日本橋・兜町。
一万円札の顔にもなった渋沢栄一がかつて邸宅を構えていたこの街は、日本で初めて銀行や証券取引所などをおこしたことから、「証券の街」「金融の街」として日本を支えてきた。
そんな歴史ある街 日本橋・兜町が、今オシャレスポットへと生まれ変わりつつある。
街のアイコンとなるのは銀行をリノベーションしたホテル「K5」
今年2月にオープンしたホテル「K5」
大正12年に建てられた銀行をリノベーションしたホテルである。重厚で荘厳な雰囲気のエントランスをくぐると、緑に囲まれたスタイリッシュなデザインのコーヒーショップ「SWITCH COFFEE TOKYO」がお出迎え。
この他にも、目黒の人気レストラン「KABI」がプロデュースするレストラン「CAVEMAN」、ニューヨーク発のクラフトビールブランド「ブルックリン・ブルワリー」など、注目の飲食店が入っており、宿泊者以外でも楽しむことができる。
「Revitalize」をコンセプトとして、「1つの企業が開発を行うのではなく、感性を共にした様々なジャンルのチームが集って共同でプロデュースする」という「マイクロ・デベロップメント」として位置付けられているK5。
小規模な複合施設ながらも、人の五感を刺激し、街全体を活性化させることを目指している。
兜町の未来への可能性に共感して集まった飲食店が集結!
K5のオープンにより、変化を遂げた兜町。
そんな兜町の未来への可能性に共感して集まった独立系飲食店が、兜町の更なる活性化に向け、集結した。
Ease
予約の取れない星付きフレンチレストラン「シンシア」の立ち上げからシェフパティシエを勤めた大山恵介氏が、新たに開業したパティスリー。
キラキラと輝く大粒のブルーベリーがたっぷり乗ったブルーベリータルト。バターがたっぷり入ったタルトは、噛むごとに口の中でホロリと崩れていく新感覚のタルトである。
Neki
フランスや国内のグランメゾンで修行後、渋谷の人気店「ビストロ・ロジウラ」のシェフを務めた西恭平氏がオープンしたレストラン。
広々とした厨房が見渡せるカウンター席で、ワインと共に頂く、火入れに拘った肉と、日本の四季の野菜を取り合わせた料理は絶品である。
この他にも、アジア初進出となる人気クラフトビールブランド「Omnipollo」のビールスタンド、ナチュールワインの発信源となる「Human Nature」、自家焙煎も行うコーヒースタンド「Stockholm Roast」のオープンが予定されている。
ニューヨーク・ブルックリンを彷彿させる兜町活性化プロジェクト
今回の兜町活性化プロジェクトは、ニューヨーク・ブルックリンにどこか通じるものがある。
貧困層が住む、暗く危険なエリアだったブルックリン。
しかし、マンハッタンの地価高騰に伴い、クリエイターたちが移住するようになり、空洞になっていた工場や倉庫がリノベーションされ、ブルックリンはゴーストタウンからトレンドの発信地として生まれ変わった。
銀行をリノベーションして造られたホテル「K5」のように、ブルックリンにもアメリカの政府銀行「Williamsburgh Savings Bank」をリノベーションしたイベントスペース「Weylin」が存在している。
また、ブルックリンの再生にビールで貢献したのが「Brooklyn Brewery」
ドイツからの移民が多かったブルックリン地区では、禁酒法時代以前から本場ドイツビールの製法を守り続け、芳醇なビールを生み出したと言われている。
奇しくも、K5の中には、「ブルックリン・ブルワリー」の世界で初めてとなるフラッグシップ店「B」が入っている。
古いものを活かして新しい街をつくった結果、感度の高い人々が多く集まるようになり、街全体が活気づき、トレンドの発信地となったブルックリンのように、兜町もなっていくのだろうか。
2021年夏頃には再開発ビル「KABUTO ONE」のオープンも予定されている。
「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」から今後も目が離せない。
文/小松佐保(Foody Style代表)