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食で SDGs を体感できるオール・サステナブル・フレンチ「Noeud. TOKYO」の、一期一会なコース料理の愉しみ方

2020.07.28

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

環境にこだわった食材を、無理をしない、無駄にしないサステナブルな調理法で

ウエディング事業を手がけるタガヤと、元UNIQLO USA のクリエイティブディレクター、梶友宏氏(TOMODACHI Ltd. 代表)が手掛けた、食で SDGs を体感できるオール・サステナブル・フレンチ「Noeud.TOKYO(ヌー. トウキョウ)」が永田町にオープンした。

ヌー. トウキョウでは、食材だけでなく、内装、メニュー、カトラリー、おしぼりに至るまでSDGsを意識した取り組みを行っている。

食材の選定は、シェフが使用する食材すべての生産者に会い、栽培方法や生産方針を聞いたうえで、味を確かめ直接買い付ける。野菜に関しては地産地消、旬産旬消を意識し、近隣の茨城、千葉の生産者を中心に、無農薬や有機栽培の野菜を購入。

無投薬、平飼いで極力自然に近い状態で生育された家禽や、生態系を守るため駆除対象となったジビエ(鹿、きじ、イノシシなど)を使う。通常は捨てられる部分や、市場でサイズが小さく売物にならない魚類など、食材を無駄にせず、フードロスの少ない料理を心掛けている。

例えば、通常は土臭く捨てられてしまうセロリの根っこも、4時間かけて丁寧に泥を落とし、一皿の中でも様々な“無駄にしない”調理法を重ね、栄養価が高く、野菜だけでも飽きさせない味の変化を生み出している。

また、フランス料理で良く使用される鴨肉は柔らかいむね肉の部分で、硬いもも肉は生産者側で捨てられることが多い。ヌー. トウキョウでは、フードロス防止の観点とSDGsの目標「飢餓をゼロに」にある小規模食料生産者の所得を増やすこと、そして生産者の持続可能な経営を守るために、鴨1羽を丸ごと買い付け、もも肉も余すことなく使用している。下記画像は「京都亀岡の七谷鴨もも肉×ビーツ」。

フランスなどで14年シェフとして活動し、2つ星レストラン「クロ デ サンス」でスーシェフの経験をもつ秋田絢也シェフと、自分の目で確かめた、自然環境にも身体にも良い厳選食材を、無駄なく美味しく食べていただくことを信念とした中塚直人シェフのダブルシェフ体制で手掛ける。

入荷する食材に合わせてメニューが決まるため、フレンチ特有の定番名物料理「スペシャリテ」を用意せず、毎日メニューが変動する、一期一会のコース料理1種(8〜10皿・1万3000円、ペアリングワイン 6000円/すべて税サ別)のみとなる。提供する料理の順番もこだわらず、食材と調理法によって変える。ディナーのみ、17 : 00 ~と20:00~の二部制。メニューが日替わりということ、資源を無駄にしない観点から、メニューリストは紙ではなくQR コードで用意。

スマホやタブレットで読み取ると、料理名ではなく食材名と産地が書かれており、カウンターからシェフ自らが料理の説明をしながら提供する。

また、世界のベジタリアンにサステナブルな日本の生産者と日本の食文化を伝えたいと、「ラクト・オボ・ベジタリアン」、「ペスキタリアン」など、多様なベジタリアンに対応するメニューを用意。事前に細かくヒアリングし、客に合わせたオーダーメードコースメニューを提供する。

サステナブルを意識した店舗内装

協働した梶氏はレストランのコンセプト、店舗デザインプロデュース、ロゴのデザインからWebなどクリエイティブディレクションの全てを担当。店舗でも各所にSDGsの取り組みを行っている。「店舗デザインでは、なるべく素材を二次加工することなくそのまま使うことで、内装建材からも地球環境との関わりを感じることができる空間を目指した」(梶氏)

フレンチレストランでは珍しいカウンター型テーブルは、料理をシェフが届け、シェフとの対話も楽しむことをテーマにしている。テーブルは愛知県豊田市の寺で、危険木として倒された国産杉、イスは北海道のナラ材を使用。

店舗はもともと、30年以上に渡り夫婦で営んでいたフレンチレストランで、二人の引退を機に店舗を引き継いだ。以前のレストランは解体しても、できるだけ新しいものを使わずに残そうと、レストランの玄関ドアは前のレストランのものをそのままリサイクルしている。

内装にはコンクリートを極力使用せず、土と石灰、にがりを混ぜて締固めて構築する「版築」という左官工法を用いた壁を使用。土の壁は湿度調整に優れ「呼吸する壁」と言われている。

土は京都西陣にある聚楽第跡地付近の古い蔵を解体し保管していた「聚楽土」を使用。安土桃山時代の貴重な聚楽土約20トンを京都から運び、店内の壁としてリサイクルした。

おしぼりは、風力発電を使い生地を織っている「IKEUCHI ORGANIC」のオーガニックタオル。カトラリーは町ぐるみでサステナブルを取り組んでいる燕三条市のメーカー、ナイフは福井県の龍泉刃物、砥石くずを使って焼き物を始めたという起源がある砥部焼の器と、細部に至るまでサステナブルを重視したセレクトに。

【AJの試食】“安心できる”フレンチを堪能

着席すると目前にオープンキッチンが広がり、調理、盛り付けしている様子を見たり、ソースや素材の香りが漂うライブ感のある設え。シェフ自らがテーブルに運び、料理に使われている素材や調理法などのストーリーを語ってくれる。

ウエルカムドリンク(私は日本酒スパークリングをセレクト)に合わせるのは、4種のじゃがいものチップスと、コーンのタルト。ニンジンも皮の素揚げや、スモーク、ピューレといった様々な調理法で楽しむ。

スペインの冷製スープ「ガスパチョ」を分解して、それぞれの食材の持ち味を引き出し一皿に仕上げた。トマトはフレッシュ、グリル、酢漬け、パウダーなど5種類の調理法を用いて、様々な味、香りが楽しめる。ピクルスはきゅうりとイチゴ。イチゴは旬がコロナ禍と重なり、売れ残ってしまった農家から買い取り酢漬けにしたもの。トマトの透明な部分を取って、きゅうりとミキサーで混ぜたソースと合わせて、ピクルスの酸味、トマトの甘味、グリルのスモーキーさなど、味わいや食感の違いを一皿で味わえる。

千葉県産の鯖を酢締めして、千葉県の柴海農園のモロヘイヤと合わせた一品。飾りに揚げた長ねぎ、モロヘイヤと鯖の中にも炒めた長ねぎが入っている。黄色の粉末は卵黄と酢を合わせてそぼろ状にしたもの。画像はトッピングのねぎを崩した状態だが、とろみのあるモロヘイヤの青みと、酢締めの鯖の酸味が絶妙に絡まる。

みかんイノシシ(後述)と同じ個体のイノシシのタン。じゃがいものムースとキノコと合わせ、パセリで作ったスポンジをアクセントに。歯ごたえのあるタンをふわふわのムースとスポンジが包んで、キノコの香りも加わったマリアージュが面白い。

淡路たまねぎを様々なニュアンスで表現した一皿は、たまねぎを焦げる寸前までローストしたものや、チーズを合わせたたまねぎのラビオリなどを、たまねぎと播州醤油で作ったコクと香りのあるソースでいただく。

八幡平サーモンを塩漬けにして、柴海農園のビーツを煮詰めた汁に漬けこんだ色鮮やかな一皿。中央の卵黄ソースは酸味があり、サーモンのうまみとビーツのシャキシャキ食感も楽しめる。

千葉沖で採れた尾長鯛を使った一皿は、網にかかってしまった10㎝以下の市場で売り物にならない小魚を買い取ってスープの出汁に仕上げた。

瀬戸内海に浮かぶ大島はみかんが盛んに作られている地域で、みかんを食い荒らすイノシシを猟師が仕留めたものが「みかんイノシシ」。みかんを食べて育っているため、肉に柑橘系の香りがある。相性の良い今治みかんのピューレを添えて。付け合わせのキヌアはイノシシの脂で炙ったもの。イノシシ本来の味を活かすために、ワインをあまり使わずイノシシの骨と筋からとった肉汁ソースをかけていただく。

デザート2品。唐辛子に似ているが、辛味や苦味がなく甘みも少しあるバナナピーマンをコンポートしてピューレ状にしたソースをミントアイスにかけて。甘酸っぱさとほんのり苦味もあるバナナピーマンとミントアイスが、肉料理の後の口直しにぴったり。

ヤギのミルクをキャラメル状になるほどに詰めたものに、その上にヤギのミルクで作ったムースとアイスに、タピオカを使ったスライスをのせてアクセントに。くさみはまったくなく、ヨーグルトのようなさわやかな味わい。

中塚シェフと秋田シェフはフランスで働いていた経験があるため、食事の〆はサヴォア地方の伝統的な焼菓子「ガトー・ド・サヴォア」。柴海農園のかぼちゃをピューレにしたものを混ぜたアレンジで。メレンゲクッキーの上は愛媛のマンダリンオレンジをゼリー状にしたもの。

コーヒーは国分寺市にある、農薬や化学肥料を使わないで栽培されたコーヒーやフェアトレードコーヒーを専門に焙煎している「ろばや」で、フェアトレードしたコーヒーをオリジナルでブレンドしてもらったもの。紅茶は無農薬、無肥料の自然栽培を行っている静岡の「杉本園」で、緑茶品種を使って発酵させた「和紅茶」を使用。

フレンチは時折苦手なソースが出るときもあり、あまり得意ではないが、ヌー. トウキョウは日常的に食べている、日本人になじみのある食材を組み合わせた創作フレンチで“安心できる味”という印象。野菜をふんだんに使っているのもうれしい。メニューや店づくりに反映された同レストランのエシカルな姿勢は、外食はなるべく控えるwithコロナの時代の新しいレストランの形を提案しているのではないだろうか。

文/阿部純子

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