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国内でももっと評価されてしかるべき!?ホンダの10代目「アコード」が放つ魅力

2020.07.12

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 1976年に登場した初代から数えて10代目となるホンダ「アコード」。日本仕様はモノグレードで、パワートレインはハイブリッドの1種類のみとなる。タイ工場製で、価格は465万円。2.0L、4気筒エンジンに、走行用モーターと発電用モーターを組み合わせた「e:HEV」ハイブリッドシステムだ。最高出力145ps/6200rpm、最大トルク17.8kgm/3500rpmのエンジンに最高出力184ps/5000~6000rpm、最大トルク32.1kgm/2000rpmという強力な走行用モーターが組み合わされている。

 エンジンで発電した電気で前輪を駆動し、強い加速や高速での連続走行時などにはエンジンも駆動に加わる。“エンジンのホンダ”にしては、例外的に「e:HEV」でのエンジンは“脇役”を務めているのである。実際に、一般道で走る分にはほとんどモーターだけで走っている。メーターパネルをエネルギーフロー画面に切り替え、確かめながら走るとエンジンがタイヤを駆動する場面はほとんど見受けられない。

機械として優れているか?★★★★4.0(★5つが満点)

 静かで滑らかな加速は、モーターによる加速ならではだ。車体の骨格が新開発され、その効果が十分に発揮されていて、たとえエンジンが回転していても静かであることに変わりはない。その骨格の新開発と、やはり新開発の「アダプティブ・ダンパー・システム」の相乗効果が顕著に発揮されているのが高速道路での走行だ。引き締まり、ソリッドでフラットな走行間隔がとても上質に感じられた。

 同じ印象は、山道でペースを上げた時にも受けた。走行モードを“スポーツ”に切り替えても、特にスピードを上げている時の印象が好ましかった。反対に“ノーマル”と“コンフォート”の隔たりはあまり感じることができなかった。また、低速域で路面上の段差や突起を乗り越えた時のタイヤの上下動がもう少し抑えられていれば、さらなる上質感につながっていくだろうと思った。

 リアルの針がある大きな径のスピードメーターが残っていたり、運転支援デバイスの作動状況がメーター内でダブって表示されるなど、2020年に発表されるクルマとしてはドライバーインターフェイスの整理整頓の必要性があるように考えられた。その運転支援のLKAS(レーンキープアシスト)の作動自体も時間が短めで、アシストも弱めだ。ボルボやBMW、テスラなどの最新のものはもっと長く、柔軟かつ力強い。それらを勘案したとしても、新開発の車体骨格とe:HEVによる走りの基礎が上質であることを新型アコードのまず第一の長所として挙げることができるだろう。

■商品として魅力的か? ★★★☆ 3.5(★5つが満点)

 1976年に登場した初代「アコード」はカッコよかった。同級生の家が購入して乗せてもらって、良く憶えている。2ドアハッチバックのボディーにシンプルなインテリアが、ヨーロッパのクルマのようで、とても新鮮だった。

 アメリカ車の縮小版のようなクルマばかりだった当時の日本では「アコード」は初代「シビック」に続く“ヨーロッパ車”だった。当時のクルマには、エネルギー危機や排ガス規制など、克服するべき大きな課題が課せられてきた。初代「アコード」と「シビック」はCVCCエンジンをはじめとするホンダ独自のテクノロジーによっていち早くそれらを解決しただけでなく、派手に存在を誇示するのではなく、環境や社会と文字通り“調和する”ことを目指したクルマだった。だから、どちらも当時の日本で人気を呼び、大ヒットしたのだ。

 アメリカのクルマが最高だと無条件に信じていた、一世代上の先輩たちとは違う価値観とセンスが世界にはあることを、ホンダは「シビック」と「アコード」を通じて教えてくれたのだ。そう、ホンダの魅力とは、トヨタや日産などのようなメジャーメーカーが生み出していなかった“まったく新しい種類のクルマとジャンル”を生み出してくれることだった。クルマを造っているのだけれども、新たな世界観を提示してくれることをみんなホンダに期待していて、ホンダもそれに応えてくれていた。

 新型となる10代目「アコード」には、新しい世界観は宿っているのだろうか? 単純には比較できないほど、44年間で世界は大きく変わり、クルマも大きく進化した。10代目「アコード」は日本では新型だが、すでにアメリカでは2017年に、中国では2018年に発表されている。そして、アメリカでは年間26万台、中国では年間21万台も売れている。素晴らしい!

 それぞれの国では、ガソリンエンジン搭載車が主体で、日本のようにハイブリッド版だけではないという事情の違いをあるにしてもこの実績はスゴい。特にアメリカでは、長年に渡ってベストセラーカーのトップを争って君臨し続けているわけだから、絶対のブランドバリューが確立されている。中国でも、王者のフォルクスワーゲンのセダン群を相手に善戦を続ける頼もしい存在なのである。

 アメリカと中国という2大自動車大国で「アコード」は日本を代表するかのように強い存在感を示し続けているのは心強い限りだ。しかし、日本での予定販売台数は月間300台、年間にして3600台だという。規模こそ及ばないものの、日本も自動車大国のひとつであることは間違いないのに、あまりにも「アコード」を巡る状況が異なり過ぎているのがちょっと寂しい。純粋に企業のソロバン勘定だけだったら日本で売らなくても収益に影響は及ぼさないのではないだろうか。

「日本で新型『アコード』を出せたことがよかった。開発陣は誇りに思っています」(開発責任者・宮原哲也氏)

 時代の移り変わりというものはつくづく残酷だと思った

■関連情報
https://www.honda.co.jp/ACCORD/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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