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スーパーは復調、コンビニは苦戦、コロナ禍で分かれた明暗の理由とは?

2020.07.01

これまでの景気後退や金融不安では、外需、景気敏感、金融関連などが深刻な打撃を受けたが、この度のコロナ禍は業績の安定性が高い消費関連など内需関連業種へ大きな影響を与えている。また、同じ内需関連でも業態の違いだけでなく、同一業態内でも企業によって明暗が分かれた。

本稿では、消費関連企業を中心にコロナ禍による明暗や加速するビジネスモデルの転換の動きをみていきたい。

1.コロナ禍は消費関連など内需型業種にも深刻な影響

新型コロナの感染は米国や新興国など世界各地に拡大した。国内でも営業、外出自粛などから景気敏感業種などに加えて、今回は景気に左右されにくく業績の安定性が高い「ディフェンシブ」と呼ばれる業種も大きな影響を受けた。

コロナ禍での消費行動の変化の影響を直接的に受ける小売業をみてみると、幅広い業態で大きな影響を受ける一方、業態や企業ごとには明暗の分かれる結果となった。

緊急事態宣言が全国で出され、店舗の休業が増えた4月の動向を経済産業省が5月29日に発表した商業動態統計速報からみると、小売業販売は前年同月から▲13.7%の10兆9,290億円で、2カ月連続のマイナス。下落率は統計を取り始めた1980年以降2番目の大きさで、前月(▲4.7%)から急拡大した。

百貨店が71.5%減った一方で、巣ごもり需要を取り込んだスーパーやドラッグストアは堅調だった。なかでも高成長が続きコンビニエンスストアやスーパーとの市場格差を縮めてきたドラッグストアは今回の局面でも好調が目立った。

百貨店は緊急事態宣言が全国で出され、休業した店舗が多かったことやネット通販への取り組みが遅れていることなどが影響した。

スーパーとコンビニでは、成長が鈍化していたスーパーが復調し、非常時に強いはずのコンビニが失速した。

スーパーは4~5人家族を主な対象としたビジネスモデルで、消費者のニーズをつかみ切れていないと言われてきた。コロナ禍のなかで復活した要因は、低価格志向と外出自粛に伴うまとめ買いという消費行動の変化が背景にある。一方、外出自粛の影響は相対的に小さく、有事に強いとみられていたコンビニは苦戦した。オフィス街での需要縮小から、ここでのランチの減少などが大きく影響した。

ドラッグストアは食料品などがけん引して今回の局面でも強さを発揮した。コロナ禍でマスクなどを求めて来店者が増え、客層も広がった。ドラッグストアは粗利益率が4割超にもなる医薬品、3割前後とされる化粧品での利益を原資に、食料・日用品販売でのスーパーやコンビニに比べた圧倒的な価格競争力で、消費者のひき付けに成功した。

2.コロナ禍で同一業態でも明暗

今回のコロナ禍に伴う行動変化を反映し、同業態でも明暗がわかれた。コンビニの5月の既存店売上高(前年同月比)はファミリーマートが▲11.0%、ローソンが▲10.2%で、セブン―イレブン・ジャパンは▲5.6%と格差がついた。オフィスなど都心部に強いファミリーマートが最も影響を受け、首都圏の住宅地に強いセブンイレブンの影響は小さくなった。

高成長が続くドラッグストアでも5月の既存店売上高でみると、郊外型が好調な一方、都市型はテレワークの拡大やインバウンド減少の打撃が大きく苦戦。郊外型店舗の割合が高く、食料品など品ぞろえを増やしたウエルシアホールディングス(HD)は+6.4%、コスモス薬品は+15.2%と好調だった。都市型店舗が多く利幅の厚い医薬品、化粧品に注力するマツモトキヨシホールディングス(HD)は▲13.7%となり明暗がわかれた。

ドラッグストア各社の今期業績見通しをみても、医薬品、化粧品の割合が高く都市型店舗の多い企業の売上げ見通しが慎重なのに対し、郊外型で、食料品、日用品などで売り上げ拡大を進めるコスモス薬品などは売り上げ増が継続する見通しとな

■株価もコロナ禍の明暗を反映

株価も明暗を分ける結果となっている。業態別ではドラッグストア大手のウエルシアHD、ついでスーパー大手のイオンが評価され、百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が劣後する形となっている。

好調なドラッグストアでも郊外型で食料品、日用品などに注力し、売り上げ拡大に積極的なコスモス薬品と都市型店舗の割合が高いマツモトキヨシHDなどとの相対株価に大きな開きが出ている。これは市場がコロナの影響は一時的なものにとどまらず、構造的な変化をもたらすとみていることを反映したものと考えられる。

3.コロナ禍はビジネスモデルの転換を加速

小売業はビジネスモデルの見直しなどを進めていたが、新型コロナウイルスの感染第2波が懸念されるなか、ビジネスモデルの転換加速を迫られている。3密(密閉、密集、密接)回避の制約は競争環境をがらりと変え、小売業はより多くの顧客を呼び込むことで利益を上げる仕組みが通用しなくなる。このため企業が取り組んでいた電子商取引(EC)の活用などビジネスモデルの転換が加速すると予想される。

百貨店はセール商戦の見直しを迫られている。三越伊勢丹HDは今夏、店舗での一斉セールをやめてネット通販を強化する。コンビニはビジネスモデルの根幹であった24時間営業を人手不足などを背景に見直しを進めていた。コロナ禍による夜間の外出減で深夜営業が厳しくなり、コロナ禍後もこうした問題は続くとみられることから「脱24時間」はさらに加速しそうだ。

一方、コンビニの動きとは逆行する形で、ドラッグストアは積極策に出ている。ウエルシアHDは24時間営業の店舗のさらなる拡大を視野に入れている。コスモス薬品は、主力の食品満載型の郊外型店舗を関東地区に積極出店する計画で、関東地区の小売業は大きな影響を受けることになりそうだ。

このようにコロナ禍を契機に加速し始めたビジネスモデルの転換は多様な業態、企業で進む方向にあり、この巧拙が今後の企業の成長を大きく左右するとみられる。各企業の対応が注目される。

出典元:三井住友DSアセットマネジメント株式会社

構成/こじへい

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