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Withコロナ時代の新スタンダード「バーチャル株主総会」のメリットと課題

2020.07.14

 新型コロナウイルスの感染予防のために株主総会をオンライン上で開催する企業が増えた。株主総会と言えば、広々とした会議室やコンサートホールのような大きな会場に株主が集まり、壇上に控える経営陣との熱い議論する姿がまず先に思い浮かぶ。

 それがオンラインでの開催になると、どう変わるのだろうか。実際にバーチャル株主総会を行った企業を取材してきた。

リアルタイムの質問やブロックチェーンを使った投票システムで臨場感を醸成

 今回取材したのは、企業向けのITソリューションを多数手がける「アステリア」(東証一部・3853)のバーチャル株主総会。

 登壇する経営陣や事務局メンバーは、それぞれ別室からオンライン会議システムを使って接続。その動画をリアルタイムで株主が視聴できる仕組みを構築した。

 また議案に対する賛成・反対の議決権を行使できるシステムを自社で開発した。投票結果の記録にはブロックチェーンを使用することで、株主が投票した後に第三者が結果を改ざんできないように工夫している。このシステムでは株主が質問を投稿することもでき、経営陣による経営成績の報告や、次年度の経営目標の発表に対しての質問が次々と送られてきていた。時間の許す限り経営陣が質問に答える臨場感は、リアル開催に比べて引けをとらない。同社の平野洋一郎社長によれば、質問の数はリアルの株主総会よりも増えているとのことだ。

アステリア社の会議室に登壇者の動画を視聴できる場所も用意されたが、実際に足を運んだ株主はたったの7人。昨年度の株主総会では足を運んだ株主は184人なので、多くの株主がオンラインで参加したことがわかる。

バーチャル株主総会での配信動画の様子。プレゼン用のスライドをめくりながら説明するので配信自体に目新しさは感じないが、株主にとって登壇者の言葉はどれも重要なもの。来場した株主は食い入るように視聴していた。

登壇者の配信区画。密にならないように一人ひとりが別室にて配信を行っていた。写真は、議長を務めたアステリア代表取締役社長の平野 洋一郎氏。

議決権行使の様子。投票システムに株主がログインして議案に対する賛成・反対の投票を行う。ログインには株主総会の招集通知に記載のあるログインIDとパスワードを使用する。議事進行中の質問投稿も同じシステムで行なえる。

アステリア社が開発したバーチャル株主総会システムの全体像イメージ。総会で最重要となる議決権の投票結果をブロックチェーンに記録することで、記録の改ざんを防いでいる。なぜブロックチェーンを使っているのか。そもそもブロックチェーンにはどのような特長があるのかは以下の書籍を見て欲しい。

『マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ』
著/森 一弥 画/佐倉イサミ
小学館 1300円
バーチャル株主総会について詳しくは同書のP.122から解説。そもそもブロックチェーンとはどのようなものか。どのようなビジネスシーンに応用できるかを、やさしく説明しているので興味のある人は必見の書籍となっている。ぜひお近くの書店でお買い求めください。
各電子書店でも発売中↓
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コミュニケーションが楽になる一方、出席者の公平性に課題

 平野社長は「バーチャル株主総会では株主の反応が見えにくい。実際に株主と顔を合わせて議論するライブ感をどうするかが今後の課題だが、地方や海外でも参加できるので株主価値の向上につながったと思う」と述べていた。

そもそも議決権行使の投票がインターネットで行える仕組みは、コロナ禍以前から整えられていた。そのため読者のみなさんの中には、オンラインで投票したことがあるという人もいるだろう。さらに進化して株主総会がオンラインで開催できるようになり、システム化が進むにつれコミュニケーションが楽になっていくのは言うまでもない。

 しかし議論を活発に行いたい。深い質問を経営陣にぶつけてみたいという株主の思惑をきちんと実現できるだろうか。という課題は根強く残るだろう。

 経済産業省が公表した「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」では『バーチャルのみの株主総会の開催は、現行の会社法では実施が難しい』と述べている。そのためバーチャル株主総会を行う場合はリアルの会場も設営する「ハイブリッド」型が主流になる。

参考:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド/経済産業省

 そのためリアルの会場にいる人は挙手で質問するが、オンライン参加の人は文字列を入力して質問するというように質問の仕方が異なる。アステリア社の株主総会ではなかったが、リアル参加の人はお土産がもらえるが、オンライン傘下の人はもらえないなど出席場所の違いでの不公平さが生まれないような工夫が必要といえる。

 Withコロナ時代で密を避けるだけではなく、様々な株主が株主総会に出席することで多様な意見を取り込む。その結果企業価値が向上していく。そんな効果を求めて、バーチャル株主総会の発展に期待したい。

取材・文/久我吉史

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