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コロナ禍で働く場所の制約から解放されたことが地方にとってのチャンスになる?

2020.06.28

発売中のDIME8月号では「新しい働き方マニュアル」と題し、コロナ時代を生き抜くヒントを識者31人に取材している。今回はその中の一人である面白法人カヤック代表取締役CEO柳澤大輔の取材の中からスペースの都合で本誌に盛り込めなかった内容を大幅に追加し、ご紹介する。

 コロナ以前から、職場の近くに住み、そこの地域の活性化に関心を持ってきた柳澤さん。コロナ禍を機に、彼らの提案により関心が集まりつつある。彼らはなぜ職住近接を提案するのか。本人に聞いた。

柳澤大輔(やなぎさわ・だいすけ)。面白法人カヤック代表取締役CEO。慶應義塾大学卒業後、1998年に面白法人カヤックを設立。2014年に東証マザーズに上場。2002年から鎌倉に本社を構えて活動する。

[柳澤氏の考えるコロナ時代の3つの提言]

・リモートワークより職住近接、地産地消にシフトする歴史的な節目
・近くに働く場ができれば、人が集まる。自治体のリーダーシップが大切
・タスクはオンライン、クリエイティブは会ってという仕分けが進む

オンラインを受け入れる歴史的な節目が来た

 私たちが暮らす資本主義社会の最大の課題は「地球環境汚染」と「富の格差の拡大」と捉え、そうした時代にも面白い社会を作るために多様性を大切にしていこうとしている面白法人 カヤックの柳澤大輔氏。彼は、「地球環境汚染」や「富の格差の拡大」が起こる最大の理由は、企業が国家がGDP(国内総生産)という指標ばかりを追い求めきたことにあるのではないか、と考えている。

「GDPの増大だけ追い求め、スピードと生産性を過剰に要求する。コロナ以前の社会は正直限界を迎えていたと思います。私たちは、それとは違う視点が必要だという提言を、(著書の)『鎌倉資本主義』(プレジデント社、2018)や『リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来』(KADOKAWA、2020年)で行なってきました。それは物質的な豊かさに加え、人とのつながりや環境も大切にしていく地域資本という考え方です」(面白法人カヤック 代表取締役社長 柳澤大輔氏)

 柳澤氏が提唱する地域資本という指標は、その地域の持つ財源や生産性を示す「地域経済資本」、人のつながりを示す「地域社会資本」、自然や文化を示す「地域環境資本」の3つから構成され、これらをバランス良く増やしていくことが、そこに住む人々や、企業、NPO、そして行政などのステークホルダーを豊かにしていくと考える。

 そして、今年3月に上梓した『リビング・シフト』では、ポストコロナ時代の気分を先取りするように、大都市から人が離れていくことを予言している。

「ITベンチャーの経営者と言えば、六本木の高層マンションに住んでいるんでしょう?」

 少し前です が、そう言われた時代がありました。かつて、時代の寵児となった起業家たちが六本木ヒルズに住んでいたことが話題になったからかもしれませ ん。

 でも、時計の針を2020年に進めると、むしろ、こんなふうに言うのが正しいんじゃないかという気 がしています。

「ITベンチャーの経営者と言えば、地域に移住するんでしょう?」

(中略)

 そして、僕自身は、2002年から鎌倉に暮らしています。

 経営者に限った話ではありません。むしろ、こうした動きは若手ビジネスパースンに顕著だと感じています。

すでに読者の方はお気づきと思うが、柳澤氏が推奨しているのは、地域への移住だ。

「私たちが積極的に取り組んでいるのはリモートワークではなく、職場の近くに住む『職住近接』です。地元に住み、地元で働き、地元のものを消費する地産地消で地域を強く、魅力的にしていきたい。その意味では人と人の直接の触れ合いを大切にしたいので、テレワーク推奨の時代に逆行してますね」

 確かに柳澤氏の話はテレワーク推奨の時代とは逆行するかもしれないが、なぜテレワークが推奨されるかといえば、通勤ラッシュや都市部の過剰な密集状態を避けるためだ。ならば、そもそも大都市ではなく、地方に住み、そこで働ければ良いのでは? という素朴な提案だ。

 通信環境さえ整っていれば、テレワークができることは多くの方が経験済みだ。あとは、それを実行するか、否かという意思の問題だけのように思われる。

テレワークの活用で職住近接が現実的に

 地方への移住。こんな選択肢にリアリティを感じられるようになった背景には、テレワークなしではビジネスが成り立たなくなったことが背景にある。

「今回のコロナ禍でオンラインでのコミュニケーションにネガティブだった人も抵抗がなくなってきたと思います。今まで使わなかった人も新しいテクノロジーに触れ、便利さを理解し、受け入れるようになった。これは歴史的な節目になるはずです」

 前述のとおり、柳澤氏は、人と人が触れ合って仕事をすることを大切に考える。その一方で、テレワークで十分なものは、積極的にそれを使う。その区別は、次のように行なう。

「人が直接会って行なうことと、テレワークで済むことは次のように分類できると思います。

 ブレストなどゼロから新しく生み出すような、クリエイティブな仕事、これは対面のほうがいい。そして、それを行なうのは大都市よりも、空気がきれいで、新鮮な食材が楽しめる地方のほうが僕はいいと思う。都市から離れることで、新しい気づきも生まれるでしょう。

 一方、クリエイティブな仕事の次に行なうタスクは、どこでもできる。テレワークでもコミュニケーションは十分ということがわかったわけですから」

 クリエイティブな仕事は人と人が向き合って、個人で処理ができる作業はテレワークで、という柳澤氏の提案は、移住をしなくても、いまのオフィスワークでも、すぐに実行できるはず。これは会って行なうほうが良いか、テレワークでもOKかを見分けるクセを付けていくことで、生産性は上がっていくに違いない。

 それを積み重ねていくと、必ずしも大都市を拠点に活動する必要のないことが浮き彫りになる。

「仕事を区別し考えていくと、必ずしも大都市にオフィスを構える必要はない。オフィスを地方に構え、その近くに住むという職住近接も現実的なんです。とすると、今後は地方にチャンスが来るはず。魅力的な地域と、そこに移住や、多拠点生活をしたい人をつなげる「SMOUT(スマウト」というサービスも5月以降、登録者が大幅に増えています」

 SMOUTは、カヤックの子会社が提供しているサービスで、自分のプロフィールを登録しておくと、その内容を意識したスカウトが、移住者を受け入れたい地域から届くというもの。

このサービスを利用して移住生活を始めた人のエッセイなど、移住を希望する人が知りたい情報が充実している。

 コロナウィルス対策では、市区町村の基礎自治体、都道府県の広域自治体によって、対策や支援などに関心を持った人は少なくないはず。住宅地から大都市に通っているとあまり身近ではないかもしれないが、働くところと、住むところが近くなると、地元の行政サービスへの関心が自然と高まるようになる。その結果、行政サービスを統べるリーダー選びにも関心が高くなるだろう、と柳澤氏は考える。

「職住近接の生活になると、様々な課題が身近になる。その結果、どうしたら地元が良くなるかを自分事として考えるようになり、政治への関心は高くなるでしょう。今後は自分たちの要求を行政に伝える自治体のリーダーの指導力はより重要になるはずです」

 いま国政選挙は、投票率が下がり、有権者の政治離れは深刻になりつつある。その一方で、地方自治体から、次の国のリーダーが生まれそうな機運も高まっている。職住近接は、長らく続いた政治離れにも一石を投じるのかもしれない。

※この記事は、6月16日に発売された『DIME』8月号「各界の識者31人が大胆提言![ポストコロナ時代を賢く生き抜く!]新しい働き方マニュアル」の内容を、加筆修正したものです。特集の詳細は、本誌をご覧ください。

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※電子版には付録は同梱されません。

取材・文/橋本 保

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