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外傷性脳損傷の重症度の予測に血液検査が有用か、米国立衛生研究所臨床センター研究

2020.08.05

外傷性脳損傷の重症度の予測に血液検査が有用か

血液中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)と呼ばれるバイオマーカーの測定により、侵襲性の腰椎穿刺での検査と同程度の正確性で、脳震盪などの外傷性脳損傷(TBI)の重症度を予測できる可能性があるとする研究結果が、「Neurology」7月8日オンライン版に掲載された。

研究論文の筆頭著者である米国立衛生研究所(NIH)臨床センターのPashtun Shahim氏は、「NfLは脳震盪やTBI診断の血液バイオマーカーとして非常に有望であることが分かった。

血中NfLレベルの測定により、脳が損傷を受けた後、何年間も消耗性の症状を呈する可能性がある人を特定するのに役立つだけでなく、医師が患者の脳震盪やTBIのタイプに応じた治療を行う助けにもなる可能性がある」と述べている。

NfLは、神経細胞が損傷・死滅した際に血液や脳脊髄液中に放出される、神経細胞に特有のタンパク質である。今回、Shahim氏らは、スウェーデンと米国で2011~2019年に登録した参加者を対象に、血液中のNfLレベルと、髄液中のNfLレベル、TBIの診断や重症度などとの関連を前向きに検討した。

スウェーデンで登録された対象者は、プロのホッケー選手104人(年齢の中央値27歳)。このうち、45人は過去1週間以内に脳震盪を起こしており、31人は複数回にわたる脳震盪の既往があり、28人は脳震盪の既往または症状が1年以上なかった。

また、アスリートではない健康な人14人を対照群とした。全ての対象者は、NfLレベルを測定する血液検査を受けたほか、複数回の脳震盪既往歴がある31人と対照群については、腰椎穿刺により脳脊髄液中のNfLレベルも測定された。

その結果、血中NfLレベルの中央値は、複数回にわたる脳震盪の既往がある選手で18pg/mL、過去1週間以内に脳震盪を起こした選手で12pg/mL、脳震盪の既往または症状が1年以上なかった選手で10pg/mL、対照群で9pg/mLであり、腰椎穿刺も行った対象者では、これらの血中NfLレベルが脳脊髄液中のNfLレベルと相関することが明らかになった。

また、血中NfLレベルは、脳震盪を起こしてから1年以上が経過していても、脳震盪の回数および重症度と強く関連することも分かった。

一方、米国で登録された対象者数は230人で、内訳は、TBI患者162人(平均年齢43歳)と健康な人(対照群)68人である。TBI患者については、TBI発生後30、90、180日後および1、2、3、4、5年後に、血液検査を行うとともに、機能アウトカムを評価し、また、画像検査も実施した。

その結果、血中NfLレベルの中央値は、TBI患者で12.8pg/mL、対照群で6.3pg/mLであり、これらのレベルは、脳イメージングなどの、より高度な検査で確認されたTBIの重症度と密接に相関することが明らかになった。

また、血中NfLレベルにより、軽度、中等度、重度のTBIを正確に区別することができた。さらに、TBI患者のNfLレベルは、TBI発生から5年後まで経時的に低下したものの、対照群のレベルより有意に高い状態が維持されていた。

こうした結果を受けてShahim氏は、「血液検査による血中NfLレベルの測定は、より侵襲的な腰椎穿刺による髄液検査と比べて、速い上に容易である。今回の研究は、簡便な検査で、脳の損傷の程度と長期的な予後を正確に予測できる可能性を示しており、心が躍る」と話している。

ただしShahim氏は、今回の研究で、血液検査によるNfLレベルの測定の有効性が実証されたわけではないとし、「この検査法を臨床現場に導入するには、より規模の大きな研究を実施して、TBIスペクトラム全体および別の集団においてNfLがどのように変化するかを確認する必要があるだろう」と述べている。(HealthDay News 2020年7月9日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://n.neurology.org/content/early/2020/07/08/WNL.0000000000009983

Press Release
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/3804

構成/DIME編集部

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