
国内の消費関連企業は、需要の伸び悩みや人手不足、競争激化などから、『再編』が必要と見られてきたが、これまでのところあまり進んでいなかった。
こうした中、新型コロナの感染拡大によって売り上げが落ち込むだけでなく、在宅勤務の定着などで消費スタイルが一変したため、ビジネスモデルの抜本的な見直しが不可避との見方が大勢。今後生き残りをかけ業態の垣根を超えた『再編』の加速が予想される。
そんな消費関連企業の「再編」について三井住友DSアセットマネジメントがレポートを公開したので紹介しよう。
【ポイント1】コロナは消費に大きな影響、業態や企業間でも明暗
新型コロナの感染拡大を契機に営業自粛や外出自粛などにより消費は大きな影響を受けているが、なお収束が見えない状況にある。
またコロナ禍での消費行動の変化により業態や企業間でも明暗が分かれている。こうした状況を受け、消費関連企業は『再編』に踏み出し始めた。
【ポイント2】『再編』に関する発表が相次ぐ
7月8日、伊藤忠商事はグループのファミリーマートをTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化すると発表した。
新型コロナの感染拡大による在宅勤務の定着などで都心部のオフィス街に強いファミリーマートへの影響は大きく、コロナ禍はこの決定を後押しした。
7月9日には、外食大手のコロワイドが、定食チェーンの大戸屋ホールディングス(HD)にTOBを実施すると発表。
株式保有割合を現在の19%から51%に引き上げ、子会社化することで業績回復を目指す。コロワイドは20年6月の定時株主総会で大戸屋HDの経営陣の刷新を求める株主提案を行なったが、否決されていた。
オンワードホールディングス(HD)とZOZOは7月13日、衣料品の製造販売で提携すると発表。
一時ビジネス関係を解消したが、新型コロナの感染拡大で市場環境が悪化する中、アパレル各社は新たなビジネスモデルの育成を急ぐ必要に迫られ今回の決定となった。
【今後の展開】ウィズコロナに対応するため、踏み込んだ『再編』が加速
消費関連企業は、新型コロナの収束が見通せずビジネスモデルの転換加速を迫られている。「3密」回避の必要性は競争環境をがらりと変え、より多くの顧客を呼び込むことで利益を上げる仕組みを続ける事が難しくなる。
ウィズコロナ時代に対応するため、外食、居酒屋、アパレルなど消費関連で業態間の垣根を超えた提携、合併、買収などを通じて踏み込んだ『再編』が加速すると予想される。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
関連情報:https://www.smd-am.co.jp/
構成/DIME編集部
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