
今後は会社に出社することではなく、成果を出すことが求められてくる。そのためには自分自身を常にアップデートし続け、成果に結びつける必要がある。では、何を、どのようにして学べばいいのか? 社会人の学び直しの秘訣を聞いた。
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問
一橋大学名誉教授
野口悠紀雄さん
東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。退官後、個の生産性の最大化を提唱した『「超」整理法』で一世を風靡。その先見性が再評価されている。
野口さんの提言!
(1)本格的な成果主義の時代に。会社にいるだけの人間はいらない
(2)ビジネスパーソンも学びが必須に。必要なのは、専門知識と英語
(3)学校には行くな、独学せよ。誰かに教えることで習慣化を
人事評価の軸は会社にいることから成果へ
日本企業の場合、今まで長時間労働が当たり前で、会社に〝いる〟ことが重要でした。しかし、コロナ禍でテレワークに変わり、最終的に上がってきた成果でしか評価ができなくなりました。今後は日本でも成果が重視され、会社にいることを良しとしてきた「いるか族」は淘汰されるでしょう。
成果主義になると、何が変わるのか? 端的に言えば、ビジネスパーソンには積極的に学び、自分を高め続けることが求められます。
まず学ぶべきは、専門知識と外国語の2つです。専門知識のほうは一概には言えませんが、FinTechやAIなど、発展著しい分野を学ぶのはひとつの選択肢になるでしょう。外国語は日本人にとっては、英語がメインでしょう。
英語は、何も語学学校に行く必要はありません。専門領域の単語を身につければ、文法は高校卒業レベルで十分です。例えば、累進課税は英語で「progressive taxation」といいます。こうした、各分野の専門用語は、語学学校では教えてくれません。ビジネスにおいては日常的なコミュニケーション英語より、専門分野で使われる用語を覚えていくことが大切です。
こうした専門知識や外国語はウェブサイトやYouTubeで十分学べます。優れたものがすでにたくさんあるので、これとGoogle翻訳を使って学んでいけばいい。わざわざ参考書を買う必要もありません。
学びの本質は独学。継続するためには教える
特に強調したいのは、学びは自発的な行動であることです。つまり、独学がメインで、本来、学校はそれを補うもの。きちんと目的を持たないと、学校の「いるか族」になりかねません。
まずは、自分に必要なこと、目標を設定し、独学していける力をつける必要があります。それから、学校に行くことを考えましょう。カリキュラムの指導や、同じ目標を持つ仲間と交流ができるのは学校に行く利点です。
また、学びをどう習慣化するかは難しい問題ですが、私がおすすめするのは、人に教えることです。ブログでもSNSでも、自分が学んだことを発信し、次々に学ばなければいけない状況に自分を追い込む。そして、誰かに教えなければという状況にしておくと、モチベーションが維持できると思います。
Withコロナ時代に学び直すべきはシンプルにこの2つ
取材・文/橋本 保
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