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コロナ禍の困難な状況下、企業が従業員と「共感をもって勝ち抜く」ための4つの動向とは?

2020.08.07

企業が「共感(エンパシー)をもって勝ち抜く」ための4つの動向

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、世界中の組織の現在と未来に向けた取り組みの変革を加速させている。

困難な状況下、中でも先陣を切る企業が焦点を当てているのは、従業員の健康的なライフスタイルの増進、財務的なウェルネスの支援、AIやテクノロジーの発展によってもたらせるキャリアの変化に対応するスキルとトレーニングを提供することである。

その理由は、明らかだ。

マーサーの2020年グローバル人材動向調査によれば、従業員の34%は3年以内に自らの仕事がAIやテクノロジーに代替されると予側しており、61%は将来の仕事の在り方に向け会社が備えてくれていると考え、55%が自動化の結果として仕事内容が変わっても会社が従業員を再教育してくれることに期待している。

企業は、これら諸問題に対する変革を進めるにあたり、人事リーダーの63%が賃金の伸びの停滞を予測している中、会社の目的や従業員に対する責任、将来的な処遇の在り方を再考すべき時期にきている。

また、新型コロナウィルス(COVID-19)や新たな人材戦略の適応に影響を与える経済の鈍化など、予期できない課題に向き合いながら実行する必要に迫られている。

「求められているのは、経済的合理性と心理的な共感(エンパシー)のバランスです。世界的なパンデミックによる疑念、不安、不確実性に向き合っている今、その重要性は高まっています。組織は、未来に対する準備と投資を可能にする財務モデルと文化的なマインドセットを持つ必要があります。特に人事部門にとっては、持続可能な組織を創り出すための目的と優先順位の再考が必要不可欠であると本調査は明示しています」

組織・人事変革・戦略グローバルリーダーのIlya Bonicは述べる。

それでは4つの動向とは?

将来に焦点を当てる

従業員が現在から将来に亘り活力を持てるよう、協力し合う。企業の新たな義務として、エグゼクティブの85%が組織の目的は株主第一主義を超えた範囲に拡大すべきと考えている。一方で、現在それを実施している企業は35%に過ぎない。

従業員の3人に1人は、株主や投資家だけでなく、あらゆるステークホルダーに対して責任を示す雇用主の元で働きたいと述べている。さらには、組織の成功は、社員の成長を支援し、持続可能なビジネスを組成できるかに依拠する。経営アジェンダとして、経営の68%が、環境や社会、ガバナンス(ESG)のゴールにより注力したいと回答していることがそれを示唆している。

従業員の61%は、将来の仕事のため備えを会社が進めていると信じている一方、その63%は燃え尽き症候群になるリスクを感じている。ベテラン社員の72%が退職年齢を超えても働き続けることを計画しているためキャリアパイプラインは細くなり、ジェネレーションX世代の55%は、職場の在職期間が延びることで自身の昇格機会が限定されていると回答。

高齢な社員に対するより効果的なマネジメントに、共有できる価値観の創出が挙げられる。3/4以上(78%)の従業員は長期的なファイナンシャルプランを立てることを望んでいるが、今日、従業員に対するファイナンシャルプランの教育機会を提供している会社は23%に過ぎない。

「組織のステークホルダーを支えるもの、人事にとってそれはテクノロジー、従業員としては信頼、経営に関しては人事といえるでしょう。それら支えが強固なとき、互いに支え合う強さが増します。しかし、弱まっているときには、ステークホルダー各々の持続可能な未来を創り出す能力が毀損することになります」と、アドバイザリーソリューションおよびインサイトリーダーのKate Braveryは述べる。

ほとんどの地域で、従業員にとって最も価値のあるキャリアサポートは、個人的かつ専門的な成長の機会の提供であると回答(73%)。アジアでは、将来どのようなスキルが重要となるか、または不要となるかを知ることがリストのトップに入っている(72%)。一方、アフリカでは、自身のライフステージに関わりなくキャリアに関する有益な対話ができるマネージャーに価値も見出している(72%)。カナダでは、従業員の82%が将来必要とするスキルに自社の学習コンテンツがよく整合していることであると回答している。

「人材を獲得・維持するために、企業は、社員に対する十分かつ公平な成長・発展の機会、彼らの身体的、財政的なウェルネスに違いをもたらす健康・退職貯蓄戦略、共通の将来に向けた共同責任を生み出す信頼関係といったものを、将来にわたって提示・提供することが必要になります」と、Kate Braveryは続けた。

再教育に全力で取り組む

新しい事業環境に向けて、再教育で従業員を変革する。人材への投資こそ、ビジネスを成功に導く最も有効な手段である。全組織の99%が、その変革の実現に投資しており、また顕著なスキルギャップがあることを明らかにした。従業員の能力と未来に必要なスキルの欠如が、変革が失策した最大の理由であるとされている。

従業員の78%は新しいスキルを習得する準備はできていると答えているにも関わらず、38%はそのトレーニングに十分な時間がないという。さらには、人事リーダーで、未来の仕事に備えるための人事戦略の一部として、社員の学習とリスキルに投資をしていると回答したのはわずか34%に過ぎず、40%は社員には今どのようなスキルがあるのかを把握していない。

「この変革は、適応すべきかどうかではなく、何が最善の道かが問われている状況です。組織として一歩先んずるために、全世代の従業員に対し、大規模で迅速なリスキルに取り掛かる必要があります」とKate Braveryは強調する。

全地域の従業員が、イノベーションが今後12カ月で最も要求されるスキルであると述べている。北米やラテンアメリカの人事リーダーは、従業員と同意見を示している。しかし、他の地域の人事リーダーは、デジタル・マーケティング(アフリカ、欧州、中東、太平洋地域)と、データの可視化(アジア)をトップ項目に挙げた。ドイツでは、従業員と人事リーダーともにデジタル・マーケティングをトップに掲げている。

科学で感じ取る

人間の洞察力でAIを活用することで、先を見通す。機械学習の進歩は、あらゆる産業と人々の生活に浸透している。予測分析の活用の範囲は、この5年間でほぼ4倍に拡大した(2016年の10%から、今日では39%に上昇)。

しかし、人事の領域で離職する可能性のある従業員を特定するために指標を活用している組織は43%、重要な人材の離職の可能性に活用している組織はわずか41%に過ぎない。報酬戦略とパフォーマンスに与える影響を把握している組織は全体の18%、データからより人材を採用/育成/調達する方法を決めることができると回答した組織は全体の15%、不公正を改め再発を防止するために分析を活用していると回答した組織は12%にとどまった。

この他、様々な形態による従業員エンゲージメントデータの収集もまた増加している。企業の62%がパルスサーベイを活用する昨今、33%がパルスサーベイに対し2020年に投資する計画があるという。機械はスケールとスピードが求められる仕事でヒトを凌駕する一方で、感覚的なチェックや判断など倫理的意思決定および重要な要素において、ヒトは機械よりも優れている。

67%の人事リーダーは、AIが組織的に集められたバイアスとならないことは保証できると確信している。しかし、倫理の順守という点では、人材に関する分析に向けた情報収集、応用、洞察の抽出は、依然として初期的な段階にある。人材アセスメントは、ヒトの直感が、デジタルアセスメントと同等に求められる分野である。今日、従業員の2人に1人(52%)が評価に対して肯定的な経験があり、それが有用であるとことが判明している。

「企業は、以前に比べ人間の行動と認知の理解を深めています。企業が、これら情報をどう収集し行動するかという方法論において、道徳的かつ公正な倫理性がより一層問われています」とKate Braveryは述べている。

全ての地域で、経営幹部が重視する分析と、人事リーダーが提供している分析結果の間には断絶があった。太平洋地域では、「特定のチームが他チームより優れており、もう一方が苦闘している理由」といった経営層が2番目に知りたい分析結果について提供していると回答した人事は53%であった。しかし、従業員エンゲージメントの主要因という経営が最も知りたい分析結果について、提供している人事はわずか39%だった。オーストラリアに見受けられるこのような分析の浸透が進んだ市場でも、従業員エンゲージメントの主要因に関する洞察を提供している人事はわずか39%なのである。

経験を豊かにする

社員の職場体験を再デザインし、社員に刺激と活力を与える。従業員に対する職務経験の提供は、人事の最優先事項である。58%の組織が、従業員体験を重視した再設計を進めている。しかし、経営幹部間では、従業員の職務経験の在り方がビジネスに利益をもたらすと考えているのはわずか27%に過ぎなかった。

従業員の61%が会社は従業員の福利厚生に配慮していると信じ、経営層の48%がそれを従業員の最大の関心事項と位置付けているにも関わらず、健康と福利厚生に関する戦略を持つ人事リーダーは29%にとどまっている。この点は、従業員の健康と福利厚生に重点を置く会社の従業員は4倍以上活力がある確率が高いことから見逃せない。活力のある従業員は、組織の変革アジェンダを実現するために必要不可欠だ。彼らは会社にとどまる可能性が高く、辛抱強く、より高いレベルでスキルを再構築する準備ができているためである。

人事変革は組織の重点課題である。そして、従業員の職務経験の提供を実現するには、人事部門が壁を取り払う必要がある。しかし、統合された人材戦略を持つ人事リーダーはわずか40%にとどまった。

「従業員との双方向のやり取り(インタラクション)が大切です。進歩的な従業員ケアから、柔軟な働き方への公正な処遇に至る全てのインタラクションが、従業員の企業における経験を形成します。20年以上にわたる人事の変革は、それなりの成功を収めてきました。企業には、何が従業員のモチベーションとなりパフォーマンスを高めるかについて再検討し、典型的な人事モデルから離れることが求められています」とKate Braveryは言及する。

欧州、北米、中東では、従業員の経験を改善することが人事の仕事の最優先事項に位置付けられている。アジアと太平洋地域においては、人事実務の変革(採用、業績管理、後継者管理)、 また、中南米、中でもメキシコやブラジルでは将来の学習とリスキルへの投資が最優先事項に挙がった。

マーサージャパン株式会社代表取締役の島田圭子はコメントする。

日本においては、グローバル化、デジタル化、少子化・高齢化という経営環境の変化を受け、競争ルールが大きく変わる中で、企業の持続的成長を支える人材戦略を、従来の制度・慣習の抜本的な改革やそこからの脱却を含め本質的に再構築する必要がもとよりありました。今回のパンデミックで原則在宅勤務となる従業員が増える中で、さらに次のような変革が求められています。

リモートワークでも、チームとして生産性を維持するために曖昧だった役割・職務を再定義し、プロセスや成果を正しくモニタリング・評価すること。特定領域の市場における需要が減る中で人材を有効活用するためのリスキル(再教育)すること。物理的な接触が減る中で、従業員が組織・職場に帰属する意義や、エンゲージメントを高める体験価値を再定義すること。

これらの変革を、試しながら修正していくアジャイルなアプローチが求められ、また許容される環境になってきていると考えます。例えば、ポールサーベイというオンラインで従業員にその場で意見を募るサーベイ等で、即時にフィードバックを受けながら対応を進めることができます

構成/ino.

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