
「退職率が低い企業」から学ぶメンタルヘルス管理の考え方
メディカルコンチェルトの経営者を対象にしたリモートワークにおける社員の健康管理・メンタルヘルス管理に関するアンケート調査により「退職率が低い企業、売上が高い企業では、ある共通した傾向がある」ことが判明した。
経営者が考えるリモートワークにおける重要課題 1位は「生産性の向上」
1か月足らずの間に急速に拡大したリモートワーク。十分な準備もできないまま開始された企業も多いだろう。
リモートワーク開始から1か月以上が経過した今、経営者が考える「リモートワーク継続における重要課題」についてアンケートを実施したところ、1位は「生産性の向上」(51.0%)だった。
2位以下は「マネジメント方法の変更(40.8%)」「在宅ワークの環境整備(36.7%)」と続き、「健康管理」「メンタルヘルス管理」はともに28.6%(第5位)という結果に。今後、リモートワークの環境が整備されるとともに生産性の回復・マネジメントの方法が確立してくる中で、「健康管理」「メンタルヘルス管理」の分野は、これまで外部機関に委託している企業も多い。健診のオンライン管理やオンライン面談の需要は一層高まることが予想できる。
健康・メンタルヘルス管理を「専門家に依頼する」と回答した企業では「退職率が低く、売上が高い」
一部企業では、緊急事態宣言終了後も、社員の働きやすさ・オフィスコストの削減といった理由から、リモートワーク導入を検討し始めている。リモートワークが長期化した場合、従業員の健康管理・メンタルヘルス管理はどのように行っていくのか、今、経営者たちはどのように考えているのかアンケート調査を行った。
健康管理・メンタルヘルス管理について、産業医などの専門家への依頼を「考えている」と回答した企業は46.9%。その割合は、従業員数の増加と共に高くなる傾向がみられ、従業員数26-50名未満の企業では、産業医雇用義務がないにもかかわらず、80%という結果だった。
また、「考えている」と回答した企業では、1年以内の退職率低く、売上高が高い傾向にあることが分かった。その背景としては、従業員の数が増えるに従い、これまで個別に対応できていたメンタルヘルス問題への対応が徐々に難しくなること、IPOなどを見据えた企業が、メンタルヘルス面の対応強化として、専門家への依頼を検討すること、などが挙げられる。
「専門家へ相談しない」と回答した理由の大半が「相談できる人がいない」
専門家への相談を「考えていない」と回答した経営者の中で、その理由別にみると、約半数の経営者が「相談できる人がいない」(46.2%)と回答しました。スタートアップ企業など、産業医雇用義務がない50名未満の企業にとって、「臨床心理士」「産業保健師」「産業医」は、あまり身近な存在ではないかもしれない。
それに代わる役割として、「地域産業保健センター」が設けられており、従業員の健康面やメンタルヘルス面に関して相談することが可能だ。
また、最近では、50名未満の企業も対象とした「オンライン産業医相談サービス」「スポット産業医面談サービス」もあります。リモートワーク継続下であっても、こういったサービスをうまく活用し、アフターコロナの世界を見据え、社内における新たな「健康管理」「メンタルヘルス管理」の体制つくりがいま、求められているのではないだろうか。
【調査概要】
調査名:COVID-19による在宅ワーク拡大の影響と健康・メンタルヘルス管理に関する実態調査
調査対象:経営者・役員
調査期間:4月1日~4月30日
調査方法:インターネット
構成/ino.