IT評論家・フューチャリスト
尾原和啓さん
京都大学大学院で人工知能を研究。NTTドコモ、Google、楽天などで活躍。藤井保文氏とともに『アフターデジタル』を執筆。独自の視点でコロナ後を指南した『あえて、数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略』(SBクリエイティブ)が発売中。
尾原さんの提言!
(1)自分の提供できる価値を自覚し、誰かにとって仕事をしたい人になろう
(2)遠くにいる人と強い関係性を築くことがリスクヘッジ
(3)社会はリモートネイティブ世代の価値観が主流になっていく
「ギブ」を仕事の基本とするコミュニケーション
これからは自分が他者に何を提供できるかに意識的になるべきです。つまり、「ギブ」の力をつけ、価値のある存在になれば、人とのつながりは生まれていきます。
では、何を「ギブ」すればよいか。ポイントは2つあります。ひとつは知識や技術などです。もうひとつは、相手に別の視点を提供し、新たな気づきを届けること。
なぜ、別の視点を「ギブ」することが大切なのかというと、従来の常識が通用しなくなり、昨日の正解は、今日の不正解という時代ゆえに、様々な視点から物事を考える必要があるからです。
今のような危機や混乱の時代に有効なのは、ほかの人にない着想。そして、イノベーションは、常識を超えたものの掛け合わせで生まれます。だから、人とは違う別の視点を持つことが重要で、それが社会変革の原動力になるのです。
あなたの価値をわかる人が必ずいる
インターネットやスマホの普及によって、遠くにいる人や物事と、いつでも、手軽につながることができるようになりました。従来の仕事や地域などのコミュニティーに縛られることはありません。遠くても、自分の価値を認めてくれる人と仲良くすればいい。
そして、自分の価値を認めてくれる人との関係を強めていくと、新しいコミュニティーが生まれます。従来の会社というコミュニティーだけに依存せずに済むので、リスクヘッジにもなるのです。
こうした感覚は、家族以外の他者との出会いをリモートで行なってきた10~20代の「リモートネイティブ」世代には自然なことです。
彼らは、オンラインゲームの世界でいとも簡単に他者とつながっていきます。場所に縛られる感覚は希薄です。今後は彼らの価値観が主流になり、社会を大きく変えていくはずです。このトレンドに逆らっては、生存競争に生き残れないと思います。
自分が提供できる価値が人と結びつける
近著『あえて、数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略』で「ギブ」を解説したチャート。「ギブ」を繰り返していくことで、みんなの〝何者かになる〟ことができると尾原氏は説く。
遠くの仲間とゆるくつながる場を持つ
尾原氏のオンラインサロン。オンライン上で多くの人と交流をすることで、多様な視点やゆるく広いつながりが養われる。酒を酌み交わすような濃密なつながりだけでは限界がある。
取材・文/橋本 保
こちらの記事も読まれています