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新しい非オピオイド系鎮痛薬が難治性腰痛に有効である可能性、ファイザーとイーライリリーの研究報告

2020.08.10

新たな作用機序の鎮痛薬、腰痛治療で有効性

新たな非オピオイド系鎮痛薬が難治性腰痛に有効である可能性が、「Pain」6月25日オンライン版に発表された。他剤ではコントロール不能な慢性腰痛の軽減効果が認められたが、その一方で、重篤な副作用の懸念は解消されずに残ったという。

この鎮痛薬はtanezumabというモノクローナル抗体。痛みを引き起こす神経成長因子を選択的に阻害するという、他の治療薬にはない新しい作用で鎮痛効果を発揮する開発中の新薬。今回の報告はその第3相臨床試験の結果で、製薬企業のPfizer社とEli Lilly and Company社により実施された。

筆頭著者の米ロチェスター大学のJohn Markman氏は「われわれは今、神経系の感受性を低下させることで慢性疼痛を軽減させるという新薬の開発の最前線に立っている。この治療薬は全く新しい方法で慢性疼痛に立ち向かう薬剤だ」と述べている。

臨床試験は、オピオイドを含む3種類以上の鎮痛薬を使用しても痛みをコントロールできない慢性腰痛患者を対象とし、北米、欧州、アジアで実施された。対象者を3群に分け、8週ごとにtanezumabを10mgまたは5mg、もしくはプラセボを皮下注射する群にランダムに割り付け、56週間の介入とその後24週間の追跡調査を行った。また前記の3群とは別に、オピオイド系鎮痛薬である経口トラマドール徐放製剤(100~300mg/日)を投与する対照群を設けた。

主要評価項目として設定されていた16週時点での腰痛強度(LBPI)の変化量は、プラセボ群に比しtanezumab10mg群で有意に改善していた(P=0.0281)。

また副次評価項目として設定されていた16週時点でLBPIが50%以上低下した患者の割合、ローランドモリス障害質問票により評価したQOLへの影響なども、対プラセボ比で有意な改善が認められた。

一方、tanezumab5mgは主要評価項目を達成しなかった。事前に設定されていた有害事象の頻度は、プラセボ群0%、トラマドール群0.2%、tanezumab5mg群1.0%、同10mg群2.6%で、tanezumab10mg群の1.4%にあたる7人に全人工関節置換術が施行されていた。

慢性腰痛に対する現在の治療薬は、アスピリンやイブプロフェンといった非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、またはオピオイド系鎮痛薬などに限られる。

しかし、NSAIDには消化管出血の副作用があり、オピオイド系鎮痛薬では依存性が問題になることがある。また、それらの薬剤で痛みをコントロールできない場合に脊椎固定術が治療選択肢となるが、前出のMarkman氏によると、脊椎固定術も全ての患者に有効であるとは限らないという。

TanezumabにはNSAIDやオピオイド系鎮痛薬のような副作用はないが、人工関節置換術を必要とする関節障害との関連が報告されている。米食品医薬品局(FDA)も承認審査にあたり、この問題を重点的に検討しているという。

今回の臨床試験には関与していない、米ノースウェル・ヘルス、フェルプス病院の疼痛管理部門長であるYili Huang氏は、この報告を受けて「新たな標的に働きかける治療アプローチは、より高い安全性や有効性につながる可能性がある」と話し、「オピオイド系鎮痛薬をはじめとする、既存の治療薬を使用しても効果がなかった患者でtanezumabの有効性が認められたとする結果は心強い」と話す。

ただし同氏も「頻度は極めて低いとは言え、重篤な関節障害が発生する可能性がある点は軽視すべきでない」と指摘し、他の全ての治療と同様に、この治療法のリスクとベネフィットのバランスを考慮する必要があることを強調している。(HealthDay News 2020年6月22日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.lww.com/pain/Abstract/9000/Tanezumab_for_chronic_low_back_pain__a_randomized,.98400.aspx

構成/DIME編集部

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