「IDA認証 光害対策型道路灯」

IDA東京支部の越智代表は、「星空保護区に興味を持っている場所は複数あります。公にしているところでは、東京都の神津島村が星空保護区(パーク部門)指定を目指しています」という。

これからは世界遺産の星空版、「星空保護区」が注目されるはず。もしかしたら、一大観光都市として人気の町が、人々の熱気と夜空の静けさと共に、星空保護区から生まれるかもしれない。

写真提供:美星天文台

取材・文/中馬幹弘

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