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1000人のビジネスパーソンに聞いた、仕事を休む基準の「体温」は?

2020.07.23

体調不良を押してまで、会社へ出社することが美徳とされる時代はもう終わった。コロナと共に生きる今の時代、自分自身の健康を守り適切に対処する「セルフケア」の重要性が増すものと考えられる。では、実際にこの「セルフケア」を認知し、実践している人はどれくらいいるのだろうか?

そんな「セルフケア」をテーマにした、第一三共ヘルスケア株式会社による意識調査がこのほど、20代~60代の働く人、男女1,000人を対象にして実施されたので、その結果を紹介していきたい。

働く人の健康とセルフケアの実態

■約8割がセルフケアの考え方に共感するも、セルフケアができていないと感じる人は45.7%

セルフケアとは自分自身の健康を守り対処すること。このセルフケアという言葉への認知について尋ねる調査が行われたところ、4人に1人(25.0%)が「意味、内容まで知っている」と答えている。

「言葉だけは知っている」(54.7%)と答えた割合を合わせると、79.7%がセルフケアについて何らか認知している[図1-1]。

また、セルフケアという考え方については、82.6%が共感できるとしている[図1-2]。

セルフケアの実践度では、「セルフケアができている人」(できている+どちらかというとできている)が54.3%、「セルフケアができていない人」 (どちらかというとできていない+できていない )は45.7%となり、拮抗状態にあることがわかった[図1-3]。

■セルフケアができない理由は「多忙」「面倒」「お金がない」

[図1-3]で「セルフケアができていない」と答えた457人を対象に、その理由を尋ねる調査が行われると、「仕事が忙しい」(39.8%)、「健康管理に気を使うのは面倒」(26.7%)、「使えるお金が少なく生活の選択肢が少ない」(21.9%)などが挙がった。

トップの「仕事が忙しい」を理由に挙げた人は、30代で51.0%と特に高率。また、共働き世帯は「家事・育児が忙しい」が28.5%と高く、片働き世帯(8.3%)の3倍以上にも上る。共働き世帯は「仕事が忙しい」(43.5%)も高率で、家事・育児に仕事に忙しく、自身の健康にかまう時間がないことがうかがえる[図2]。

■セルフケアにかけるお金は1カ月平均4,697円

セルフケアにかけている費用は、1カ月間の平均で4,697円となった。役職別で見ると、役職の付く「管理職」や「経営者・役員」で10,000円以上という回答が多く、平均金額は「管理職」で8,907円、「経営者・役員」では8,503円であるのに対し、役職のない「管理職以外の正社員」が3,579円、「正社員以外の雇用形態の会社員」が3,372円となり、役職の有無で大きな開きがある[図3]。

■自宅の常備薬、きちんと把握しているのは29.8%。男性、特に20代男性の多くは常備薬を持たない

自宅の常備薬について尋ねる調査が行われた。自宅にどのような常備薬があるか「詳細に把握している」割合は29.8%にとどまっている。その一方で、「自宅に常備薬はない」と答えた人は8.3%いる。

性別で見ると、男性は女性に比べ常備薬について把握しておらず、特に20代では男性の17.8%が「自宅に常備薬はない」とさえ答えており、男女差が顕著だ[図4]。

■上の年代ほど常備薬の種類が多い。常備薬として最も多いのは「かぜ薬」

自宅の常備薬を把握していると答えた775人を対象にその種類を尋ねる調査が行われると、「かぜ薬」(82.8%)、「 解熱鎮痛薬 」 (71.0%) 、 「目薬」(61.2%)、シップなどの「外用鎮痛消炎剤」(59.2%)、「胃腸薬」(59.0%)の順となった。

上の世代ほど常備薬の種類も多くなり、特に胃腸薬と外用鎮痛消炎剤は顕著だ[図5]。

■働く人はセルフケアのために「OTC医薬品は役立つ」(75.2%)と考えている

セルフケアに関する考え方を提示すると、75.2%が「セルフケアのためにOTC医薬品は役立つ」、62.2%が「セルフケアのためにOTC医薬品について知識を増やしたい」と答えている[図6]。

働く人の健康と勤務実態

■働く人の有休取得日数は年間平均9.4日

続いて勤務状況について尋ねる調査が行われた。1カ月の労働時間は平均で160.6時間、残業時間は15.6時間だった[図7]。

また、1年間の有給休暇の取得日数は平均で9.4日となった[図8]。なお、有休取得日数が「0日」と答えた人は16.7%存在し、年代別に見ると、年代が上がるごとに有休取得0日の割合が高くなる一方、平均有休取得日数が増加していることから、取得状況の二極化が進む様子がうかがえる。

■体調不良でも休まない日本人。86.5%が体調不良でも出社することがある

体調不良時の出社実態について詳しく聞く調査が行われた。「耐えられる程度の体調不良であれば出社する」と答えた人は77.5%、「人に引き継げない仕事があれば出社する」のは72.9%、「医療機関でインフルエンザなどの感染症でないことが分かれば出社する」は61.0%だった。

この3つのうちいずれかで出社すると答えたのは86.5%に上り、多くの人が体調不良を押しても出社する意向であることが明らかになった[図9-1]。

また、熱が何度あれば仕事を休むかと尋ねる調査が行われたところ、38.0℃という回答が最も多くなった(平均値では37.8℃)[図9-2]。

なお、体調不良時に会社を休んで療養することを優先するか否か尋ねる調査が行われたところ、 「療養を優先」(当てはまる+やや当てはまる)と答えた割合が53.3%にとどまり、46.7%は療養よりも仕事を優先する実態がうかがえる[図9-3]。

■体調不良でも出社するのは、「同僚に迷惑をかけたくない」 「仕事への責任感」などが理由

[図9-1]で体調不良でも出社すると答えた865人に出社する理由について尋ねる調査が行われたところ、「同僚に迷惑をかけたくない」(56.5%)、「仕事に対する責任感」(53.3%)、「得意先や顧客に迷惑をかけたくない」(33.9%)などが挙げられた。

この結果を性・年代別に見ると、女性の20代(73.3%)・30代(74.7%)は「同僚に迷惑をかけたくない」という回答が多い一方、男性の20代(16.3%)・30代(15.4%)は「評価に影響する」という理由が他の世代に比べて高くなっており、同じ若い世代でも気にかける点が異なることが浮き彫りになった[図10] 。

■人生100年時代 65.0歳まで働きたい、という回答が最多

日本は「人生100年時代」を迎える。そこで、何歳まで働きたいと思うか尋ねる調査が行われたところ、65.0歳という回答が最も多くなった[図11-1]。

70歳になっても元気に働くことについて、自信があるという人が36.6%で、約6割(58.4%)が「自信がない」と答えている[図11-2]。

また、「就労において健康がますます重要になると思う」(90.9%)、「高齢でも元気に働ける人が重用されそうだ」(83.7%)と感じており、働く人のほとんどが健康の重要性を認識している[図11-3]。

セルフケアができている人の実態

■セルフケアができている人ほど、ワーク・ライフ・バランスが保たれている

「セルフケア」を実行している人は、どのような人だろうか。

まず、働き方について見ると、1カ月の残業時間は平均で15.6時間(前述図7)だったが、セルフケアができている人ほど①残業時間は短く、「できている人」は13.8時間、「できていない人」は18.9時間と、5時間もの差がある。②体調不良時に仕事をするより休んで療養することを優先する割合も、セルフケアができている人ほど高くなっている。

また、OTC医薬品の効能・効果や正しい使い方について詳しいと思うか尋ねる調査が行われたところ、全体では51.7%が「詳しいと思う」と回答しているのに対し、「できている人」では70.5%と20ポイント近く高く、セルフケアができている人ほどOTC医薬品に詳しいと自認している。

さらに、OTC医薬品の使用方法を正しく理解しその通りに使用する割合も、セルフケアができているほど高くなっている。セルフケアができている人は、OTC医薬品を上手に活用している様子がうかがえる[図12]。

■セルフケアができている人ほど、70歳まで働く自信がある

高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重要になるかと尋ねる調査が行われると、全体の87.5%が「そう思う」と答える中、セルフケアができている人が90.6%と肯定率が高く、人生100年時代におけるセルフケアの重要性を認識している。

これは、70歳になっても元気に働く自信のある割合が、セルフケアができている人では43.8%と、できていない人の28.0%に比べ15.8ポイントも高くなっていることにも表れている[図13]。

■セルフケアができている人ほど、仕事も趣味も生活も充実し、幸福度が高い

さらにセルフケアができている人は、①仕事にやりがいを感じ(63.0%)、②趣味や好きなことにより打ち込め(65.2%)、③生活が充実しており(68.7%)、④総じて幸せに過ごしている(77.3%)と実感している[図14]。

セルフケアの実践は、健康の維持・向上だけではなく、人生を謳歌する土台作りとなることが示唆される。

withコロナ時代、働く上でのセルフケアの重要性……フェミナス産業医/労働衛生コンサルタント事務所 石井りな先生の見解

■体調不良でも休まない時代は終わり、ニューノーマルの生活様式として、働く日本人には一層セルフケアが重要になる

今回の調査結果は勤勉な日本人の姿を表しています。これまでは、例えば微熱やかぜの症状があっても、今回の結果のように周りに迷惑をかけたくないから、責任があるからと、仕事を優先する人が多かったように思います。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の流行によって、無理して働くことは、かえって周囲に迷惑をかけてしまうことが明らかになりました。これからは、新しい生活様式として、体調の悪いときには休む等、柔軟な選択ができるといいですね。

また、今後は、アレルギー疾患や持病をコントロールしていくことが大切です。特に呼吸器症状を伴う花粉症、咳喘息、アレルギー性鼻炎等は注意が必要です。こうした症状は感染性ではありませんが、せきやくしゃみをしていると、たとえマスクをしていたとしても、これまでと同じようには周囲は受け止めないでしょう。

症状が治まらないと、そのたびに会社に行きづらくなってしまいます。OTC医薬品は種類が豊富なので、症状のコントロールにうまく活用しセルフケアを実践してください。

■仕事をコントロールできなくなっている状況を見直し、セルフケアにも意識を振り向けることで人生の充実にもつながる

調査では管理職や経営者など責任が重い仕事の人の方が、セルフケアにお金をかける結果となりました。経済的な要因もあるでしょうが、責任が増すと健康への意識が高まるのだと思います。

産業医が実施するストレスチェックでは、仕事のコントロールができている人ほどストレスが少ない傾向がみられます。調査でもセルフケアができていない人は忙しいなど外的要因に振り回されていて、仕事や生活のコントロールができていない傾向にあります。

ご自身の仕事を振り返り、コントロールを取り戻すことが、セルフケアに意識を向けるきっかけになり、結果的にストレスを減らし、仕事の成果や生きがい、人生の充実につながっていくのではないでしょうか。

■withコロナの今、セルフケアでは健康観察も重要な要素に。健康観察で不調を感じたらOTC医薬品の活用も

感染対策の多くが個人の健康管理、セルフケアによるものです。withコロナの時代はセルフケアの時代になると思います。感染予防としてのセルフケアには大きく3つあり、①衛生対策、②感染しにくい体づくり、③健康観察(検温、体調チェックなど)です。

①や②はこれまでも重要性が語られていましたが、③の健康観察が今回新たに加わりました。感染拡大時期には、むやみに医療機関を受診することは避けた方がいいといわれています。

ですから、まずは健康観察を徹底し、不調がみられたら、すぐに医療機関を受診するのではなく、軽度であればOTC医薬品の活用もお勧めです。もちろん用法・用量を必ず守って、適正使用してください。OTC医薬品を適正使用することは、改善が得られなかったとき、医療機関を受診するという判断の一助にもなります。

OTC医薬品は必要な時に早く手に入り、忙しい中でも急な症状に対応できるのがメリットです。最近は、これまで病院でしか処方してもらえなかった成分を配合した薬が薬局やドラッグストアなどで購入できる、スイッチOTC医薬品も増えてきました。withコロナ時代はOTC医薬品を上手に使ってセルフケアに役立ててほしいです。

■人生100年、セルフケアは人生の後半戦のQOL(生活の質)を左右する。家庭では子どもにも重要性を伝えてほしい

日本人の人生は長く、長寿化しているため、セルフケアをしてきた人と、してこなかった人で将来の過ごし方が変わってきます。セルフケアをすることで未然に防げる病気はたくさんありますので、防げたはずの病気で足をすくわれないようにしたいものです。

特に人生の後半は、セルフケアのいかんによって元気に活動できる年数に違いが出てきます。セルフケアは習慣だけでなく、スキルとしての要素もあるので、若い時はできていなくても、手遅れではありません。今からでも、セルフケアスキルを高めましょう。

一方で、子どもの頃からの習慣や意識付けもできると理想的です。お子さんがいるご家庭では、「自分の体は自分で守る」をテーマに、親子でセルフケアについて話し合う機会をぜひ設けてください。そして大人がセルフケアに取り組む姿を積極的に見せてください。定期的に話題に挙げ、親子で実践していくことで、セルフケアの意識がお子さんに根付き、行動へ、そして習慣になっていきます。

出典元:第一三共ヘルスケア株式会社

構成/こじへい

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