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リーズナブルな焼肉店で感じた 「過度な期待」をせずに食べるほどリアルな満足感を得られる理由とは?

2020.08.08

 所用で池袋に出ていたのだが、実は少し前から気になっていた店があった。最近よく耳にするようになった一人焼肉の専門店が池袋にもできたという。とすればこの機会に行かない手ははない。

気になっていた“一人焼肉専門店”に初入店

 快晴の空で過ごしやすい気候の1日だったが、目下の感染症の影響で街の人出は3割減といった感じである。以前であれば人波に揉まれる駅東口界隈は何のストレスもなく通り抜けられた。

 なかなかアダルトな店舗や劇場が立ち並ぶ一角にある目的の“一人焼肉専門店”に入ってみると、中途半端な時間であるにもかかわらず席は8割ほどが埋まっていた。けっこうな人気店である。カウンター席のテーブルには1席につき1台のロースターが埋め込まれていて、一人焼肉の世界がまさに完結している。場所柄、スーツやワイシャツ姿のビジネスマンの姿が目立ったが、私服姿の女性客も少なくなかった。みたところ全員一人客のようだった。

 現在、あらゆる場所で“3密”は避けなければならないのだが、1人で黙々と食べる一人焼肉はもしかしたら“ニューノーマル”にふさわしい外食かもしれない。しかも焼肉店はもともと換気に優れているので、この点については特別な対策をする必要はないのだろう。

 注文は席に設置されているタブレット端末のタッチパネルで行う。せっかくだからいろいろな肉を食べてみたいと思い、牛タン、カルビ、ハラミのセットを注文。肉は合計で200グラムで、ご飯は普通盛りを指定。今回は特に頼まなかったが、トッピングなども最初の操作で注文することができる。注文が済めばロースターに火をつけて到着を待つ手はずだ。もちろんロースターの火力は自由に調節可能である。

 すぐに店員さんがトレイに乗せた注文の品を届けてくれる。このトレイはテーブルの窪みにすっぽり収まるようになっていて安定感ある設計だ。セットにはご飯のほかにキムチとワカメスープがついていた。準備は万端に整い、待望の一人焼肉に突入だ。

※画像はイメージです

 すべてが自分の思いのままになるという一人焼肉はほかの外食では得難い体験になる。

 和牛ではないこともありそれほど期待はしていなかったが、じゅうぶんに美味しい。薄味のワカメスープもさっぱりしていて、束の間のランチ焼肉を存分に堪能した次第だ。

楽観主義者も悲観主義者も生活の満足度が低下

 リーズナブルな焼肉店に入っておいて、よもや高級店の味を求めることはないが、かといってがっかりする体験をしに入店するはずもない。想定通りに満足できればそれでいいのだ。

※画像はイメージです

 そして最新の研究でも、期待値を高めたり逆に悲観的になったりすることなく相応に見積もって意思決定することで、長期的な生活の満足度(well-being)が高まることが報告されている。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスとバース大学の合同研究チームが2020年6月に「Personality and Social Psychology Bulletin」で発表した研究では、1600人のイギリス人を18年間追跡調査する研究を通じて、楽観主義者と悲観主義者の誤った期待値が生活の満足度を低下させている実態を示している。

 この研究論文は、メンタルヘルスには正確な自己認識が必要であるという古典的な見解を説明するものです。

 楽観的であろうと悲観的であろうと、誤った期待を持つ者は現実主義者よりも(人生の幸福度が)低いことがわかります。

 これらの調査結果は、偏った信念を保持することに関連する意思決定の誤りと反作用の感情から生じる可能性があります。

※「SAGE Journals」より引用

 研究チームはイギリス人1600人に対して毎年、自分の収入がどのくらいになるのか見積もってもらい、実際の年収との違いを18年間にわたって調査している。そしてこのデータによって各人の生活の満足度(well-being)を測定したのである。

 分析の結果、自分が期待する年収と実際の年収がほとんど同じである現実主義者が最も生活の満足度が高かったのだ。一方で期待する年収が高額になる楽観主義者と、逆に過小評価する悲観主義者のどちらも生活の満足度が低くなっていた。経済活動が及ぼすメンタルヘルスへの影響において現実主義者のアドバンテージが示されることになったといえる。

過度な期待をせずに食べた焼肉の満足感

 人生を前向きに考える“ポジティブシンキング”が人生の成功や幸せに通じる方法としてこれまで各種の自己啓発書などで推奨されてきたが、しかし今回の研究によって長期的な観点に立てばポジティブで楽観的であることよりも、リアリスティックな思考を優先させたほうが充実した生活を送る可能性が高くなることになる。

“ポジティブシンキング”に続くトレンドとなっているのが“マインドフルネス”だが、こちらの場合は特に前向きな思考をするわけではない。マインドフルネスでは今のこの瞬間に意識を集中させることで深い瞑想状態に入ることを目指しており、その意味ではポジティブでもネガティブでもなく、価値判断や意思決定を一切しないことで心身の健康と生活の充実を図るものだ。マインドフルネスの観点からは意図的にポジティブになることはナンセンスでしかないのだろう。

 気づけば焼肉は最後の1枚になってしまっていた。ほぼ完全に煙を吸い取る無煙ロースターなので服に焼肉の匂いがつく心配もない。こうした点も女性客に喜ばれるのだろう。

 過度な期待をせず、逆に初めての店だからと疑心暗鬼にもならずに食べた焼肉はまさに現実主義的な食体験で、そのぶんリアルに満足できそうだ。もちろんあまり期待をせずに入った店の料理が予想外に美味しかったとしたら嬉しくないはずはないが、そうした幸運が続くと“失敗”したときのダメージがより大きくなるかもしれない。

 実力でものにした結果であればいざ知らず、想定外の幸運にはあくまでも謙虚になって喜び過ぎないことが肝要ということになるだろうか。

文/仲田しんじ

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