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筋肉の衰えがもたらす経済格差は、なんと4000万円以上!?

2020.07.12

何事も身体が資本。しかし、リモートワークや外出自粛が続き、自身の健康状態の悪化や、筋肉量の低下に不安を感じている人も多いのではないだろうか。

そんな、健康と筋肉に関する意識調査がこのほど、30代~50代男女1800名を対象にして実施された。

約75%の人が認知できていない、筋肉の衰えが招く意外、且つ大きなリスク

運動不足による筋肉の衰えが原因でリスクが高まる主な病気を8つ提示し、その認知度が調べられたところ、認知率は平均で24.2%となり、もっとも認知率が高かった「骨粗しょう症」でも半数以下の44.8%にとどまる結果になった。

癌については7.3%と、ほとんどの人が、運動不足による筋肉の衰えとは関係がないと考えていることが判明した。

また、普段から筋トレの習慣がある人とない人で比較すると、筋トレ習慣がある人の認知率の平均が30%なのに対して、筋トレ習慣がない人は平均で21.3%と大きな開きがあることもわかった。

このままこれらの健康リスクに対し、正しい理解がされないと、「重大疾患予備軍」、ひいては「発症者」が増えることも予想される。

「糖質は悪」という誤解。糖や脂肪を消費する筋肉の働きが正しく知られていない

ダイエットについても尋ねる調査が行われたところ、 「糖質制限は減量に効果的だと思う」と回答した人は53.4%、「糖質制限すると体脂肪が減ると思う」と回答した人は45.3%と、約半数の人が「糖質制限」はダイエットに有効だと回答。

また、「健康のためにはできるだけ糖質をカットしたいと思う」と答えた人は44.7%にもおよび、多くの人が「糖質は悪」と否定的に捉えている実態が明らかに。

一方で、筋肉は最も大量に糖や脂肪を燃やす「臓器」と言われ、1日にとる糖分のうち、70%以上を筋肉で消費されるようになっているが、これらの働きについては対象的に低い理解度となった。

「筋欠」は日本人に多い重大疾患、糖尿病、癌、認知症を引き起こす要因に!

運動不足による筋肉の衰え=「筋欠」は、様々な疾患の発症を高めるリスクがある。

代表的な例として挙げられるのが、いまや国民病とも呼ばれる糖尿病。平成28年度の「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者、予備軍ともにそれぞれ1,000万人を超えた。筋肉は1日に摂取する糖のうち7割以上を消費してくれるが、糖尿病の人は筋肉が弱く、糖をうまく代謝することができないため、血糖値が上がりすぎないよう、血糖を下げる働きのあるインスリンというホルモンを大量に分泌しようとする。この量が十分でない、または適正に作用しない状態がいわゆる糖尿病だ。

糖尿病は合併症を引き起こす可能性が十分にあり、長期治療が必要になるケースもあるため、注意が必要。また、癌の発生率にも運動との関係性が明らかになってきた。

国立がん研究センターの統計によると、2017年に癌で亡くなった日本人は約37万人。また、生涯でがんに罹患する確率は、男女ともに2人に1人と、ともに高い割合となっている。がん細胞は、免疫がしっかり働くことで体から排除される。免疫力を高めるのにもっとも効果的だと考えられているのが運動になる。

さらに、運動により筋肉を鍛えることはメンタルにも効果的と考えられている。体を動かすことで脳の働きも活性化され、記憶力が向上し、勉強や仕事などの効率が上がることで、結果、精神的ストレスの緩和に繋がる。

ほかにも、筋トレをすることで、インスリン様成長因子(IGF-1)という物質が脳体内に生成される。これは、筋肉の成長を促す物質でありつつ、アルツハイマー型認知症の原因となる脳内のアミロイドべーターというたんぱく質を減少させる。

つまり、アルツハイマー型認知症にもなりにくくなるのだ。女性の方が男性よりも認知症が多いのは筋肉量が少ないことが関係している。

このように、「筋欠」がもたらす将来の健康リスクに対し、日頃から運動を心掛けて筋肉を鍛えることが、今すぐ始められる最善の策と言っても過言ではない。

■専門家プロフィール……森谷敏夫

京都大学名誉教授。1950年、兵庫県生まれ。国際電気生理運動学会、国際バイオメカニクス学会、アメリカスポーツ医学会、日本運動生理学会、日本体力医学会など、多数の学会で理事、評議員を歴任。世界で初めて、筋力増大に対する神経的要因の貢献度を評価した。発表した論文は、300本以上。著作多数。EMS*のトレーニング効果について40年以上研究。
*Electrical Muscle Stimulation=筋電気刺激

「筋欠」は金欠を引き起こす!? 筋肉の衰えが将来の経済リスクに!

運動不足により筋肉が衰え、疾患を発生した場合は多大な経済的な負担を伴う。30代以降の男女それぞれに多い疾患の連鎖を発生した場合と、発症しなかった場合とを比較したところ、貯蓄残高に大きな差が発生する可能性があることがわかった。

■専門家プロフィール……黒田尚子

ファイナンシャルプランナー。お金の管理に関するプランニングや講演、メディア出演を行うと同時に、自身のがん経験を生かし、病気時の資金繰りサポート活動にも力を入れている。近著に「病気にかかるお金がわかる本」(主婦の友社)、『三大疾病ライフプランニングハンドブック』(金融財政事情研究会)。

■事例1 男性Aさん(45歳 年収800万(可処分所得590万円)/ 既婚 子どもひとり)の貯蓄残高比較
・妻(42歳)パート勤務 手取り年収100万円/ 子(15歳)高校生
・金融資産600万円
・比較的世帯年収は高いが、住宅ローンや、教育費なども抱えている

■黒田尚子 ファイナンシャルプランナー
45歳で糖尿病を発症し治療を続け、55歳で脳卒中(脳梗塞)を発症。以前と同様に働くことが難しく年収2割減少と試算。体調不良により58歳で早期退職し、退職金で一時的に残高は上がります(※1)。

60歳から公的年金繰り上げ受給(※2)と妻のパート代が収入の中心となりますが、依然治療費用が掛かるため、たった2年後の60歳には貯蓄は約1,000万円減。65歳に脳血管性認知症を発症し、医療費だけでなく介護費が必要となったことで、70歳には負債額は約1,000万円に。発症しなかった場合と比較すると、約4,300万円の貯蓄残高の開きが出てきます。

■事例2 女性Bさん(38歳会社員、年収400万(可処分所得316万円)/ 未婚 単身者)の貯蓄残高比較
・賃貸住まいの単身者、金融資産800万円(内500万円は父親の財産を相続)
・年収は高くないが、福利厚生制度等も整備された安定した会社に長年勤務
・趣味娯楽も楽しみたいため、積立貯蓄はあまり出来ていない「おひとりさま」

■事例3 女性Cさん(38歳会社員、年収800万(可処分所得590万円)/ 未婚 単身者)の貯蓄残高比較
・賃貸住まいの単身者、金融資産800万円(内500万円は父親の財産を相続)
・年収は高く、それに応じて、生活を充実させるためにお金を使うタイプ。保険や投資などにも積極的な「おひとりさま」

■黒田尚子 ファイナンシャルプランナー
女性のケースでは、38歳で乳がんを罹患し1年間休職(復職後2年間年収2割減少)。50歳で心筋梗塞発症後は1年間休職(復職後は年収1割減少)。55歳で骨粗鬆症を発症し、60歳で定年退職します。

退職金で一時的に残高は上がりますが、同時に大腿骨頚部を骨折し、疾患の治療費は増えるため、以後資産は下り坂となります。Bさんの場合、Cさんに比べて年収が低い分、退職金や公的年金も少なく、75歳になると負債額は単身者でも約500万円以上に。Cさんの場合でも、発症しなかった場合と比較すると、67歳で約4,000万円の貯蓄残高の開きが出てきます。

【調査概要】
調査期間:2020年3月3日(火)から3月5日(木)
調査方法:インターネットでのアンケート調査
調査対象:全国 30歳~59歳男女 1800名(筋トレ習慣あり600名、なし1200名)

出典元:株式会社MTG
https://www.mtg.gr.jp/

構成/こじへい

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