
コロナ禍で改めて問われる判子文化の必要性。判子を押すためだけにわざわざ出社することが非効率的だと十分承知しつつも、諸般の事情でなかなか電子化に踏み切れないという中小企業・小規模企業も少なくないだろう。
そんな中小企業・小規模企業の判子慣習の実態を探るべくこのほど、アドビ システムズによる「判子の利用実態調査」が行われたので、その結果を紹介していきたい。
本調査は、従業員300名以下の企業に勤める全国の経営者・役員、計500名を対象にインターネットで行われた。
74%が判子撤廃を支持するも、50.1%は「撤廃は難しい」と回答
■契約手法、判子が83.0%と最も多い結果に、電子契約の利用率はわずか17.8%
直近1年間の契約手法を尋ねる調査が行われたところ、判子を使った契約が83.0%と最も多く、電子サインなど判子を使わない電子契約の利用率は17.8%に留まった。
■「判子は生産性を下げていると思う」72.6%
判子(捺印)文化が仕事の生産性にどのような影響を与えていると思うか尋ねる調査が行われたところ、「生産性をとても下げていると思う」と「生産性を下げていると思う」を合わせて72.6%に上った。
多くの人が判子(捺印)文化は生産性を下げていると考えている反面、いまだに判子を伴った契約業務が大半を占めることが明らかになった。
■「判子の慣習は無くした方が良い」74.7%、一方50.1%が「判子撤廃は容易でない」と回答
仕事で判子を使用したことがあると回答した人を対象に、生産性向上のために判子の慣習を無くした方が良いと思うかどうか尋ねる調査が行われたところ、74.7%の方が無くした方が良いと回答。
一方で、過去1年の契約取引などで判子を使ったと回答した人を対象に、自身の会社で判子(捺印)の慣習を撤廃することは容易と思うか尋ねる調査が行われたところ、半数に上る50.1%が撤廃は難しいと思うと回答した。
■判子撤廃へのハードル要因、最多は「取引先の契約方法に従う必要がある」51.4%
判子撤廃へのハードルとして具体的な要因について尋ねる調査が行われたところ、最も多かったのが「取引先の契約方法に従う必要がある(51.4%)」で、「法的に有効かどうか心配(30.7%)」、「セキュリティ上の不安がある(30.1%)」と続いた。
また、その他回答として「役所の書類には判子が必須」「印紙税の扱いが良く分からない」といった回答も見られた。
新型コロナウイルス感染拡大防止をきっかけにテレワークが急速に進む中、政府は書面、押印、対面規制の見直しの検討をすすめ、書類処理のプロセスにおけるデジタル化を推進している。
今回の調査では、中小企業・小規模事業者の経営者の多くが、判子の撤廃を支持する一方、取引先(発注元)の慣習に合わせなくてはならず、契約プロセスを自発的には変更できないという実情が明らかになった。
アドビ システムズ 株式会社 マーケティング本部 バイスプレジデント 秋田 夏実氏は次のように述べている。
「今回の調査から、自社の判断でデジタル化に大きく舵を切れるのは一部の大手企業に留まり、中小企業の場合には取引先企業との慣習が優先される傾向にあることが明らかになりました。企業同士における契約書のデジタル化を進めるためには、発注側が積極的に電子契約サービスを使うことが重要となると言えるでしょう。『Adobe Sign』はソフトの導入など取引先の手間をかけることなくオンライン上で契約を締結することができる電子サインソリューションです。引き続き電子契約への理解を促進することで、組織における新しい働き方へのシフトを支援してまいります」
■テレワークスキルの向上で生産性向上、チーム内での協力も重要に
アドビは、PDFテクノロジーを基盤にクラウドやモバイル環境でのデジタルドキュメントの閲覧、編集、共有および文書業務とそのプロセスを効率化するクラウドソリューション「Adobe Document Cloud」を提供している。
電子サイン「Adobe Sign」を活用することで書類の確認や承認作業のために出社することなくテレワークを推進する。現在は企業のデジタル化を推進する様々な支援プログラムを提供。詳しくは以下のサイトをご覧いただきたい。
https://www.adobe.com/jp/covid-19-response/message-from-shantanu.html
<調査概要>
概要調査方法:インターネット調査
実施対象:500人(従業員数300名以下の企業の経営者・役員)
調査期間:2020年5月22日~26日
出典元:アドビ株式会社
構成/こじへい
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