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在宅勤務をする時に盲点となりがちな3つのこと

2020.07.10

■連載/あるあるビジネス処方箋

再び、都内や一部の地域で新型コロナウィルスの感染拡大が懸念され始めた。それに伴い、在宅勤務を推奨する企業がまた増えてきた。私も先週、経済誌での特集の記事を書くために、7社の企業のオンライン取材をした。この取材では中小企業を主な対象としたが、いずれも様々な工夫をして危機を乗り越えていた。特に社員60人程のITベンチャー企業が4~5月にしていた試みが印象に残った。今回はそのうちで特に大切で、導入をするうえで盲点とも言える3点をお伝えしたい。

1. 段階的に始める

同時期(1週間程)に社員全員を在宅勤務にするケースが多いが、それとは一線を画していた。このベンチャー企業は今回初めての導入だけに、慎重に進めたかったようだ。社内には、開発や管理部など6部署がある。それぞれの部署から2人ずつ、社内全体では12人が1週間、自宅で仕事をする。12人が1週間で生じた問題点や課題をチャットツールに書き込み、約60人で共有する。生じた問題で多かったのは、自宅でのネットワーク環境が整っていなかったことだ。総務部が緊急に一定額を負担し、その社員が使う回線を引くようにした。

このようにPDCAサイクルを回しながら、翌週に6部署から2人ずつ、計12人が在宅勤務を試みる。この繰り返しで5週間を終えた時点(5月2週目)で、60人が在宅勤務に入った。5月末まで全員がフル(終日)在宅勤務となった。社内の業務に関するトラブルは、ほとんどなかったという。

これら一連の流れは当たり前のようでいて、実は多くの企業ができていないのではないだろうか。実際、大半の企業が急きょ、同時期に多くの部署で部員全員が在宅勤務に入ったように私には見えた。これでは混乱が生じるのは無理もない。

2. 新入社員の育成

 在宅勤務の場合の1つの課題は、社員の育成だ。特に新卒で入社した社員の育成には壁があるようだ。中堅、大企業はともかく、ベンチャー企業の場合、毎年4月、数週間の集合研修後、5月の連休明けから配属部署で仕事を始める。先輩社員のOJTのもと、6~7月にはある程度の戦力になることが求められる。

ところが、今年はそのスケジュールが崩れる傾向があるという。在宅勤務のもと、新入社員が自宅で仕事をしようとしても、何をどのようにしていけばいいのか、わからないようだ。質問をしようとしても、社内での人間関係ができていないために、先輩に聞くことができない。そこで、6月からは新入社員は出社するようにした。本人たちの要望でもあるそうだ。その後は比較的順調に教育は進んでいるという。しかし、今後、感染拡大が深刻になると、また在宅勤務に戻らざるを得ない。その場合はどうするかと現在、社内で話し合っているようだ。

3. 労働時間と健康管理

在宅勤務中、「出社をしたい」と上司や総務に何度か申し出る社員がいたという。いずれも、仕事とオフの切り替えができないようだ。結果として1日15時間程、パソコンに向かい、作業をする。何らかの仕事をしていないと、本人は気が落ち着かないらしい。そのような不安や悩みを上司や総務に伝えるが、会社としてどうすることもできない。そこで6月からは、出社するようにさせた。本人たちは一時期、元気をなくしていたが、出社の日が続くとしだいに元の状態に戻ったようだ。

このケースは、現在の在宅勤務に関する報道では盲点になっているのではないだろうか。中には、「在宅勤務の労働時間は各自の自己管理、自己責任」と信じ込んでいる人たちもいる。会社員はあくまで会社の一員であり、そこには労働基準法を始め、労働法や民法がある。会社は社員を雇う以上、安全管理の責任を負う。裁量労働制であれ、完全フレックスタイム制であり、その事実は変わらない。そのことをあらためて考え直す時期だと私は思う。

今回取り上げた3点は、在宅勤務をするうえで盲点になりやすいところだ。

今後、機会あるごとにぜひ、参考にしていただきたい。

文/吉田典史

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