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1回の治療でパーキンソン病の症状が軽減する新たな手がかりを発見

2020.07.23

1回の治療でパーキンソン病の症状が軽減――マウス実験

パーキンソン病の新たな治療法の可能性を示す研究結果を、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のXiang-Dong Fu氏らが「Nature」6月24日オンライン版に発表した。マウスの実験によって、脳内の神経細胞を増やす新たな手法の手掛かりを見つけたという。

パーキンソン病では、神経伝達物質「ドパミン」を産生する脳内の神経細胞が徐々に減少し、手足の震えやこわばりなどが生じる。他の神経変性疾患と同様に、現状では疾患そのものを治すことはできず、治療の多くは神経細胞の脱落を抑制することにとどまる。

これに対してFu氏らは、マウスやヒトのさまざまな細胞にみられる「PTB」というRNA結合タンパク質に着目。パーキンソン病モデルマウスを用い、その脳内に存在するこのタンパク質を阻害するという実験を行った。

その結果、脳内の支持細胞という細胞が、ドパミンを産生する神経細胞に転換することを見いだした。また、パーキンソン病でみられるような運動障害の改善効果も認められた。

もちろん、この研究はマウスでの実験のため、パーキンソン病患者の治療に使えるようになるまでには、多くの基礎研究と臨床での安全性・有効性の評価が必要となる。そうではあるが、パーキンソン病財団の科学部門長を務めるJames Beck氏は、「こうしたアプローチが、治療法としての可能性を秘めていることが示された点は素晴らしい」と評価する。Beck氏自身は、今回の研究には関与していない。

Beck氏によると、Fu氏らの研究は「分化転換」という現象を利用したものだという。分化転換とは、ある特定の種類の細胞が別の種類の細胞に変化することで、このプロセスを応用する技術が確立されれば、理論上は、心疾患や糖尿病、脊髄損傷など幅広い疾患において、機能が低下した部分を作り変えることができると考えられている。

「既に体内に存在している細胞を、他の役割を担う細胞に変換できるかもしれないと考えると、期待が高まる」とBeck氏は言う。

今回の研究は、偶然の発見から始まった。研究を率いたFu氏は、それまで長年にわたってPTBの研究を続けていた。

PTBは、細胞内の遺伝子のスイッチのオン・オフに関係するタンパク質だ。Fu氏らは、線維芽細胞と呼ばれる結合組織の細胞におけるPTBの働きを研究していた。

その際、一人の研究者の提案によってPTBを欠く線維芽細胞を作製してみた。すると2週間後、線維芽細胞のほぼ全てが神経細胞に変化したのだという。

PTBは細胞の中の遺伝子に対し、神経細胞に変化すべきか否かを指示する役割を果たしているとみられることから、PTBを抑制すれば新たな神経細胞を作ることができるのではないかとFu氏らは考えた。そのコンセプトを生体内で確認する最初の研究として、マウスを用いた今回の実験を行った。

この研究では、細胞内のPTBを阻害するDNA断片を作成。それを、感染性のないウイルスを用いてマウスの脳内に送り届けるという手法を用いた。

その結果、脳内の支持細胞の一部がドパミンを産生する神経細胞に変化し、実際にドパミンの量が増加して運動障害の改善に結び付いた。

ただしFu氏は、神経細胞の量が増え過ぎてしまった場合のリスクなど、安全面で検討すべき課題は山積していると説明。

その上で、PTBを抑制するというこのアプローチは、アルツハイマー病やハンチントン病、脳卒中など、パーキンソン病以外の疾患の治療法としても検討に値するのではないかとの見方を示している。(HealthDay News 2020年6月24日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2388-4

Press Release
https://www.nature.com/articles/d41586-020-01817-4

構成/DIME編集部

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