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孤独死した老人の死を見守り続けた猫の話

2020.07.13

幸せをつかんだ白い猫

一人の女性が保護動物の譲渡会で、「白い雌猫が保護されたら、私に連絡して欲しい」と頼みに来ました。

そうした依頼はよくあるものですし、会場にいたボランティアさん達も、あまり気にせずに受け流していました。 その女性は介護の仕事をしていて、ヘルパーとして独り暮らしの高齢者を担当していたそうです。

白い雌猫はその高齢者が飼育していた猫で、高齢者が亡くなった後、行方不明になってしまったとか。そういう話を聞くと、がぜん張り切ってくるのが愛護活動のボランティアさんたち。

張り紙づくりが上手な人や、ネットで呼び掛けてくれる人、夜回り防犯活動の消防団達など、たくさんの人たちが白猫探しに協力してくれました。

しかし、白猫はなかなか見つからず、私の家には何回もヘルパーさんから問い合わせの電話がかかってきます。「まだ見つからないんです。すみません」と答え続けるのもだんだん辛くなってきました。

放浪猫は交通事故死も多く、すでに亡くなって、焼却処分されているかも。半ばあきらめていたところに、発見の朗報が届きました。 いったん、動物保護施設で預かり、健康状態をチェックしてから、白猫はヘルパーさんに無事、譲渡されました。しばらくして、ちょっと太った白猫の写真と、手紙が届きました。

 「シロちゃんを探して譲渡していただき、ほんとうにありがとうございました」独り暮らしのおばあさんが大切に飼っていて、私を見ると、犬みたいに飛びついてきた子です。

飼い主のおばあさんは猫と遊ぶ私に、『私が死んだらこの子をお願い』と頼まれていたのですが、だんだん認知障害が出て、お金を盗まれると叫んだり、物を投げるなどの暴力が出るようになってしまいました。

ケアマネさんと相談して新しいヘルパーと交代し、私もすっかり忘れた頃、おばあさんが夢に出てきたのです。

絶対何かあったに違いないと、おばあさんの家に行ったら、きれいに取り壊されて、更地でした。お隣さんに聞いたら、半年前に亡くなったそうです。

そして、『白い猫なんていなかった』と言われました。おばあさんだけでなく、猫の存在すら無かったことにするにはあまりにも可哀想で、みなさんにはいろいろご迷惑をかけました。 シロは家に来てからますます甘ったれになり、どこに行くにもついてきます。

多分、シロはおばあさんの最後を看取って家を離れたのでしょう。私が寝ていると、必ず顔の近くにきて、息がかかる場所に座るからです。 私が息をして、生きているか、確かめているのです。

おばあさんは孤独死されましたが、シロが寄り添ってくれて、幸せな最後だったはず。

ただ、シロが心残りで、私の夢に出てきたのでしょう。シロちゃんは時々、なにもない宙を見つめてニャッとつぶやきます。おばあさんと会話をしているようです。

「この子を幸せにしてあげることが、私のこれからの人生の役目だと信じ、大切に飼育したいと思います」。

幸せをつかんだ猫の手。幸せをつかんだ白い猫は、優しいヘルパーさんの大切な宝物になって、今でも元気に暮らしています。

文/柿川鮎子(PETomorrow編集部)

構成/inox.

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