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在宅勤務で浮き彫りになってきた3つの職場での課題

2020.07.22

■連載/あるあるビジネス処方箋

私はこの3か月間、ベンチャー企業から大企業まで30社近くを在宅勤務をテーマにオンライン取材してきた。対象となるのは、50人程の人事担当者(課長もしくは主任など)。そのやりとりの中で今後、多くの職場で問題視されると私が思ったことを紹介しよう。

1. プロジェクトの進行のスピードが上がっている

意見として最も多いのは、「プロジェクトの進行のスピードがとても上がっている」。「めちゃめちゃ速い」「ものすごいスピードになりつつある」などとも聞いた。その大きな理由は会議の進行が速くなり、結果としてプロジェクトの進行が前倒しになる傾向があるためだ。

通常、会社で仕事をすると、会議室を予約する必要がある。私が取材した会社では予約状況にもよるが、数日∼1週間ほどの時間がかかるようだ。オンライン会議ならば、早い場合、当日に会議をすることができるという。日数としては、少なくとも1週間は短縮できるケースが多いそうだ。会議の最中に、必要に応じて他部署の社員に連絡し、オンライン会議に急きょ参加してもらうこともあるという。密度の濃い話し合いになり、課題や問題点を明確にするまでの時間が短縮できるようだ。結論を導くための時間が短くなったという。

スピードが上がるに伴い、「プロジェクトの中身のレベルが高くなった」とは聞かなかった。この約3か月間では、そこまで言い切る根拠はないようだ。いずれにしろ、今後を考えると、会社員はプロジェクトの進行が速くなることを心得ておくべきだろう。ぼんやりしていると、取り残される可能性がある。さらに、他部署のプロジェクトの動きにも注意しておこう。今、配属されている部署にそのプロジェクトが前倒しで来るかもしれない。社内の様々な仕事のスピードが上がるケースが増えてくることを心得ておこう。

2. 共有意識がさらに大切になる

次に意見として目立ったのは、「同じ部署の社員が今、何をしているのか、どこに課題や問題を感じているのかなどが、正確にわからない」だ。前々から日本企業の場合、社員間の情報、意識、目標の共有が徹底されていないためにムリ、ムダ、ムラが多く、労働生産性が欧米先進国の企業と比べて低いといった指摘は経営学者たちの間に多い。

今後、在宅勤務が増えると、社員間の共有が一段と難しくなることがありうる。それに備え、社内のイントラネットやチャットツール、メール、オンラインなどを使い、互いに知る機会を増やすべきなのだが、依然としてできていない場合がある。

共有意識が高い職場とそうではない職場があり、後者の場合、リーダーである管理職の意識は概して低い。部下たちと意識を共有し、強いチームを作っていく考えを持ち合わせていない人すらいるのだ。こういうリーダーのもとでは、在宅勤務をしながらチームビルディングをするのは難しいのかもしれない。

3. 社員間の仕事力の差が大きくなる

1と2を踏まえると、今後、社内では社員間の仕事力の差が大きくなる可能性が高い。そのためには、公平な処遇を実現するために人事評価・賃金制度のあり方を変えていくべきなのだが、現時点でその考えが明確な人事担当者はほとんどいなかった。「検討する」と答えた人事担当者は数人しかいない。

あるいは、管理職に求められるスキルもおそらく変わってくるはずなのだが、そのことに言及する人もいなかった。本来は、これまで以上に、部下を掌握するスキルが求められるのだから、たとえば、管理職研修のあり方も変えないといけない。だが、現時点では進んでいないようだ。このまま放置すると、様々なあつれきが生じる可能性がある。対応を急ぐべきだろう。

在宅勤務を「新しい働き方」と称して歓迎する向きが、特に会社員の中にはある。確かに通勤がなくなり、心身ともに負担は減る。仕事の効率は、上がるのかもしれない。嫌な上司や同僚と顔を合わせなくともいい。家で、家族とも一緒だ。しかし、あくまで会社員であり、フリーランスではない。安定した収入を手にしながら、会社や部署のマネジメント、業績を考えないのは問題だろう。日本企業のマネジメントや部下育成には、かねてから課題が多い。そろそろ、そのあたりまで含めて検討し直す時期になっていると思う。今後、深刻な不況になる可能性がある。急がないといけない。読者諸氏は、いかがだろうか。

文/吉田典史

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