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太極拳に心血管疾患患者の気分とQOLを向上させる効果、米アリゾナ大学研究報告

2020.07.03

太極拳は心血管疾患患者の気分とQOLを向上させる

気分の落ち込みを感じている心血管疾患患者は、太極拳を試してみると良いかもしれない。

米アリゾナ大学のRuth Taylor-Piliae氏らの研究で、心身の健康の向上を目指すこの運動が、心血管疾患患者の気分と生活の質(QOL)双方の向上に関連することが明らかになった。

研究結果の詳細は、「European Journal of Cardiovascular Nursing」6月9日オンライン版に掲載された。

心血管疾患は、生涯を通して付き合うことになる疾患である。例えば、心筋梗塞を起こした患者は、残りの人生を冠動脈疾患または心不全を抱えて生きていくことになる。

このため、患者の多くは、不安、ストレス、抑うつ症状を経験する。例えば、抑うつ症状は、冠動脈疾患または心不全の患者の約20%、高血圧患者の約27%、脳卒中経験者の約35%に認められるという。

太極拳は、「雲手」のような一連の動きとリラクセーションおよび呼吸法を組み合わせた心身のエクササイズで、姿勢、リラクセーション、呼吸に集中する必要がある。

Taylor-Piliae氏らは、10種類の論文データベースを用いて、心血管疾患患者の心理的ウェルビーイングに太極拳による介入が与える影響について検討した文献を検索し、基準を満たした研究15件の研究結果を基にメタ解析を行った。

解析対象者の総計は、冠動脈疾患、心不全、高血圧、脳卒中の既往がある1,853人(平均66歳、44%が女性)であった。

その結果、太極拳は全体として、精神的苦痛と抑うつ症状の低減に関連していることが明らかになった。その一方で、不安との関連は統計的に有意ではなかったが、これは患者数が十分でなかったためと考えられた。

また、心血管疾患患者の多くは、息切れなどの不快な症状や能力障害があるため、QOLが低下しているものだが、太極拳を行うことで、メンタルヘルス関連のQOL(物事の捉え方、外出や社会的交流をする能力)および身体的健康関連のQOL(歩行や日常生活を行う能力)の双方が改善することも示された。

しかし、脳卒中経験者のウェルビーイングに対する目立った効果は確認されなかった。この理由についてTaylor-Piliae氏は「これまで、脳卒中経験者におけるウェルビーイングやQOLに関してほとんど研究が行われていないからだ。脳卒中経験者を対象とする太極拳の研究は多数あるが、その大半は、バランス能力や歩行などの身体機能に着目したものである」としている。

では、太極拳の何が患者の精神状態に良い作用を及ぼしているのだろうか。Taylor-Piliae氏は、それを明らかにするには、さらに研究を重ねる必要があるとしつつ、「姿勢と呼吸法の相乗効果だと考えている。太極拳を行っているときは姿勢が良くなる。良い姿勢は気分を向上させることが、研究から明らかにされている。また、息を止めるとストレスや不安の原因となることも分かっている」と説明している。

その上で、Taylor-Piliae氏は「心筋梗塞や脳卒中の経験者や、その他の問題を心臓に抱えている人には、回復とリハビリテーションのための手段に太極拳を加えることを強く勧めたい。バランス能力向上などの身体面での便益がある上に、メンタルヘルスにも良い」と助言している。(HealthDay News 2020年6月9日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1474515120926068

Press Release
https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Tai-chi-lifts-spirits-of-people-with-heart-disease

構成/DIME編集部

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