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【開発秘話】発売から2年で累計2000万足以上売れている岡本のフットカバー「脱げないココピタ」

2020.07.02

■連載/ヒット商品開発秘話

 フットカバーを履くと必ずと言っていいほど感じる、脱げることによる不快感。独自技術で脱げなくし、不快感を感じさせないと評判なのが、岡本の『脱げないココピタ』である。

 2018年3月に発売した『脱げない ココピタ』は、独自に開発した「コの字型ストッパー」がかかとをしっかりホールド。フットカバーの長年の課題であった、履くとすぐ脱げてしまうという不満を解消する。レディース、メンズともに展開しており、発売から2年で売上が累計2000万足を突破した。

(左)女性用。画像はパンプスやフラットシューズに最適な浅履き丈
(右)男性用。画像はローファーに最適な浅履き丈

靴の中で脱げる理由を究明

 フットカバーは女性の間でレギンスがヒットした2005年頃から人気が出た。履くとすぐ脱げてしまうことの不満は、フットカバーが浸透するに従って聞かれるようになった。フットカバーを扱っている同社にも「脱げる」という不満は直接届いた。

フットカバーの不満点(岡本調べ)

 同社で『脱げないココピタ』の開発が始まったのは2014年頃のこと。まずはR&D部門が中心になって、脱げる原因の究明と対策の検討から着手。その上で商品化を目指すことにした。

 R&D部門は、靴下業界各社がいくら対策を打っても問題が解決されないことから、靴の構造、足と靴下と靴の関係性など改めて調べ直すことにした。この過程で、素足に履きそのまま歩いてもフットカバーは脱げることがないが靴を履いて歩き始めるとフットカバーは脱げてしまう点に注目する。さらに研究を進めたところ、次のようなことがわかった。マーケティング本部婦人部の大林勇士氏は次のように話す。

「足と靴下の間で発生する摩擦力より靴と靴下の間で発生する摩擦力の方が上回ることから、フットカバーは靴を履いて歩いていると脱げることがわかりました」

岡本
マーケティング本部婦人部 大林勇士氏

 フットカバーが脱げる原因は判明した。研究開発の焦点はストッパーの形状に移ることになった。

 まず、あらゆる形状のストッパーを考案。どのような素材、フットカバーの形状(浅履き、深履き、など)でも脱げないものにするため、つくった試作は1000足を超えた。

 現在のコの字型に至ったのは、靴の製造を研究した結果による。その研究結果について、大林氏は次のように話す。

「靴と靴下の間の摩擦がどこで起きているのかを、靴づくりの面から調べたところ、かかとの左右両サイドで起きていることがわかりました。かかとは、後方は靴の内側とほとんど接触していませんが、左右両サイドは最も足を締め付けています。このようなことから、かかとに対して横方向だけでなく左右両サイドにタテ方向にも配置したコの字型が考え出されました」

 形状が決まったら次はサイズを決めなくてはならない。「履いて動けば生地は伸びますし、素材によって伸び方は変わります。かかとの踵骨(しょうこつ)に効率良く密着し、ホールドできる大きさでないとストッパーの意味をなさないので、大きさ変えつつ検証し、効率良く密着するサイズを決めました」と大林氏は話す。

コの字型ストッパーが施されているおおよその位置

裏返しにして現れたコの字型ストッパー

履いたまま引っ張っても脱げない

 こうして脱げないようにする技術が確立され、商品化とブランディングの議論に入ったのは、2017年に入ってからであった。月1回ペースで開催した社内ワークショップで議論を集中的に行なっていった。

 ブランディングの課題は、フットカバーユーザーに脱げないことをどのようにして伝えるかであった。同社の調査では、フットカバーが靴の中で脱げてストレスを感じたことがある人は90%を超えるほど。それに、「得意先は『脱げるのが当たり前』、当社の営業は『脱げにくいといっても脱げるだろう』と、フットカバーは脱げるという固定観念があった」と大林氏。今までのフットカバーとどう違うのかを伝えることに難しさを感じていた。

 この課題を解決するものとして採用されたアイデアが、パッケージに使われている写真。履いた状態で真ん中を大きく引っ張っても脱げないことを示すことで、消費者には今までのフットカバーとは明らかに違うことを伝えることにした。

 このアイデアは、例年8月頃に得意先を集めて実施する内見会で足型に履かせてバイヤーに引っ張ってもらったことがきっかけになった。言葉だけでは「脱げない」ということが伝わりにくいことから足型に履かせて引っ張ってもらうようにしたが、試しに引っ張ったバイヤーは一様に驚いた。「この驚きを消費者に伝えられないか? ということからパッケージにも使っていくべきという流れになった」と大林氏は振り返る。

 展示会での得意先の反応が良かったことから、社内では「広告投資を行なって積極的に展開していくべき」とまとまる。消費者に受け入れられるかどうかを確かめるため、同社では消費者へのインタビューや試着検証も実施した。

 試着検証では、驚きの反応が得られ好感触を持つに至った。「この反応なら『売れるな』と思ったほど」と大林氏。体感してもらったことにより、高い使用意向も確認できたという。

マーケティング予算を福岡に集中投下

 発売初年度になる2018年は、エリア限定でテレビCMを流し、同エリアでの営業を強化。その成果を2019年以降他のエリアにも拡大することにした。

 テレビCMを放映したエリアは福岡と沖縄で、発売された3月から5月まで実施。福岡は全国平均的なマーケティングデータが得られることやターゲットとなる若い女性の人口が多いこと、同社商品の配荷率がもともと高いことなど、沖縄は暖かくフットカバーが利用される期間が長いことから選ばれた。テレビCMは2019年春から全国で放映となった。

 テレビCM放映期間中はどこの小売店にも置いてある状態つくる必要があったことと、3月から5月はフットカバーがよく売れる時期であることから、とくに福岡エリアではドラッグストアやディスカウントストアなどの新規開拓を積極的に実施。実績をつくることで、2019年以降に他のエリアで新規開拓しやすくすることにした。

 売場も工夫した。とくにスーパーの場合、普通は衣料品売場の隅にありがちな靴下売場に置かれ目立たないことなどから、店舗によっては入口や1階エスカレーターのそばのように探さなくても目に入るにところに売場を設けることもした。

 店頭ではパッケージにも使われた写真を掲示し、足型に履かせたものを設置したほか、動画も流すようにした。流した動画はテレビCMのほか、一般消費者にわざと引っ張ってもらったり実際に履いてもらって脱げなかったことの驚きを収録したもの。「試着して買うことができない商品なので、脱げないことに対する信頼性の高さを示すことにしました」と大林氏は言う。

店頭に設置されている『脱げないココピタ』を履かせた足型。商品の性格上、試着してから購入することができないため、引っ張れるようにして脱げないことを体感できるようにした

店頭で流している『脱げないココピタ』の動画のワンシーン

取材からわかった『脱げないココピタ』のヒット要因3

1.ユーザーの不満解消

 履いているうちに靴の中で脱げてしまうフットカバーの課題を解決。ユーザーにとっては不満の種が解消されるので購入に結びついた。

2.視覚に訴えた

「脱げない」と言葉だけで伝えても信じてもらいにくい。そこで、実際に履いた状態で引っ張っても脱げない写真をパッケージに使ったり、足型に履かせて引っ張っても脱げないことが試せるものを店頭に設置。視覚に訴えることで商品の機能を強く訴求した。

3.マーケティングと新規開拓の連動

 発売初年度はマーケティング予算を主に福岡に集中投下。併せて、新規開拓を強化し配荷先を増やした。2019年以降は福岡での実績をテコに他のエリアでも新規配荷先を拡大した。

『脱げないココピタ』の成功から、業界各社は最近、「脱げない」を訴求した新しいフットカバーをさらに展開するようになってきている。同社としても、これから先の競争を見据え、『脱げないココピタ』に新たな付加価値をプラスした商品の投入を検討中だという。果たしてどのような付加価値を提案するのだろうか? 今後が楽しみである。

製品情報
https://shop.okamotogroup.com/disp/CSfDispListPage_001.jsp?bc=OKAKPT&pbc=OKAKPT
https://shop.okamotogroup.com/f/dsd-021044001--

文/大沢裕司

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