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国境制限が緩和されコロナ禍第2波のリスクが迫る欧州のバカンス最新事情

2020.07.12

Photo by Yumiko Misaki

6月中旬からEUおよびシェンゲン協定圏域内の入出国規制を緩和してきた欧州諸国は、7月に入り日本を含む域外15か国にも渡航の門戸を開くこととなった。

日本のほかにもオーストラリアやカナダ、韓国、タイなどが含まれる15か国のリストは感染状況によって定期的に見直されるが、EUが提案するこのリストにしたがって加盟諸国はそれぞれの受け入れ措置を決定している。

客が戻ってきたカフェのテラス/ Photo by Yumiko Misaki

日本からの渡航者に対し、フランスやスペインはほぼ無条件で入国制限を解除(入国の際の検温など健康状態のチェックは有り)、イタリアは14日間の自主隔離措置を継続するも移動の理由を正当化する必要はない。英国(イングランド)では7月10日以降は自己隔離の義務が免除される一方、ドイツは域外からの受け入れ国を8カ国に絞り、日本に対しては滞在許可保持者や医療従事者など「重要な渡航理由を有する」場合にのみ許可する従来の入国制限の継続を決めた。

欧州諸国の入国措置が一目でわかるEUの公式サイト/(C)Re-Open EU

したがって、「不要不急」の動機でも欧州に行こうと思えば行けるのだが、日本側は欧州の緩和決定後も欧州諸国への渡航中止勧告を継続している。南仏の浜辺やアルプスの夏山でバカンスを過ごせたとしても、帰国の際にはPCR検査を受け、陰性でも14日間の自主隔離を覚悟しなくてはならない。自主隔離中は公共交通機関も使えないので、入国可能な空港のある関東・関西から遠い地方在住者は、ホテルに2週間缶詰になるか、あるいはレンタカーを使い自力で、または数万円〜数十万円かかるハイヤーで自宅までたどり着くしかない。

スイスーフランス国境もフリーパス/Photo by Yumiko Misaki

3か月以上も厳しいロックダウンに耐えてきた欧州だが、域内の自由な往来が始まったここ3週間、一見まるで何事もなかったかのような「いつもの夏」を満喫する毎日だ。オーストラリアやベトナムなど極めて限られた国とのみビジネス目的に往来を限定し、欧州の緩和にも頑なに門戸を閉ざす日本の措置は慎重に過ぎるように見える。

しかし、緩和にともなう「第二波」の影は確実に欧州諸国に忍び寄っている。

ドイツでは早くも6月下旬に欧州最大の食肉加工工場で1500人以上の従業員のクラスター感染が発生し、近隣のいくつかの州60万人の住民がロックダウン生活に逆戻りを余儀なくされている。

欧州最大の食肉加工工場Tönnies社/(C)Tönnies

スペインでも、7月に入ってまもなく北東部カタルーニャおよび北西部ガリシア地方で感染者が急増し、30万人近い住民が地域封鎖や行動制限の対象となった。

ポルトガル、フランスなどでも極限的なクラスター感染が確認されているが、専門家によれば「第二波」と認定するほどの規模には至っていない。欧州では、第二波対策として、感染拡大初期に日本が進めていたような「クラスター追跡」による感染封じ込めを狙っている。

欧州も日本と同様、バーやクラブなどいわゆる「夜の街」での若年層のクラスター感染が目立つ。スイス・チューリヒでは規制緩和直後に再開したナイトクラブに、通常を上回る感染力を持つ「スーパー・スプレッダー」が訪れていたことが検査で判明し、直ちに参加者リストを通じて300人に10日間の自主隔離が要請され、5人の感染が確認された。スイスでは1000人以上の規模のイベント以外は開催・営業可能だが、州保健当局に参加者リストの提出が義務付けられている。

チューリヒのナイトクラブFlamingo Club/(C)Flamingo Club Zurich

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)主宰の研究チームは、英国で今後2年間に考えられる感染対策のシナリオ31例を打ち立てた。マスクやフェースシールドの日常的な使用を広め、検査対象を症状のあるターゲットに絞って感染者の40%を特定し、濃厚接触者の少なくとも40%を局所的に隔離できれば、第二波は回避可能であると推定している。

マスクの普及率は日本よりずっと低い/ Photo by Yumiko Misaki

この措置の成功は、検査が適用される範囲の規模、またクラスターや濃厚接触者の追跡能力にかかっている。英国やベルギーでは、国内の潜在的感染者の特定に専用の「追跡者」が雇用され、検査で陽性と判定された人から繋がる濃厚接触者をしらみつぶしに追跡し、潜在的感染者のリスト作りを行なっている。

7月6日の時点で、フランスでは72時間で新規感染者1375人、イタリアは24時間で208人、ドイツ219人など、第二波の予兆は数字にも反映されている。住民10万人に対する感染者数がいっこうに下がらない(377人)スイスでは、ついにトラムから登山電車まで全公共交通機関利用時のマスク装着が義務付けられることになった。つい3か月前の「マスク不要論」がウソのようだが、高齢者を中心に以前よりはマスク姿が増えた印象だ。

ヘアサロンでは客も自発的にマスクをつける/ Photo by Yumiko Misaki

フランス厚生省の専門家委員会は、この秋、早ければもう夏から欧州が第二波に見舞われる危険性を指摘する。欧州各国の集団免疫は5〜10%程度にすぎず、ウイルス制御に必要な50〜70%に遠く及ばない。さらに、米国、ブラジル、チリ、ロシア、インドなどで感染は拡大し続け、世界で一千万人を超えても収束の兆しは見えない。冬季に入った南半球で、ウイルスはさらに猛威を振るうと見られている。当然、EUが決定した受け入れ国15か国のリストから米国やブラジル、ロシアも漏れているが、物流もあれば最低限の人の往来もあり、影響を受けずには済まないのは明らかだ。

ジュネーブ大学病院は5月から住民の抗体検査を実施/(C)HUG

CNNなど各メディアの報道によれば、世界保健機関(WHO)の事務局長補佐も100年前の「スペイン風邪」を例に挙げ、夏にいったん収まったかのように見えた感染が秋に激化し、第二波で5千万人もの死者が出たと警告している。夏は屋外で過ごす機会が増えるので自然に「三密」を避けられるが、屋内の生活に戻る秋にリスクが高まってしまう。

屋外のバーベキューパーティーも受付係はマスク装着/ Photo by Yumiko Misaki

例年夏に一時帰国する在外邦人も、秋に日本への渡航を計画していた欧州の観光客やビジネスパーソンも、「今年中は無理かもしれない」と考え始めている。欧州と日本の間を自由に行き来できるようになるまで、まだかなりの時間がかかりそうだ。

参照リンク:
外務省 海外安全ホームページ(新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国後の行動制限)
Re-Open EU 公式サイト
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)公式サイト
フランス厚生省専門家委員会意見書

取材/文 : 三崎由美子

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