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コロナ禍の影響は?新卒の採用で中小企業へのエントリーを慎重に考えたほうがいい理由

2020.06.21

■連載/あるあるビジネス処方箋

 大卒の新卒採用の選考が、6月から本格化した。今後、内定が次々と出るだろう。学生は思い描いた結果が出ないと、社員数100人以下の小さな会社にもエントリーするケースがあるのかもしれない。結論から言えば、私はその判断を否定はしないが、積極的に賛成はしない。この2ヵ月間のコロナウィルス感染拡大を通じて、その思いをあらためて強くした。今回は、なぜ、新卒の時点で中小企業へのエントリーを慎重に考えたほうがいいのか、を私の実体験をもとに紹介したい。

1、中堅、大企業とは別の論理で動く

 当たり前のようでいて、実は見失いがちなことだ。とにかく、双方は違う。象徴的なのが、20代の担当者の権限だ。私の見てきた限りではあるが、大企業で言えば執行役員や本部長に近い権限を持ち、仕事をしているケースが多い。20代後半で、1つのプロジェクトの始めから終わりまでを仕切る場合がある。上司に判断を仰ぐことなく、わずか数年の経験でどんどんと決めている。「権限移譲」と言えるのかもしれないが、私には上司が丸投げをしているように見える。丁寧に教えたうえで、任せてはいないのではないだろうか。そんな疑問が次々と湧いてくる。

私が知る20代後半の社員の仕事力は、中堅、大企業の同世代の社員のそれと比べると、少なくとも5ランクは下がる。それでも1人で判断し、決断し、進める。ミスをしているのだが、それにも気がつかない。トラブルが生じても、コスト増になっても、社内では誰もとがめないようだ。そもそも、上司に正確に、迅速に報告する習慣がないように見える。だから、独りよがりな行動が目立つ。言動も、常識を欠いたものがある。そのうえ、相手との距離感をとるのが苦手のようだ。通常は言ってはいけないようなことを口にしたり、メールに書いたりすることもある。

このあたりが、中堅、大企業とは大きく異なる論理なのだ。私には、中堅、大企業の20代の社員は総じて控え目で、誠実に仕事に取り組むタイプが多く見える。一部に例外もいるのかもしれないが、全般的にレベルは高い。

2、人材の質

 最終的には私の主観によるものだろうが、中堅、大企業と中小企業の社員の質は大きく異なるように見える。最も違うところは、処理能力だ。たとえば、時間内で相手の話し言葉や書き言葉を正確に理解し、それにわかりやすく、電話やメールで素早く返す力は双方は7〜8ランクは違うように思う。

私が接する中小企業の20〜30代の社員の場合は、メールだけで意思疎通をするのが難しい場合が少なくない。何度読んでも、意味がわからない。その際は電話で話し合うのだが、ますますわからなくなるケースがある。上司や周囲が、その社員に丁寧に指導をしているようにも、私には見えない。したがって、意思疎通をするのが大変に苦しいと感じることがある。特にこの2か月間は、一段と難しかった。

ところが、前述したように、この人たちは自分を高く評価している人が少なくない。そして、上司から注意を受ける機会も少ないようだ。だから、こちらが何かを指摘すると免疫ができていないからか、感情的になりやすい。中堅、大企業の社員よりは、感情的な物言いをする人は相対的に多いように思う。本来、上司が指導して早急に治すべきなのだろうが、それがなかなかできていないようにも見える。

3、組織の力

 1と2の違いがなぜ、生じるか。私は、その大きな理由に組織の力があるとかねがね考えている。中堅、大企業は各部署やチームが組織として機能し、動くことができる。中小企業は、それがあまりできない。担当者を始め、個々の社員がバラバラに動き、チームや部署として十分には機能していない。

こちらからすると、まるでフリーランスの人と仕事をしているかのような錯覚に陥ることがある。特に20代の社員は上司に相談することなく、物事を進める。結果として、こちらとしては当初の合意事項を覆されたり、反故にされたりするケースが多い。そのことを、上司は把握していないようだ。

私が以前から懸念するのは、こういう小さな会社に、経験が浅く、判断力も低い新卒者が入社し、果たして育つのだろうか、と感じて仕方がないからだ。実際、公的な機関(厚生労働省など)のデータを見ても、中小企業の20代の社員は中堅、大企業の同世代の社員に比べて概して離職率が高い。労使紛争も中堅、大企業に比べて多い。

 私がフリーランスになったこの16年間ほどで、中堅・大企業と中小企業の違いには驚きのあまり、言葉が出ないことが今もある。学生諸君は、なおも小さな会社にエントリーするだろうか。1度しかない新卒採用の時期だからこそ、あきらめることなく、どうか、中堅、大企業やメガベンチャー企業に果敢にエントリーを続けてほしい。あなたには損をさせたくないから、繰り返し書いておきたい。心から吉報を期待している。

文/吉田典史

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