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企業がデジタル変革への投資を最大化するために必要な5つの指針

2020.07.11

アクセンチュアの最新調査によると、 デジタル変革(DX)に取り組む多くの企業が、 主要事業部間の連携不足によりプロジェクトへの投資効果を十分に得られていないことが明らかになった。

調査に回答した経営幹部のうち、日本企業の72%(グローバル全体で75%)が、「デジタル変革において、事業部門同士が協力し合うのではなく、むしろ競い合うことが多い」と回答しており、部門間調整によって発生する無駄なコストが増大し、収益を引き下げている現状が伺える。

本調査は、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響が全世界に拡大する前に実施されているが、調査報告ではパンデミックのような危機や経済後退が引き起こす状況や問題点を指摘しており、「Never Normal(全く新しい日常)」な状況下において企業が執るべき指針を論じている。

同社でインダストリー X.0事業をグローバルで統括するマネジング・ディレクターのナイジェル・ステイシー(Nigel Stacey)氏は次のように述べている。

「企業は成長に伴い、組織がサイロ化する傾向にあります。部門ごとに機能を集約させた組織では、部門内のニーズを優先して、部門間の連携が阻害されやすい状況が生まれます。COVID-19の危機によって企業のデジタル変革が加速する今、この閉鎖的な組織の課題が改めて浮き彫りになっています。組織全体のデジタル化が阻害され、事業の復旧の遅れと成長の停滞を招く大きなリスクになるのです。」

事業部間の無駄な競り合いによるコスト

例えば多くの企業で、特定技術に対する投資が重複することがある。これは往々にして、部門間の協力と連携が欠如していることが原因で、結果として無駄なコストを生んでいる。

また、2017年から2019年にかけて企業がデジタル変革への投資を増やしたことで、日本企業のコストは5.4%(グローバル全体で約6%)上昇した。これらの日本企業は、デジタル変革への投資によって年間収益を13.2%(グローバル全体で11.3%)増加させることを見込んでいたが、実際には平均5.3%(グローバル全体で6%)の増加にとどまっている。

調査では日本の経営幹部の72%(グローバル全体で64%)が、「デジタル関連の投資が企業の収益を引き上げることはない」と回答している。

アクセンチュアでファンクションネットワーク&プログラムをグローバルで統括するシニア・マネジング・ディレクターのレイチェル・バーテルズ(Rachael Bartels)氏は、次のように述べている。

「デジタルプロジェクトを計画、実行しようとしても、サイロ化した組織ではイノベーションが阻害され、組織の成長とパフォーマンス向上の機会を失う恐れがあります。業界をけん引するリーダー企業は、現在のパンデミックの影響の有無にかかわらず、事業の成功のために組織全体および事業部間でのコラボレーションが必要不可欠だということを十分に認識しています。」

今回の調査では、部門の枠を超えたコラボレーションに成功している企業を「チャンピオン企業※1」と定義づけ、その特長を分析した。チャンピオン企業は調査対象の日本企業の13%(グローバル全体で22%)で、デジタル変革によって高い価値を生み出すために、事業部間の連携に注力している。

※1 調査は以下の2つの要件を満たした企業を「チャンピオン企業」と定義している。

1) 2017年から2019年に、部門の枠を超えたデジタル変革投資の取り組みが収益に及ぼした影響が業界平均を上回っている。
2) 同3年間の収益成長率が同業他社を上回っている。

2017年から2019年に事業部門のデジタル変革を推進した結果、チャンピオン企業はその他の企業に比べて大幅に業績を向上させたことが分かった。日本のチャンピオン企業のデジタル変革による収益は27.7%増加しており、その他の企業(11%)の2倍以上にのぼる(グローバル全体ではチャンピオン企業27.1%に対してその他企業6.6%で、4倍の収益)。

また日本のチャンピオン企業は、その他の企業のおよそ1.6倍(グローバル全体1.5倍)もの投資をデジタル変革に向けて行っており、EBIT(支払金利前税引前利益)は19.8%(グローバル全体27%)増加している。一方、その他の企業のEBITは7.3%(グローバル全体2.1%)に留まっている。

COVID-19 のパンデミック宣言後、平均株価指数を基に行われた分析では、チャンピオン企業はその他の企業に比べて損失を抑えることに成功していることが示されている。チャンピオン企業は、その他の企業とは異なるアプローチをとり、悪化する経済情勢の中でも競争力を高め続けているのだ。

チャンピオン企業の主な取り組み

チャンピオン企業では、事業戦略の中に全社規模でのデジタル変革の実行計画を組み込んでいる。また、すべての部門責任者が課題を把握し、解決に対する責任を負っている。日本のチャンピオン企業の80%(グローバル全体82%)が「デジタル変革全体を統括し、各プロジェクトを成功に導く経営幹部がいる」と回答している(その他の日本企業72%、グローバル全体66%)。

チャンピオン企業では、IoTデバイスの管理やエンジニアリングデータのデジタル化など、従業員同士のつながりや部門間連携を促すプロジェクトを優先して取り組んでいる。

またチャンピオン企業では、デジタルソリューションとプラットフォームの相互運用を実現している。グローバルのチャンピオン企業の71%が、「複数のデジタルプラットフォームを連携してコミュニケーションを活性化している」と回答している。

さらに、事業計画を推進する情報技術と、製造や運用を制御する運用技術の連携に関して明確なルールを策定し、実践している。日本のチャンピオン企業では、スマート工場・設備保全(50%)、デジタルスレッド(製造全工程のデジタル化、45%)、クリーンモビリティ(環境負荷の低いモビリティ、40%)といった分野に優先して取り組んでいることが明らかになった。

アクセンチュア インダストリー X.0マネジング・ディレクター兼グローバル・リサーチ責任者のラガフ・ナラサライ(Raghav Narsalay)氏は、次のように述べている。

「景気後退の最中であっても、企業はデジタル変革を推進していく必要があります。ただしデジタル変革を成功させるには、部門横断で連携しなければなりません。部門間のコラボレーションは、効率や生産性と同様、困難な状況下における事業の成功や他社との差別化を計る重要なバロメーターになりつつあります。」

<調査概要>
調査方法:調査レポートは、公開されている財務情報のほか、R&D、エンジニアリング、生産、サプライチェーンの各部門の企業幹部1,550名 を対象としたアンケート調査に基づいて作成している。アンケートは、年商10億ドル以上の企業(11カ国14業界)を対象に2020年2月に実施した。

調査対象業界:航空宇宙・防衛、自動車、自動車部品、化学、消費財・サービス、ハイテク、産業機器、ライフサイエンス、医療機器&テクノロジー、金属・鉱業、石油・ガス、その他天然資源、半導体、公益事業

調査対象国:日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、アメリカ

出典元:アクセンチュア株式会社

構成/こじへい

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